銀カメ文学と写真>父との思い出 1

 

 

 

父の思い出(3−1)

 あれはいつの事だったのだろう。父に連れられてどこかの遠い街にでかけた覚えがある。どこの町かも覚えていないが、記憶の中にだけぼんやりと存在している。 

 覚えているのは、父がラ−メンでも食べるかとやさしく聞いてきた事である。いつも厳しい父がその日は妙にやさしく、それが幼かった僕にはとても不自然に感じた。

 思わず僕はいらないと答えたような気がする。。父は、少しがっかりしたように、そうか、、とひと言つぶやいてまた歩き始めた。

次へ