何でどうしてそうなんだ!?    Switch 様
〜act1.strange・glory 〜


 今日も今日とて北に南に流れる一行。東で悪党が出たら小遣いの足しにして、西で火災が起こればバーベキューもした。これは小遣いを稼ごうと中央地方を旅していた頃の話だ。
 
 
 
act1.strange・glory
 
 
 
 一通り勝利を踊り、けして戦闘が原因ではない流れた汗を拭いながら高嶺は駿河が転がした男の懐を漁った。
「いやあ、最近のは雑魚の癖に羽振りが良いね。見てよこんなに肥やしてるわ。」
 じゃらじゃらと宝石やら金やらを出す。
「ああ、嘆かわしや。いつからオレ様達は追いはぎになったんだい?」
 とか言いつつ人から奪うことに罪悪感のかけらもない紫明がにたにた笑う。
「パーティ組んだときから?」
 そう言って高嶺が俺の顔を見る。俺を巻き込むな。
「───訂正。多分物心ついたときからね。」
「しょうがないわね。」と呟いて俺から目を離した。
 そう駿河は金勘定をしていたのだ。食べる以外生きていく上での必要事項の殆どは駿河が面倒を見ている。そんな彼が「まだ少し旅が出来る。」と、心底安心したように呟かれると何も言えない。だからとてどうもしないが。
 高嶺は空を見上げた。広く青い空に疎らに雲が浮いている。
「あら・・・。」
「どうしたの?高嶺??」
 可愛らしく小首を傾げながら那智がとてとてと寄ってきた。
「あれ、空から何か降ってくるわ。」
 ひゅるるる〜。
「おちるうるううううううう!?」
 ものすごいスピードで‘何か’は落ちてきた。ずど〜んと孤玖の上に落ちた。孤玖は地面にめり込んだ。
「孤玖!」俺は慌てて駆け寄る。那智も駆け寄る。高嶺は「あれぐらいじゃかすり傷一つしないわ。」と手を振る。
(一体孤玖は何製だ!?)
「人間よ。」俺はどきりとした。
溜め息をついてから「当たり前じゃない。」と高嶺は言った。
「読心術!?」
「馬鹿ねぇ、そんぐらい顔に書いてあるわ。」
 俺は思わず顔を拭って表情を誤魔化す。
「痛いです〜」その時背中の悪魔羽根を揺らしながら、むっくりと起きあがった。足元には地面にめり込んだ孤玖、泥だらけでゆらりと立ち上がる様子はちょっとしたホラーだ。
「俺、落ちる魔族初めて見た。」紫明でさえ呆れを通り越して感心しているようだ。
「非道いで〜」
 ─髪が長いので、便宜上彼女にしよう─彼女は顔を上げて紫明を見るなり紫明に飛びついた。ちっこいからちょうど腰当たりに手が回る。がしって抱きつくが同時にすっと孤玖が立ち上がった。
「驚きました。」心底のほんと言う。
「驚いたのはこっちだ!!」些か大袈裟に左手を振り下ろした。
 俺は目を見開いた。あんなに地面相手にディープかましてたのに砂埃一つ無い。何を言っても無駄なので俺は、孤玖から彼女を目に映した。その人間離れした人間の横には、魔族離れした魔族がいた。
「探しましたぁ〜」
 魔族の癖にたどり着いたことがそんなに嬉しいのか感極まって泣いている。それにはさすがの紫明も困っている。
「壱之端〈いちのは〉・・・何のようだ?」
 こんな子供にも偉ぶったオーラで威圧する。ただ、よっぽど鈍いのか怯えることなく淀みなく言った。俺は、将来大物になるなと思った。
「若若〜。」
 この言葉に一同激しく固まった。
「わ、わかわか!?」
「わあ、ワカメみたいですね。」にこにこと那智が言う。
「ワカメ!?それいい!!」
 ワカメと共感することがあるのか、高嶺はかっと目を見開いて突然踊り出した。
「後で覚えておれ・・・」紫明は恥ずかしさと怒りで手を握りしめた。壱之端はその様子に反応せず先へと進めた。.
「蛙詩神様〈あしがみさま〉が若若に申し込んできましたの〜」
 何を、などと無粋なことを言わない。それだけでわかるほど伊達に敵対していない。しかしそれなりに重い空気も「ワカメ若」の所為でそれどころではない。
「そうか・・・。」紫明は辺りを見回しにやりと笑った。口の端だけ上げて。無論若若で悶えていた俺たちはそんな様子は見逃した。
 
 
 
 兎に角神を敵に回すことは今更だと非道く思った。
 
 
 
夏井流君です、郁ちゃんです!二人合わせてSwitchです。
郁:今回は予想を裏切るようで裏切らない展開が目標だっけ?
流:逆ですよ。逆。
郁:・・・ネタは上がってるから後は肉付けだ。
流:逃げないでください。ともかく、早めに輝さんに献上すること。
郁:は〜い。
 流は律儀なので早く続きが読みたい人はここにメール。hagi@fuji.ed.jp題は「何でどうしてそうなんだ!?」で。それはそれは馬車馬のように早く続きを書くでしょう。
流:えらく棒読みですね。
郁:貴方のペースアップを図るのに必死なんだ。それに今後のために。
流:って、メール来ない=読者しないで書く気なくすでしょう。
郁:それはそれとして輝さん、こんなんでもいいと言ってくれて有難うございます。
流・郁:此処まで読んで下さって有難うございます。
2003.11.5.WED

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