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Inside Farming Vol.183


気の置けない飲み会  


 お互いに家族を持つ年代になったせいなのか。家族と一緒に過ごす時間が居心地がいいせいなのか。それとも不惑を過ぎ、四六時中仕事に追われる世代になったせいなのか。このところ気が置けない仲間と飲む機会がない。
 ついつい「忙しくて飲んでいる暇がない」と言ってしまうけれども、その言葉は詭弁に過ぎない。単に甲斐性がないことの言い訳である。資格取得のために勉強に邁進している時の私は「忙しくて勉強ができない」とは決して言わなかったのだから。

 そう思っていたところに、友人が誘いの電話をくれた。友人宅に招いてくれるという(奥様に感謝)。もう、行くしかない!。うれしい。

 集まった友人は3人だ。一人は、生産から販売まで果樹全般の知識を有する友人である。もう一人は、低農薬栽培林檎を独自ルートで販売し、安定した果樹園経営をしている友人である。そう、5年前の2002年の7月に、私が「10年後の農業」がどうなっているかを尋ねた友人達だ。ひょっとすると、3人だけで飲むのは、あれ以来の5年ぶりかもしれない。あの時、私は「10年後の農業の将来像」が見えなくて悩んでいた。そして、結局、私は農業から少し距離を置く道を選んでしまったのだが・・。

 久々に3人で話した内容は、近況や、旅行の話や、家族の話。車やバイクの話。そして、3人が出会った20代中盤の頃の話。友人の果樹園の中にあった小屋に集まって飲んで話し合った話。年寄りくさいかもしれないけれど、そんな昔話が心地よくって気分転換になる。
 異常気象、農産物デフレ、格差社会。これらの言葉に代表されるように、あれからの5年間も農業にとって必ずしも好ましい環境ではなかった。そんな中で5年前と同じように飲める幸せ。誰も苦労話なんてしないけど、それぞれが時代に対応しながら、また、変貌しながら、乗り越えてきたことが分かる。だからお互いの現状を認め合えるのかな。

 5年後はどうなっているのかは相変わらず不安だし不透明だ。けれども、今までを乗り越えてきたように、なんとかやっていかなければ。ケセラセラ。5年後も楽しく飲めますように!(2007/7/6)。





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