14 どうして愛おしいの



 どうして、と思わずにいられない。

 小さいものは弱く。
 弱いものは足手まといにしかならず。
 足手まといは邪魔なだけだとずっと思っていた。
 ……なのになぜ、自分は目の前の小さな命をひと思いに消せないのか。
 あろうことか側に置きたいとさえ願っている自分に、もう笑うしかない。

 孤独には慣れたはずだった。
 それでも、目の前で無邪気な声を上げる久方ぶりの人の温もりを離したくないのだ。
 どうしていまさら、愛おしいなんて思ってしまうんだろう。
 どうして。


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