14代目殿堂入り アニメ総合ランキング第5位
ちっちゃな雪使いシュガー
2001年10月7日〜2002年3月26日 TBS(BS-i) TVシリーズ全24話
2003年8月21日 BS-i 特別編「その胸にあるもの 前編」放送。
2003年8月28日 BS-i 特別編「その胸にあるもの 後編」放送。
こういう作品こそ、子供に見せるべきアニメだと私は思う。
はっきり言う。「シュガー」は名作である。
なのにこの作品はBSデジタルでの放送であり、多くの人の目に触れることができなかった。
関東圏のみ地上波で放送されたが、なんと時間帯は深夜。
なぜ?と私は言いたい。
このようなアニメこそ、子供が見やすい時間帯に、しかも地上波で放送してあげるべきではないか。
「シュガー」は、それほど興味を持っていたわけではなかった。
某交換ソフトでたまたま交換相手が持っていたため、1話ぐらい観てみるかな、
という感じで落としてみたのが始まりだった。
そもそもシュガーが男の子の家に住み着くのではなく、女の子の家に住み着くというだけで、
私の琴線に触れなかった。
これでは萌えアニメじゃないじゃん。それじゃ、観たって意味ないよ。
とんでもない価値観の私であるが、実際そんな感じしか抱いてなかった。
だから、まったく期待していなかったのである。
しかし、第1話を観てみると、意外にも嫌気がなくすんなり観ることが出来た。
丁寧に、ゆったりとした流れで作品を作っているな、そんな印象を受けた。
しかも、肝心のシュガーが女の子(サガ)の家に住み着く、という点も、意外にも気にならなかった。
これはもしかしたら、面白いかも。
2話以降も観てみよう、この気持ちが起こった時点で、私の負けだったのかもしれない。
季節使いというのも、斬新で面白い設定だった。
ま、その季節使いの見習いが、人間界に修行(きらめき探し)に来るという点や、
普通は人間には季節使いは見えないのだが、サガだけは見る事ができた、
というところはよくある設定であったが。
しかしとても興味深かったのは、こういう場合サガはなんらしかの力を授かるのが今までのアニメだが、
この作品では、シュガーがサガの家に住み着いても、サガにはなんの得にもならないという点だ。
それどころか勝手にまとわりつかれて、住み着かれて、予定をめちゃくちゃにされて、
おまけにうるさい。これではサガが怒るのも無理はない。
私も数話観ていく上で、一体どのような形でサガはシュガーと本当の仲良しになるのか、
それがとても気になってしまった。
そして6話と7話を観て、けっこう感動してしまったのだ。
そしてこの作品は、シュガーが一人前の雪使いになるための物語であるが、それは縦軸で、
シュガーとサガがお互い、相手との付き合い方、接し方などを学んでいくことを横軸に描いているんだな、
ということがわかったのである。
そのために多少、サガの性格がきつく描かれすぎてしまったきらいもあるが、
それゆえにシュガーが家出してしまった後のサガの心境や、
大切にしていた母親の楽譜にシュガーが書いてしまった落書きと思っていたものが、
実はサガへのあやまりの言葉だったことを知ったときのサガの表情が実によく描かれている6〜7話は、
これは本当にいいアニメだなぁ、と感心してしまったのである。
もう、すっかり「シュガー」にハマっていたのである。
「シュガー」は、8話までが第1部とでも言えるだろうか。
本当は7話までなのだが、そうすると8話が抜けてしまうのであえて8話まで。
そして9話〜12話までが第2部の「クマのピアニスト」編となる。
正直言ってまさかこの話で4話も引っ張るとは思わなかった。
それなのにピアノの弦が切れてしまったことについては、結局最後までうやむやだったのはちと残念。
それでもピアノを弾く気力すらなくなってしまったサガが立ち直ったのが、
シュガーたちの応援によるものだったというのはとてもよかったと思う。
しかし、この「クマのピアニスト」編は完全にシュガー脇役じゃない?(笑)。
13話からは第3部といえる内容だ。
この第3部が、このアニメのなかで一番安定していた時期だと思う。
安定といっても作品の質とかではなく、サガとシュガーの関係が、である。
あれだけシュガーをうっとおしいと思っていたサガであったが、この頃になるとすっかり仲良くなり、
サガの怒った顔もほとんどみられなくなる。
13話なんか、サガからシュガーのきらめき探しを手伝ったりしている。
ホントに二人の関係がよかった時期だったと思う。
そんな第3部を代表する話といえば、やっぱり16話と17話であろう。
シュガーが見習い季節使いの修行旅行に行く話なのであるが、とてもストーリー構成がいい。
16話はそんなシュガーの旅行の出来事をメインに描いているため、シュガーが旅行に出かけてしまうと、
サガはほとんど出番がない。
そのかわりシュガーの季節使いとしての成長をじっくり観ることができ、とてもいいと思う。
でも普通だったら、この16話だけでこの話しが終わっても不思議でない。
しかし「シュガー」は次の17話でサガをメインにして描き、
台風によって帰りが遅くなってしまっているシュガーを心配するサガの様子をおっている。
つまりひとつの旅行を、旅行にいったシュガーと、家で帰りを待っているサガ、
それぞれの立場から描いているのである。これは本当にうまい構成だと思う。
特に17話での、シュガーのことを思うサガを観ていると、
この二人が本当にいい関係になれたなと思い、嬉しい。
もっともサガを観ていると、まるでシュガーのお母さんになったかのような世話の仕方であり、
それはそれで微笑ましいが。
そんな幸せなときも、ついに終わりを迎える。
第20話より始まる第4部は、サガとお母さんの思い出のピアノが売られてしまい、
何とグレタの誕生日プレゼントとしてグレタのものになってしまう、という衝撃な展開で幕を開ける。
正直この展開には驚いた。このまま幸せなまま終わるとは思ってなく、もう一波乱あるとは思っていたが。
ここに来て初めて、グレタのこのアニメでの存在意義がわかったような気がした。
さらに追い打ちをかけるように、サガとシュガーの関係が再び悪くなってしまい、
おまけにソルトとペッパーが魔法界に帰ってしまう。
そしてついに、シュガーは倒れてしまうのだった。
改めて観ても思わず泣いてしまいそうな展開。もう私の目は釘付けであった。
そして22話。ええ、話やなぁ。もう何も語ることはない。
仲直りできてよかった。本当によかった。
「シュガー」をここまで観てきてよかった、そう思える瞬間だった。
23話では、グレタがサガにピアノを返そうとする。まあ大騒動になるわけだが、
なかなかグレタもいい娘やのう。悪人をつくらない、という点もホントにいいアニメだった。
最終回。サガとの別れが近づいたシュガーが、
今までとは逆に魔法の花が咲かないようにと思ってしまう。
でも、その時はついに訪れてしまった。
涙、涙のお別れ。
おーいおいおい(号泣)。なんてええアニメなんや。
いい歳した男が涙を目にためてアニメを観ているなんて恥ずかしいが、
決して嘘ではない。本当に名作なんや〜。
このアニメを観て本当によかった。ありがとうといいたい。
なんでも今年の夏に新作が公開されるそうだ。もう今から待ち遠しいぜ!。
最後になるが、実は第4部を観ているうちに、サガが好きになってしまった。
一旦好きになると、もう一気に萌え萌え。
サガって実はめちゃくちゃかわいいやん。
「ちっちゃな雪使いシュガー特別編 その胸にあるもの 前編」
2003年8月21日、ついに「シュガー」の新作が放映された。
今回は前後編に分けられて、2回にわたっての放送となった。これはその前編のレビューである。
いきなり成長したサガが登場、これがかわいいんだ。萌え萌えですな。
11歳のサガはめちゃくちゃかわいいですが、成長したサガもホントかわいいです。
TVシリーズ第1話を思わせる、ヘンリーさんに朝のコーヒーを届けにいくシーンで始まるのだが、
ヘンリーさん、変わってませんね。そういえばサガの髪飾り、小さくなってますね。
あいかわらずサガは、ルキーノさんとこでアルバイトしているようね。このまま後継ぐのかしらん。
OPにはいる直前に、雪の結晶がサガの街に降りてきますが、これってもしやシュガー?。
するってーと、サガとシュガーの再会が描かれるのでしょうか?。
OPはTVシリーズと同じで、Aパートへ。
ヘンリーさんとこから家に戻ったサガ。
家ではレジーナおばあちゃんが、ちっちゃくなったサガの服をカノンちゃんにあげようと思い整理していた。
そこで、まだシュガーがいたころに学校の発表会のお芝居で着たお姫様の服が見つかる。
おばあちゃんの言葉から、シュガーがいたころから4年の月日が経ったことがわかる。
サガはすると15歳なのだろうか。
そういえば、レジーナおばあちゃんも全然変わってないですね。
ここからサガの回想シーンに入る。
サガのクラスは、今度の発表会でお芝居をすることになった。
その劇「Princess and Fairy」のシナリオは、アンヌが書いたものだという。
よほどハモンド劇団に影響を受けたようだ。
早速配役を決めようとしたが、サガがお芝居をすることにシュガーは大喜びで跳びまわり、
そのシュガーのうるささに嫌気がさして止めようと手を伸ばしたところ、
ちょうどお姫様の配役を決めていた時だったため、お姫様に立候補したと先生に思われ、
結局お姫様役をやることになってしまった。
あいかわらず観ていて笑ってしまう。突然お姫様役と言われて赤くなるサガは、あいかわらずかわいい。
グレタもあいかわらず。魔女役のほうが演技力を要求されるというフィルの言葉にのせられて、
あっさりお姫様役から魔女役に代えてしまうのも笑える。
この間にサブタイトルが出るのだが、そこに映し出されたワッフルの数は25。
つまりTVシリーズから数えて25話目であることを、さりげなく表示している。これは嬉しい。
余談だが、黒板にハンナ先生が書いた文字のうち、魔女を意味する「witch」が、
最初のコマではちゃんと描かれているのに、次に表示されたときは「which」になっている。
スタッフも気付かなかったのだろう。
家に帰っておばあちゃんにそのことを伝えると、
サガのお母さんもクラス発表会の劇で主役を演じたことがあったことを話してくれた。
部屋でそのことを考えていたサガだったが、シュガーもお芝居をやると言い出し、
「シュガーにはお芝居なんて無理無理」と言い、相手にしないサガだった。
しかしシュガーが寝てしまうと、シュガーの毛布を直してやるサガの姿があり、
この2人の関係が一番よかった頃の話であることがうかがえる、いいシーンである。
そのシュガーの寝言からかハモンド劇団のヴィンセントさんを思い出したサガは、
ヴィンセントさんに自分がお芝居をやることを手紙で伝えようとするのだった。
翌日からサガのクラスでは、お芝居に向けての準備が始まった。
しかしフィルよ、いくらグレタの絵とはいえ、魔女をドラゴンと見間違えるのはどうかと(苦笑)。
ポールさん登場するが、セリフなし。店長さんもなし。
その日の夜、サガは自分の部屋でお芝居の稽古を始めるが、
サガと一緒にセリフを覚えようとするシュガーを、「お休み雪使いさん」と言ってベットに投げるサガ。
ためいきをついているサガも、かわいいですな。
このときダダをこねているシュガーもかわいいですな。
「シュガーもお芝居するったらするの。お芝居お芝居するったらするの。聞いてるのサガ。」
なんとも微笑ましい光景ですな。
「こんにちは、お姫様。」
昼間、空き缶と空き瓶を使ってひとりでお芝居の稽古をするシュガー。
これが序盤の名シーン。実にシュガーをかわいらしく描いていて、自然と笑顔がこぼれてしまう。
「まあ、暖かい陽射し。心も体もワッホーみたいにポッカポカ。」違うわ!そのセリフ(爆笑)。
ところがその最中に、カラスのジョーが空き瓶を持っていってしまった。
すぐに追いかけるシュガーだったが、そこをソルトとペッパーに見られてしまう。
サガがお芝居することをソルトとペッパーに話し、「シュガーにはお芝居なんて無理だ」と言われたことを伝えるが、
「そりゃそうだろ。」「サガさんならともかく、シュガーがお芝居ですか。」と言われてしまう(爆笑)。
さらに長老にまで尋ねるシュガーだったが、
お芝居と聞いてさっそくジンジャーちゃんを誘わねばと思い飛んで行ってしまう長老だった。
そこでサガのお芝居の偵察に行くことにしたシュガー。
Bパート。
学校ではあいかわらずお芝居の準備の最中だった。
グレタは早くも魔女の衣装を完成させ、そのイメージぴったりの魔女そのものの衣装にサガは驚くのだった。
しかしグレタはその衣装を自分で縫ったのだろうか。自分で採寸したのだろうか。気になる。
そこへシュガーたちが乱入し、結局じゃまをしてしまうのだった(苦笑)。
シュガーたちと庭で話をし、シュガーにはお芝居なんて無理だって改めて言うサガだったが、
アンヌがお芝居の稽古を始めるとサガに伝えてきてくれたものだから、
「サガのお姫様見た〜い」とシュガーだけでなくソルトとペッパーまで言い出す始末。
さらに長老とともにジンジャーとターメリックまで来てしまい、サガはまたため息をついてしまう。
その時のサガがまたかわいいんですよ。
稽古が始まったのだが、サガはみんなに観られていることに意識してしまい、セリフが出なくなってしまう。
そこでシュガーが助け舟に入るが、「心も体もワッホーみたいにポッカポカ」なんて言うものだから、
つられてサガまで言ってしまう(爆笑)。このときのハンナ先生の表情も萌えですな。
そのあと妖精役のノーマが登場、このノーマもなかなかかわいいですね。
ところがサガが足をからませてしまい、ノーマとともに転んでしまう。
「グレタ、魔女の出番はもっと後だぞ。」「わかってるわよ。ドラゴンなんてもっともっとも〜っと後でしょ。」
このフィルとグレタの掛け合いが面白い。
その日の帰り道、シュガーはサガに邪魔しちゃったことを謝るのだった。
ま、サガはちっとも気にしていなかったんだけどね。
家に帰ると、おばあちゃんがドレスを用意してくれていて、サガは驚くのだった。
サガのお母さんがお芝居で演じたときの衣装だそうだ。
しかしお姫様のドレスには少々物足りないということで、サガはおばあちゃんとシュガーと一緒に、
ドレスの飾りつけをするのだった。
髪までお姫様のように結って完璧にお姫様になったサガ。
これがめちゃくちゃかわいいんですよ。まさに萌え萌え〜。これ、今までで一番かわいいんと違う?。
その格好のまま、居間でお芝居の稽古をしだすサガ。
そこにシュガーが実際の妖精のセリフでサガに語りかけるのだった。
「そこにいるのは誰?。あら珍しい。あなた人間のお姫様ね。」「そう言うあなたは誰なの?。」
「わあ〜。私が見えるの?。私はこの森の妖精。初めまして、お姫様。」「初めまして、妖精さん。」
ここが、前編の一番の名シーンであろう。
アンヌのシナリオでのお姫様と妖精の関係が、サガとシュガーの関係そのままを描いているかのようで、
実にいいのだが、そのシーンをサガとシュガーで演じてくれるのだからたまらない。
おまけにサガとシュガーはまるでラブラブのような状態。
これが観たかったのだよ〜、と思わず力説してしまうほどの名シーンである。さすが「シュガー」。
そのあとのおばあちゃんの「本当に妖精がいるみたいだったよ。」という言葉もいいですな。
そのあとは恒例の入浴シーン。そこでシュガーは「やっぱりお芝居に挑戦する。」と言い出すのだった。
ラストはサガの手紙を読んだヴィンセントさんが、サガのお芝居を観るためにバイクで出発するシーン。
果たして後編でサガは、ヴィンセントさんと再会できるのだろうか。
そして、果たして成長したサガは、成長したシュガーに会うことができるのだろうか。
必見である。
EDは、サガのイメージソングだった、浅野“ますみん”真澄さんの「こころのピアノ」が使われた。
とても嬉しいです。