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Inside Farming Vol.35(Japanese)



低農薬栽培はむずかしい。歩留まりの悪さに悲しくなる
 
 新しいCPUが出ると、その製品の初期段階の歩留まり(製品化率)の悪さのために出荷量が少なく、なかなか店頭に並ばないなんて噂はよく聞く。逆に歩留まりの高い工場のラインから出荷されたCPUはクロックアップ耐性が高い製品が多いらしいと話題になったいする。
 缶ウーロン茶加工を委託されているある缶ジュース工場では委託元から納入される茶葉から抽出する烏龍茶の量を委託元指定の98%からさらにどれだけ抽出できるか(どれだけ製品化できるか)で利益率を高める努力をしているという。

そんな製品化率の事を考えると農業はほんとに製品化率が低い産業だと思わずにはいられない
 林檎を例にして見よう。その年の気候。例えば台風の大風で落下したり、枝と擦れて傷ついたりしたら、あっという間に2割3割のロスがでる。99年のように異常に暑い秋が続けば、外見からは分からない品質の劣化につながり、またロスが出る。販売でも長期保存ができない品種ならば鮮度が落ちれば直ぐにロスになる。たとえ普通に栽培した場合でも、規格外の大きさだったり、変形していたり、生理的に割れたり、林檎の品種にもよるがそのロスは1割程度はいってしまうかもしれない。

 加えて低農薬だ。実際に病気を出したので初めて知ったが、病気による歩留まりの悪さは相当なものだ。99年に初めて低農薬(の失敗で)病気を経験したら「なんでわざわざ歩留まりを悪くするような事をしているのかな?」というちょっとさびしく悲しい気持ちになった。「あの時、もっと良く効く農薬をもう一つ余計に散布していればよかったのに!」「あの時、時間を空けずにもう一回農薬を散布しておけばよかったのに!」そんな気持ちで病気の林檎を見つめていた。

 考えてみたら、この経済優先社会でわざわざ歩留まりを下げる危険性を犯してまで農産物を生産する意味があるのかな?他の業界では数パーセントの歩留まりをシビアに向上させているこの時代に1割、2割もロスが出て産業として成り立っていけるのかな?
  「買ってはいけない」(批判本もたくさん出ているようだが・・)によるとたとえ食品でも、商品を劣化させない為にいろんな科学物質を使って長持ちさせたり、味を調節したりしているっていうし!。
 なんだかちょっとブルーな、そして弱気になった今年の林檎栽培雑感でした。
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