銀カメ文学と写真>父との思い出 2

 

 

 

父の思い出(3−2)

 あれから30年、今にして思えばあの時の父はすでに母との別れを決意していたのかもしれない。

  毎晩のようにののしりあっていた父と母は、家計が苦しかったという事情だけでなく、そこに一人の女が存在していたことも僕にはなんとなくわかっていた。

 やがて父はめったに家に帰らなくなり、母は勤めに出かけて、帰ってくるのはいつも夜の11時すぎだった。いつのまにか姉と二人で夕食を食べるのが当たり前のようになっていた。

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