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Inside Farming Vol.28 (Japanese)



林檎のうどんこ病は他作物に染るのか(減農薬継続のために調べました)!

 また今年(1999年)も減農薬に挑戦中だ。方法は昨年同様にクエン酸で殺菌剤の濃度を減らすことと、果樹園をよく見廻り農薬の散布回数と散布絶対量を減らすという二本立てである。昨年は地域の標準的な防除体系に対して6割近い減農薬が実施でき、まずまずの成果を上げる事ができたのだが、一つ問題が発生していた。それは隣の作物との間の病気の問題だった。

 その経緯はInside Farming Vol.18[減農薬への挑戦。苦悩。そんなに簡単じゃないよ!]にて書いたとおり。実は今年もやはり減農薬実施のためか、それとも昨年の病原菌が越冬していたのか、気象条件が昨年と似ているためなのか、うどんこ病の発病が見られている。このままでは防除体系を見なおさなければならない。
 しかし私としてはうどんこ病は本当に林檎から他作物に感染するのか、どうしても納得しきれないものがあった。そこで長野県の農業改良普及センターなどに問い合わせし、解答をいただいたので、その結果を報告する。

 - りんごのうどんこ病の病原菌は、Podosphaera var.persicae、スイカのうどんこ病の病原菌はキュウリなどにも感染する、Sphaerotheca fuligineaです。したがって同じような症状はでますが、基本的に菌は別物です。
 特にりんごのうどんこ病の病原菌は、他の作物に感染することはほとんど無く、りんごのうどんこ病がスイカへ感染するとは考えに くいようです。ただ「全く感染しない」とは言い切れません。またスイカのうどんこ病菌はキュウリなどを侵す菌と基本的に同じですが、それぞれスイカはスイカ菌、キュウリはキュウリ菌と呼ばれます。キュウリ菌はメロン・カボチャ・ユウガオなどを侵しますが、スイカは侵しません。しかしスイカ菌はキュウ リも侵します。スイカ菌がりんごを侵すことも考えられます。スイカ菌がりんごに移り繁殖し、またスイカへ戻ることも考えられます。
 しかし基本的には、りんごはりんごのうどんこ病菌、スイカはスイカのうどんこ病菌であると理解した方が良さそうです。なぜかと言いますと、発生する条件は同じであり、19〜22℃の温度と乾燥時が菌の繁殖条件を良くする環境となると、どちらの菌も繁殖しやすくなっているからです。基本的には、それぞれの圃場で防除をきちんとする ことが良いと思われます。 -

 だ、そうです。
 果樹園にも問題の一端はある可能性があるが、隣接作物側に原因のある可能性もかなりのものだと分かった。いずれにしても、昨年のように私の林檎園側だけが一方的に非難されることはなさそうだ。
 もう昨年の出来事だから、これ以上のコメントはしないでおこう。

 以下に友人の果樹栽培技術指導員から教えて頂いたうどん粉病対策を掲載する。同じ病気で悩んでいる林檎栽培者の方は参考にして下さい。

--うどんこ病-- 品種別には「紅玉」「つがる」が発病しやすい。本病菌は芽のりん片内で菌糸の形態で越冬し、りんご樹の発芽と同時に菌糸も生育をはじめる。一次発病は一般 の発芽期より10日後からであり発芽10日後の防除が重要である。被害部表面 は白色の分生胞子で覆われる。分生胞子は風で飛ばされて若い芽を次々に侵す。 開花期前後に葉は新たな感染を受け、二次発生が続く。感染を受けた葉は全体的 に不規則にゆがみ波を打った状態になる。新梢や二次伸長枝の場合、生長点が侵 されるため新しく展葉する葉はすべて侵され、一次伝染の病徴と同じになる。
こ の病徴は夏から秋にかけてよく見られ、この新梢の芽には、翌年の伝染源となる 菌糸が潜んでいて、しまりのないぼけ芽になっている。 分生胞子の寿命は短い。本菌の分生胞子は水滴にあうと破裂してしまう。多雨は発病を抑えることになる。生きた組織から栄養をとり死組織では繁殖できない。 また、発育適温は19〜22℃であるため高温条件では活動は衰えるが、被害の 影響が強く現れるのは高温乾燥時である。
--防除のポイント-- 攻守適方法病原菌は被害幼梢菌糸の状態で越冬しているので、被害枝の先刈りを行う。先刈 り作業は発芽前の剪定時のみばかりでなく、第一次発病時にも行う。 --薬剤散布-- 発芽10日後の防除を徹底する。スパットサイド、アントラコールなどにトップ ジンM、ベンレートを加用。 EBIの効果が高い。しかし近年耐性菌の発生もみられるらしいので現時点では使わない方がよい。 現時点で使えるもので効果が高いものは、ストロビードライフロアブル3000倍。その次に効果があるものはトップジンM(水)1500倍、ベンレート3000倍、ポリキャプタン1000倍。ストロビードライフロアブルは、総合殺菌剤のため他の代替えとしても使用できる。しかし、炭疽、輪紋が多い場合は注意が必要。 トップジンM、ベンレートは斑点落葉病に効果が低いため単体だけでは使えな い。 いずれも6月中下旬までが防除時期となる。

調べるに当たってお世話になった関係者に感謝! 

参考資料 日本植物防疫協会 「植物防疫に関する資料」
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