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く〜しゃく にけんんがぁ ふ〜りだぁしぃでぇ・・・ちょっと古いが、村田秀雄の歌である。
これは取りも直さず庶民の長屋のサイズであった。テレビでも江戸の町の庶民の長屋の
大きさとして紹介されてもいた。今風に言えば2.7m×3.6mか。
ブドウの販売開始を控え、直売所の掃除や飾り付けをしていたが、直売所の建物の大
きさが、このサイズなのである。ただし、長屋ではなく、一軒家ではあるが。我がブドウ園
以外の直売所もほとんど決まってこのサイズである。これには単純な理由があって、これ
以上の大きさの建物には税金がかかる。そのためである。
改めてこのサイズをじっくりと眺めてみる。いったい何人の家族がこの中で寝泊りしてい
たのだろう。おそらく、入り口には多少の土間があり、水瓶や、かまどもあったのか。奥が
板の間。畳などは無い。おそらく押入れなどは無かったのだろうか。そのスペースも、いや
その中に入れる物も無かったのかもしれない。宵越しの金は持たねぇと言うが、そんなも
のは無かったのだろう。雨露をしのぐと言う言葉が思い出され、落語のはっつぁん、くまさ
んまでも出てきそうだ。
現代の九尺二間には少なくとも電気が通り、蛍光灯・扇風機・冷蔵庫にテレビなども完備
されている。直売所とは言え豪華なものだ。人間生きていくために、いったいどれ程の物
が必要なのだろう、などと考えていたら、カミさんにほうきで追い出された。
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