憲法第二問
 政党が民主政治において重要な役割を果たしていることにかんがみ,政党助成金の交付を受けるためには「党首を党員の選挙によって選出しなければならない」との条件を法律で定めたと仮定する。この法律の合憲性について論ぜよ。



 本問の法律は、政党交付金交付の条件をもって政党の民主化を事実上推進しようとするものである。そこでこのような政党内部の自治への介入が許されるのか、その合憲性が政党の憲法上の位置づけと関連して問題となる。
 前提としてまず、本問の様な国民の権利義務に関わらない立法も、なお「立法」(41条)の範囲内である。「立法」とは広く一般的抽象的法規範の定律を言うと考えるからである。
 では、本問で問題となっている政党とは憲法上いかなる位置づけにあるのか。
 政党とは、政治権力への参加・影響力の行使・獲得を目的として結集・組織された団体を言う。かかる政党は国政へ民意を媒介するという重要な役割を果たし、民主制・政党政治の不可欠の前提であり、現代民主政治において重要な役割を果たしている。
 そして、憲法上政党について明文で定めた規定は無いが、憲法は議院内閣制を採用しており(67条1項)、政党の存在を当然の前提としていると考えられ、承認段階にあると考えられる。そして直接的には21条に言う「結社」の自由として保障されている団体である。
 では、本問の様に政党の内部問題について介入することは合憲か。
 この点、前記のように政党が国政に民意を媒介するという重要な機能を果たしていることからすれば、その内部的問題についても民主化が促進される方が望ましく、より効果的に民意を国政に媒介させるという観点から望ましいことであるとも考えられる。
 しかし、政党の内部においていかなる組織・構成をとるか、代表者を誰にするか、等の問題については、本来その内部的自律にゆだねられるべき問題であり、これは自律権として21条の保証する結社の自由の一環として保障されているものである。そこで、内部問題への介入は不当な介入となる場合には許されず、違憲となるというべきである。
 本問の場合、政党の内部的自治問題に介入するものではあるが、その手段はあくまで政党交付金の交付という形で事実上誘導しようとするものであるにとどまり、権力的に介入しようというものではない。そこで、このような形で党内民主主義の採用を促進することは、なお不当な介入であるとは言えず、合憲であると考える。
 以上、本問法律は合憲である。
以上

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