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Inside Farming Vol.133


ネット直売と登録農薬の関係


 農薬の使用基準が厳格に適用されるようになった結果、マイナー作物(生産量が少ない作物、あまり栽培されていない作物、珍しい作物、とでも表現すればよいか)に使用できる農薬が極端に少ないという事実が発覚している。従来は、そのようなマイナー作物が、例えば葉物野菜であるならば、レタス等の類似している作物に登録されている農薬を、その農薬の使用基準で使用することにより、一様の安全性が確保されていた(ように思う)わけだが、それでは、消費者の安全性に対する信頼を得ることができないということになった。
 
 農薬取締法の改正に合わせて、マイナー作物でも使用できる農薬の認証が増えつつあるようだ。しかし、それでも、マイナー作物を生産する農家にとって、使用できる登録農薬の絶対数が少ないということは、以下の理由で、頭がいたい。
 すなわち、人間社会でもMRSAなど抗生物質が効かない菌が発生しているけれども、農業の現場でも、同じようなことは起こっているからである。例えば、ダニが発生した場合には、同じ薬剤ばかり散布していると、そのダニがその薬剤に対する抵抗力をつけてしまう場合がある。これを避けるために、年間に使用できる使用回数が決められていたり、発生したダニの成長に合わせて異なる薬剤を散布してダニの拡散を抑えることがなされている。しかし、ダニに対して使用できる薬剤が1、2剤しかないとしたら、数年後には、ダニを退治することができなくなってしまうかもしれない(極端に言えば)。

 園主の作る林檎はメジャー作物に属するので、使用できる登録農薬も多いし、毎年新薬も発売されているので、そのような心配は少ない。しかし、園主は、これから農家がインターネットで消費者に対して直売をする場合には、メジャー作物もいいけど、マイナー作物(マニアックといってもいいかもしれない作物)を販売した方が面白い展開があるのではないかな?、などと漠然と考えていたから、このような登録農薬の問題がちょっと気になっているのである。
 例えば、ここ数年アジア・エスニック系の香味野菜の消費量が増えているからそれをネット直売してみたいけど、作るのはとうか?などと思うわけである。逆に、そこらへんの面白い作物を作って販売する予定のある人は、事前の調査が必要だってことだ。
 また、園主は、家人が林檎園の一角を利用して家族で食べるために作った野菜や果物の余剰分を、適当に箱詰にしてネット産直しても面白いなあと、考えているのだけれど、この企画の実行にも登録農薬の問題がからんでくる。すなわち、家族の為につくった野菜や果物がいくら低農薬であると主張しても、その野菜や果物は、林檎に登録された農薬で栽培されているのである。林檎に使用が登録されている農薬の全てが、その野菜に対しても使用が登録されているものなら良いが、そうでない可能性の方が高い。したがって、今までの、朝市感覚で気軽に販売することはできない。ちょっと残念だが、安全性の確約がないのだから仕方がないともいえる。

 ADSLの常時接続開始から1ヶ月。園主は、ネットを介した個人マーケットの拡大をやっと実感することができたので、ネット販売に今以上に本腰を入れようかな、などと思いを廻らしている。園主的には、この拡大する個人マーケットを、業者や大資本に独占されないように、農家が直接的に、そこかしこでサイトを立ち上げた方が面白いし、農業のためになるのではないかな、と思う。
 上記は、その過程で考えたことの一つである。そして、農産物の産直に際しては、やはり安全性が重要なのだと、改めて認識したものでもある。

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