ロータス、ラビット

・・・・・・・・・・・・・・・・うずくまったまま抱
かれる兎のように、あなたとそしてここに こうして逢
うために幾千におよぶ睡蓮の茎を折り、それを浮かべて
は渡る池の夜具 散る塵、悲嘆の鱗 池膜は暗さを映し
---奪い----ついには最も深い婚礼の咽喉に飲みほして
くれる 月の降る石畳を踏み見上げ、慈雨はたびたび路
上に花芯の壁画を摘んだのだから聴される至心 抱きし
めたいと、あなたが降ろす光沢のつまさきの鋭さに 丘
陵のまだらな獣皮に棲み枝角を振る あなたが腕をあげ
ると浮かび上がる肋骨のすじにそってそれをなぞろう 
あなたが眺めるととたんに誇りだす光景のなかでそれを
滲ませよう なぜあなたはこんなに柔らかいままなのか
窪みのように息づきながらあなたのなかへと降ろしてい
く黙約の氷雨 絶えまなく降りそそぎながら 水際の襟
を織るつかのまの夜明けの器官として・・・・・・・・

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