第10回

行政書士資格もいいもんだ!
 TVで、行政書士をテーマにしたドラマが放送された。漫画が原作の「カバチタレ」という番組だ。高視聴率ドラマ常連の常盤貴子さんと演技派の深津絵里さんの競演ということで話題性があったし、法律トラブルが主題で深刻になりそうなところをコミカルな描き方で嫌味なく仕上がっていたために、視聴率も良かたようだ。また、それと前後してNHKの「大人の試験」という番組でも行政書士が取り上げられた。こちらは堅実に仕事の内容や試験制度などを紹介していた。

 自分のことを振り返ってもそうだが、「行政書士って何?」「なにが出来るの?」という疑問は多くの人が当たり前に抱く疑問だと思う。だからこのように行政書士をメディアが取り上げるのは好ましいことだ。ドラマでは行政書士が活躍するいくつかの象徴的な事例を示してくれていたので(ただし、申請業務についてはあまり描かれておらず、民事系の事例が主だった・・・仕事を紹介するのが趣旨のドラマではないのだから当たり前だが)、少しは行政書士というものの認知度もアップしたことだろう。
 
 私は(自分が獲得した資格だからなのだろうが)やっぱり行政書士を広く世間に認めてもらいたいという気持ちがある。だからTVに限らず雑誌で行政書士が取り上げられていればチェックしたり、インターネットの掲示板で行政書士が話題になっていれば覗くのだけれど、そういった場所で行政書士があまり評価されていない場面に出くわす事が多くて、寂しい気持ちになってしまう。
 
 現在、行政書士業務は開店休業の私だからあまり大きな声で主張できないが、世間的な認知度が芳しくない理由は、行政書士の制度や仕事があまり公報されていないせいかもしれない。または資格受験誌などで行政書士試験の難易度がその実際の難易度よりも少々低く評価されていることが、資格が他の資格よりも相対的に低い評価(イメージ)をうけることにつながっているのかもしれない。
 
 しかしながら、行政書士試験に合格したという事で一定以上の評価をしてくれる企業は実際にあるのだ。私もその事例(->法律系事務所に就職)に該当するが、やはり昨年合格証を持ってキャリアアップの転職(->団体職員へ)に成功した女性の話が身近にある。試験難易度を正確に把握し、そういう評価をしてくれる企業がこれからもっと増えていってくれればいいと思う。
 
 加えて、行政書士資格は他の資格へのステップアップに確実に繋がるという点をもっと評価すべきであると思う。これは行政書士資格を単なる踏み台にするという意味ではない。雑誌とかでよく見受けられる論旨として「比較的取りやすい資格=入門資格、だから次の資格へのステップになる」という展開があるが、行政書士は資格として完結しているし、それだけで目指す価値がある資格だと思う。第一、他の資格を目指すなら、直接それを目指した方が効率も良いはずだ。
 そうではなく、資格取得後に改めて何かの資格が必要になり、それを目指そうとする時、行政書士試験に向けて合格レベルまで習得した憲法、民法、行政法、民訴法などの知識は決して無駄になることはない、ということが評価されるべきだと思うのだ(これは合格後に次の資格を目指して初めて分かる事だと実感する)。当たり前だが民法を一通り勉強したという経験が他の手続法の勉強の礎になるということは大変に重要だ。
 また、弁理士試験のように、行政書士資格があることで選択科目が免除されるという試験制度を平成14年から採用する資格試験もあることを考えれば、行政書士資格を登録できる他の資格試験である税理士試験、司法書士試験についても、今後何らかのアドバンテージが得られるかもしれないという希望的な観測もある(あくまで超超・個人的な観測です)。
 
 さらに、一つの国家試験に合格したことがあるという自分への自信や、自分が選んだ試験に向けての勉強を最初から最後までやり通したという経験。これは経験した本人にしか獲得できない財産だ。

 最近、行政書士を目指す複数の方からメールを頂いたので、行政書士について今感じていることをまとめてみた。私が「開業して事業的に大成功しているという事例」でないので、ちょっと説得力に欠けるかもしれないが、「行政書士資格取得もまんざら悪くない」ということが伝われば、嬉しいのです。(2001/4/11)

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