江連はり施術院/趣味/チャレンジ スポーツ/スキー

スキー

私が17歳の冬、当時姉が勤めていた会社の社員旅行でスキー場に行く事になり、姉はスキーなどとは全く縁のなかった私にも経験させようと思ったのか、私もその旅行に連れて行ってくれた。
私や姉のほかにも何人かスキーの未経験者がいたらしく、ゲレンデに出て直ぐにそれらの人たちを集めて、その会社のベテランスキーヤーとおぼしき人が、スキーを履いた状態での歩き方や方向の変え方、止まり方や転び方、滑走時の姿勢や重心のかけ方など、ごく基本的な事柄をレクチャーしてくれた。
その話が済んだ後、一人一人実際に滑ってみる事になったが、私は見知らぬ人たちばかりに囲まれて恥ずかしかったので、そっとその集団から離れて自分一人で勝手に練習を始めてしまった。
まずは他の人の邪魔にならないようにゲレンでの端まで移動して、歩行の練習をし、それに慣れて来ると、少し高い所まで登っておずおずと滑り出した。
最初の頃はちびちびと登っては少し滑り、また少し登っては滑るという事を繰り返していた。
リフトなどは全く使用せずに自力で登っていたので、体が暖まり、寒いどころか汗ばむ程になった。
その内に、転倒する事も少なくなり、両足を揃えた姿勢でもある程度滑れるようになって来た。
「スケートよりも簡単じゃないか。」などと思いつつ
もっと高い所まで登ってみたくなった。
そこで今度は少し頑張って、「中級者コース」といわれる所まで登って行き、無謀にも直ぐに滑り出してしまった。
滑り出してから気がついたのだが、最初はなだらかだったのに、少し進むといきなり急斜面になっていた。
あっと思ったが既に遅かった。
グーンと体が前に傾き、どんどん加速した。
周囲の景色が猛スピードで過ぎ去って行く。
正面から顔面にすごい風圧を受け、目を開いているのがつらくなり、恐怖で足がすくみそうになったが、必死で堪えながら、思い切って重心を前にかけるように心がけて同じ姿勢で滑走し続けた。
時々斜面の凹凸で両膝にガクンガクンと衝撃がかかるがこれも何とか堪えた。
そして、非常に幸運な事に誰にもぶつからず、転倒もしないで、一気にゲレンデの麓までほぼ一直線に滑り下りる事ができた。
ところが、今度はあまりスピードが減速しないまま、スキー場の建物が目前に迫って来た。
慌てて体を左に捻り、どうにか横向きに転倒できたので、建物への衝突は免れたものの、この時に覚えた強い恐怖感がしっかりと心の奥に刻み込まれてしまった。
本当に無茶な事をしてしまったものだと今でも思う。
それ以後、一度もスキーはしていないし、今後もするつもりはないが、一生に一度の貴重な体験をさせてくれた姉に対しては今でも感謝している。

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