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相撲

私は子どもの頃からよく父に相撲の相手をしてもらっていたためか、中学一年生頃まではクラスの中でもどちらかというと強い方だった。
特に、小学生の低学年頃までは、右からの下手投げが面白いように決まる事が多かった。
私の下手投げは、まず右下手をしっかりと引き、左手で相手の右手首辺りを強く握ってその手の自由を奪っておいてから、機を捕えて思い切り右足を相手の右足の前の辺りまで踏み込んで相手の体を自分の腰に乗せて投げつけるという、今から考えるとかなりの荒技だった。
この技が見事に決まった時にはたまらない程の快感を覚えたものだが、こんな無茶な技が通用したのも、相手が足腰の筋肉がまだ未発達で体重も軽かったためだろうと思う。
私が小学校低学年の時、家族で当時東京に住んでいた親戚の家に遊びに行って数泊させてもらった事があった。
その親戚の家には私よりも2、3歳年下の男の子がいたが、この子がかなり生意気で意地悪だった。
私と姉はもともとおとなしい性格の上に、よその家で世話になっているという遠慮もあって少々の事は我慢していた。
しかし、そんな私達の態度が更に彼を増長させたのか、だんだん意地悪がエスカレートして来た。
そして、遊びに行って2日目くらいの午前中だったと思うが、隣りに座っていた姉が突然泣き出したので、「どうしたんだろう?」と思っている内に、その子が私のそばにやって来て、いきなり10円玉を2枚出して私の右の耳たぶを思い切りギュッと挟んだ。
これはかなり痛かった。
「いてーっ!」と悲鳴をあげて思わず私も泣いてしまったが、次の瞬間、腹の底から怒りが沸き上がって来て我慢の限界を突き破った。
私はすっくと立ち上がると物も言わずに彼を捕らえていきなり例の「必殺下手投げ」を繰り出した。
すると、彼の身体は私の予想をはるかに超えて部屋の端まですっ飛んだ。
ところが、直ぐに彼は立ち上がり、私に向かって猛然と突進して来る。
私は容赦なく再び彼を部屋の端まで投げ飛ばす。
これを4〜5回程繰り返した後、流石に力の差を認めざるを得なくなったのか、突然彼が激しく泣き出したので、母親がやって来て彼を宥め始めた。
私の方が年上なので彼よりも強くて当たり前であり、決して自慢できる話ではないのだが、意外に彼が弱かったのか、私が本気を出し過ぎてしまったのか、彼がかなり遠くまですっ飛んだので、自分でも驚いてしまった。
もう一つ驚いた事には、その後彼の私に対する態度が豹変し、正に手のひらを返したように優しく丁寧になったのだ。
これが、あの生意気な奴と同じ人間だとはとても信じられないような変わり様だった。
それにしても彼を投げ飛ばした時の快感は、それまでの鬱憤を晴らして尚余りある程のものだった。

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