Inside Farming Vol.192 友人との20年ぶりの再会がくれたもの 昨年(2011年)は、一つ、嬉しい出来事があった。それは、20数年ぶりの友人との再会である。仕事関連の研修で私が東京に頻繁に出ていることを当ホームページのエントリで偶然に知った友人が「会おう」と誘ってくれたのであった。この友人は、私が記者だった時代の同期である。予期せぬお誘いのメールに驚くとともに、とても嬉しくて、心から会いたいと思った。 20数年も前、実家の事情で突然に記者をやめて長野県に戻り農業に就いた時は、本当に「都落ち」した気持ちだった。「人を啓蒙したい」という志(若かったですね)で記者となって前途洋洋という時に記者の道を断念したのだった。大学生活も社会人生活も全てが楽しかった東京とのお別れであった。その時には、自分で決断した進路とは言え、これからの自分の人生は同期の記者たちと比較して、なんて「うだつ」のあがらないものとなってしまったんだと嘆いた。 それから何年も経ち、同期がメジャーな雑誌の副編集長や編集長となり、コンベンションのパネラーとか講演などを行うようになって業界人として名を馳せるのを知るにつけ、彼らに眩しさを感じるというか、尊敬するというか、気後れするというか、そんな、複雑な気持ちを持っていた。また、告白すれば、農業の傍らで記者に戻って働きたいと、何度となく思ったものであった。 そして、再会。 友人の設定してくれた飲み会には、最初に同じ編集部に配属された2人の同期と、そのうちの一人の奥様(彼女も元記者だ)と、やはり同期で退社後に建築事務所を経営している建築士の4人が集まってくれた。皆んな、忙しい中を本当にありがとう。やっぱり皆んな活躍していて、なぜだか私も誇らしい。嬉しくて、楽しくて、貴重な時間を過ごすことができた。 再会して嬉しかったことは、田舎で「美味しい林檎」を作ろうとしていた私の事を、皆んな肯定的に見ていてくれた事であった。道が違っていても頑張っているね!と思っていてくれたのであった。これを知って肩の荷が降りたというか、何かから開放されたような気持ちになれた。そして、同期の皆んなも、それぞれの努力があって現在に至っていることが分かって、なぜだか少しホットした。 再会して分かったことは、私が「都落ちした気分で落ち込んでいた」ことは、極めて個人的かつ内面的なことであって、自分以外の人は関知しない事である(良い意味で)ということである。私は、農業に就いてから何年もの間、悲観的な運命論に浸って厭世的になっていたのだけど、これって、つまり、単なるナルシズムであって、自己満足を得ていただけの無駄な時間だったみたい(笑)。もちろん、20代のあの頃の苦悩があったからこそ、今の自分がいることは判っているいるのだけれども・・・・。 そして、再会の後は、家業から開放されたとき(2008年4月)のような、長いトンネルをぬけたような気分となった。皆んな、再会をありがとう。また、会いに行きます(今度は押しかけますよ)。(2012/2/23) Go to Inside farming index page kawai@wmail.plala.or.jp 写真、本文とも Copyright(C) 河合果樹園 |