(4)体操場捜し
  
 漠然と体操の練習場をつくると勝手に決め込んでも何もないのですからどうしたらよいのか途方に暮れるばかりでした。兎に角、体操場に使えるような建物を貸してくれるところはないかと街中を捜し始めることにしました。体操の練習に適する建物はかなりの長さと高さが必要であり大きな建物になります。それに見合うような建物はおいそれとあるものではありません。例えあったとしても高い借用料を支払わなければなりません。資金はありませんからただ同然で借りられるような所はないものかと虫のいいことを考えながら捜し廻りました。
 いくら捜し廻ったも適当な場所はなくガッカリしました。「練習場をつくるなんて馬鹿な考えはやめろ、週に1回の練習をやっていわきの体操を続けられればそれで十分だっぺ。練習場をつくるなんて途方もないことはやめた方が身のためだ。」と諦めの気持ちに何度もさせられました。八方手を尽くしてもないので、もう捜すのはやめようとしましたが、最後に家の近くに建っている数年前から使われていない建設会社の事務室兼倉庫(土地約400坪・建物の長さ34m・幅8m・高さ7m)は借りられないものかと思い「断られて当然、聞くだけは聞いてみよう」と意を決して所有者を訪ねました。
 事情を話しましたところ「こどもの教育のためなら使っていいよ。お金は心配しなくていいから。但し、現状のまま使うこと、返してくれと言ったらすぐに返すこと。」との有り難い言葉を頂くことが出来ました。天にも昇る思いで帰途につきました。