■□藤月流・お絵描き講座□■
000 基本編その1で目指す完成図は下の絵!

いきなり複雑な絵やカラーイラストを描けるようになるのはよっぽどの天才だと思いますので、とりあえずここでは『あんまり絵が上手くない普通の人』を対象に話を進めていきたいと思います。

今回、完成目標とする絵は左の絵。
「えぇ!難しすぎるじゃん!」と思う人も、
「なんだ、この程度か」と思う人もいるでしょうけども、全くの素人にとってはかなり難しいと思います。

なぜこの絵にしたか。
一つは、人間の体のつくりを覚えるため。
とはいえあんまり詳しく正確に覚える必要はないです。絵として不自然に見えないレベルでオッケー。
体をひねったり足を曲げたりといったポーズを将来的に描けるようになるためにも、基本形をちゃんと覚えておこう。
もう一つは、バランス感覚を鍛えるため。
人間は基本的には左右対称。そうじゃない絵を描く時も、このことを把握した上でじゃないと描けません。なので左右対称の仁王立ちなわけです。
ただし、手は非常に難しい部分なので今回は無しです。腰にあててることにして手は処理しましょう(笑)

個人的に思うことですけども、細かいところまで完璧に描こうと思うより、多少適当でも良いから沢山描くほうが上達早いと思います。

とはいえ、いきなり左の絵を描け!とか言っても難易度が高いので上達する前に嫌になってしまうと思います。
一つ一つ段階を追ってやっていきましょう!

001 体をざっくりここまで描けるようになろう!

今回は、左の絵まで描けるようになろう!

左の絵には前回描いた顔を乗っけてます。
体を描く練習するにあたって、結構重要なのが顔(頭)です。というのも、頭身をきっちり把握しておかないと完成図がとんでもなく不格好になるから。顔と体は必ずセットで考えましょう。パーツがどれだけ上手くても、顔と体の大きさがちぐはぐだと最悪です。細部にこだわるより、全体のバランスにこだわったほうが絶対上手くなると思います。

さて、一般的に人間は8頭身が美しいと言われてますが、イラストに関して言えばそれでは大きい場合が多いです。
俺の場合だと、大体10代後半くらいを6頭身前後と設定していて、それより年齢が上がれば頭身を増やし、逆に年齢が下がれば減らします。なので、左の絵も大体6頭身。

じゃあ、この絵が出来るまでを順番にやっていってみましょう。

002 基本は6頭身

前回顔を描く時に使ったタマゴの両端から、まっすぐ縦に線を引きます。
これは何かというと、まっすぐ立った時この二本の線の中に体のほとんどが収まるという目安です。
もちろんこの線はあくまで目安なのではみ出す部分もあったりしますが、基本的にこれより露骨に大きかったり細かったりするとアンバランスになります。
なお、この線はタマゴの両端であって、髪の両端ではないので注意してください。じゃないと、髪の毛フサフサのキャラは体がとんでもなくゴッツくなってしまいます。

次に横線。これは頭身です。つまり、各四角形の中にはきっちり一つ顔が入る大きさ。今回は6頭身なので、箱を6つ描きましょう。最初のウチは、ちゃんと定規で長さ測って描いたほうがいいと思います。

003 上半身のアタリを描く

体を大雑把に二つに分けるとしたら胴と足ですが、この分かれ目の目安は大体ちょうど真ん中です。左の絵で言えば、3つ目の箱の下の線(ココと書いてある線)。
標準的にはこの線上から足が始まるくらいで良いと思うんですが、今回の完成絵はスカートを履いてますので、足の付け根はこの線よりも少し上くらい(@の線)に設定しました。
※スカートの場合は足の付け根が隠れてしまうので、心持ち上に設定したほうがシルエットが綺麗に見えると俺は思います。

まず、肩から肋骨までを示す台形を描きます。
縦の大きさは大体、肩から@の線までの半分。底辺を小さくするように描き、底を少し上方向にくぼませてやります。このくぼみの頂点がみぞおちになります。
横の大きさは、肩部分である上底が002で描いた縦線を少しはみ出す程度。底辺は上底の3分の2くらい。
※今回は手を腰に当ててる関係で肩が上がっているため上底がまっすぐになっていますが、本来は女性はなで肩なので点線のように曲線を描いています。

次に、骨盤を示すパンツ形の絵を描きます。
縦の大きさは、@の線から台形の底辺までの半分くらい。
横の大きさは、上部分が002で描いた縦線とほぼ同じか若干小さめ。下部分は適当で良いですが、まぁ上部分の4分の1くらいが妥当かと思います。

この2つを描いたら、ウエストであるAの線を描きましょう。
台形底辺の端から、パンツの端までなだらかな曲線を描きます。この時、台形の側面からパンツの端にかけて、でこぼこしないよう心がけてください。ボールを転がしたらスーッと転がっていくような曲線をイメージです。

004 関節のアタリを描く

左の絵見たらややこしそうですけど、実際は単純なのでがんばってついてきてくださいねー。

たくさん○が出てきましたが、これらが示すのは関節です。
体を描く上で関節は避けては通れない道。これを上手く描けるかどうかで、絵全体の仕上がりに雲泥の差が生まれます。
とりあえず今回は関節の中でも一番良く使う大きな部分なので、きっちり覚えていきましょう。この○の大きさがすなわち、手や足の太さになります。

まずはB。これは肩の関節です。
大きさは大体、台形上底の4分の1強くらい。この球を半分台形の側面にめりこませて、両肩に描きます。球は台形上底に外接するように描いてください。
順番から言って次に肘の関節を描きたくなりそうですが、ここは先にCの手首の関節を描きます。肘はBとCの中間に位置するので、先に手がどこにあるのかを示すCを決めてしまった方が楽だからです。Cを描いたら、肘の関節を描きましょう。左の絵では遠近法によって肘の関節があのへんにありますが、本来腕をまっすぐ伸ばしたら、Bから肘までとCから肘までの長さはそれぞれ顔一つくらいです。

次に足。Dは足の付け根の関節です。
大きさは大体002の縦線の半分くらいですが、この丸は縦線を少々はみだす感じで描きましょう。目安は肩幅と同じくらい。ここがヒップの丸みになります。AのウエストのラインはこのDの丸に外接して足へ繋がっていきます。
そして、手と同じく次に描くのは膝ではなく足首のE。最初に6頭身と言っておきながら、Eが一番下の横線より上にあるのは、仁王立ちで足が左右に開いているからです。足を揃えてまっすぐ立つと、Eは一番下の線にかかってきます。
で、膝はDとEの中間あたり。

関節の球は末端へ行くほど小さくなっていきますが、あんまり極端にするとサザエさんみたいになります。
女性を描く時、どうしても「細くか弱く」とか「ボン・キュッ・ボン」を意識してしまいがちですが、とりあえず今はそんなこと忘れてください。

005 関節同士を繋ぐ

手足のラインを描きます。

各関節の球に外接するように線を引いていきます。
とりあえず今回はまだ、女性のふっくらした肉感とかは無視して直線的に繋げて構いません。ついでに手足も適当に描いちゃってください。
ちなみに、手のひらは広げると顔面を覆うくらい。足の裏は頭一つ分くらいの大きさがあります。
が、特に足なんかはほぼ必ず遠近法が適用されるので(正面向いた時、足だけが90度横に向いてるなんてことは通常ありえない)、必然的に小さく描かれます。これも難しいので、とりあえず今回は適当で構いません。

髪を裏からすかして見て、変じゃなければオッケー。
アタリで描いた球や線が邪魔な場合は消しゴムで消すか、上から新しい紙を置いて清書します。

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