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Inside Farming Vol.52 (Japanese)



雹被害その後・・初めて職安でバイトを探す

 
  雹のあと「空虚」と「恐怖」に打ちひしがれていた園主(Inside Farming50)だが、実はそんなセンチメンタルな気分に浸って居たのは(いれたのは)数時間だったかもしれない。なぜなら、園主の前には、「半年分の労働と資材分の経費の赤字!+生活費ゼロ」という経済的な現実問題が立ちはだかっていたからだ。

 雹の被害一週間後天候を相手にする職業だから、いつかはこのような災害に見舞われるのではないかと思い(ご存知のように)園主は行政書士の資格を2年前に取得していた。そして雹被害の僅か一ヶ月前に開業にむけて登録したところであった。「それなら行政書士で生きていけばいいではないか!」と言われそうだが、登録時点で私の「行政書士」に対するスタンスは「農業あっての行政書士」というものを想定していた。経済的にも時間的にも農業に重点を置いて生活し、農家の仲間の中で発生する農地転用、開発行為、相続などの事件に「農家の立場も理解できる法律家」というスタンスでいこうと思っていたのだ。コンセプトがそうだったために特に営業活動もしていない。つまり登録はしたものの開業はまだという状態である。そのため、いきなり行政書士で食べていけるのか?と自問すればちょっと難しいものがある(ゼロからのスタートならまだしも、半年分の経費マイナスからのスタートですからマジで躊躇します・・・行政書士の名誉のために付け加えておかなくならないが、行政書士で成功している方は身近にも何人もいます)。

 そんな訳で、現金収入を求めバイトを探すことを即決。雹の被害の翌日には林檎園の片付けもしないで、生まれて初めて職業安定所へ向かっていた。
 これが噂に聞いた職安か!とちょっとドキドキしながら入ると、これも噂に聞いていたが、本当に大勢の人が求人票を食い入るように見ていた。農業には失業保険の適用が無いことを少々恨めしく思いながら(当たり前だが)私も求人票を覗くことにした。

 不景気で仕事が無いんだろうな・・・と思いきや、選り好みしなければ求人はかなりあるようである。でも、どうせやるなら「面白そうな仕事」をしたいと思うのが人情だ。加えて私の場合「将来的にプラスになりそうな仕事」という観点でも企業をピックアップすることにした。その結果、具体的にはコンピュータ系の講師、塾講師、法律系の事務所、会計事務所、特許事務所などなど7社をリストアップできた。
 その7社を見比べながら「待遇面については、もう10年も農業生活にどっぷり浸かっていた身、特別贅沢は言わない(言えない)」。「求人は35歳までという制限がある会社もあるが、ぎりぎりオーバーくらいならなんとかなるハズだ」「収穫はできなくても果樹園の管理はしなくてはならないから、労働時間がそれほど長くない勤務体系にしてもらえる職場じゃないと困る」「通勤が苦にならないくらいの近距離に会社があったほうがよい」「せっかくだからきれいなオフィスで働きたい」などと自分なりのご都合主義で検討を開始した(オイオイ・・自己突っ込み)。

 でも結局、実際に会社に訪問してみないと何も分からないし、始まらない。だったらまず訪問するのは「仕事の内容に一番興味をそそられる会社にしよう!」と決断。職安を通して連絡するのも面倒なので翌日に自宅から直接電話。履歴書を書いて事務所を訪問した。
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