メッセ館青ログ:オリジナルキャラ設定話に小話をつけてみる1.5 二週目

小話をちまちまちまちまと。

設定話順に5人ずつとなります。
ルーン、みどりん、オペラちゃん、大地君、アルド君まで

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ルーン二週目



温泉につられてしまい、怜と暫く滞在している村は自然が豊かでのんびりできる場所だった。


はずである。

「条件は悪くないんだがな」
「温泉はあるし、自宅は提供してくれたし至れり尽くせりだけどね」

座っているものは、落とし穴に嵌めて捕獲したばかりのそれは大きなアルマジロ。

「なんで大型獣相手にしているのだ?」
「だって、『ここで使うお金はこうやって稼いだ方が早い』って言ったの誰ですか」

なぜか村の護衛兼狩人生活になってしまっていた。


手配した引き車に、捕獲したアルマジロを10倍の大きさにしたような大型獣を載せた帰り道。
捕獲すると報酬がもらえる上に、こちらで使う装備を作る材料を貰えたりする。
諸事情により、この大型獣を倒して怜の防具を造らなくてはならなかったので捕獲しに行ったのだ。

「これでやっと作れるかな?」
「多めに捕獲したから大丈夫ではないか?デザインは置いておいて」
「…あれは怖がられる」

自分は怪しまれないように、猫の獣人を模して変装している。
といっても、大地のそばにいた時より大型になっただけだが。

「とりあえず早く帰って、温泉入りたーい」
「同感だ、砂でざらざらする」

砂漠に足を伸ばしたため、毛の間に砂が入ってほこりっぽい。
この状態だと毛足が長いので、丁寧に落とさないとじゃりじゃりして気味が悪い。

「背中流しますか?」
「いや…よく考えたら人型に戻って洗ったほうが楽か、服洗濯だけで済むだろうから」
「それは便利ですねぇ、じゃ湯浴み一式貸しますね」
「ああ、ありがとう」

村まであと少し。
一仕事のあとの温泉は格別だ。



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緑二週目



傍から見てもかなりの無茶をやっている。
事実、体が内側から圧迫されて軋んでいるようだ。
そのぶん、周りに与えるプレッシャーが人外の者が発する物と変わらない代物になる。

『威嚇には持ってこいだな』
「うるさい。動くな喋るな」

要観察の処分を食らっているアサシンギルドがまたやらかした。
キューブのボスブラックから直々に指名が入り、忠告を届けたところだ。
相手リーダーは、自分が発する威圧感に顔面蒼白となっている。
それだけではない、あまりに強すぎる気配に異常を感じて総員でお出迎えときた。

「威力ありすぎるのも困るな…」

ぼそりとつぶやくのは自戒もこめる意味もある。
いったい何をしたのかというと…

『ケタ違いの力を持つのも考えものだ』
『自覚がないわけじゃねーけど、ここまでびびられるとなぁ』
「ぐ…動くなよっ」

双子の悪魔を、背中の契約書を経由して身に宿しているのだ。
自分より体格のいい二人を無理やり詰め込んでいるわけなので、推して知るべし。

「さて、忠告は届けたからな」

これでもかとプレッシャーを言葉に乗せてやる。
当然、相手は声も出せない。
しばらく動けないだろうと踏んで、相手方本部を後にした。


人目につかない場所でようやっと二人から出てもらう。
しばらく動けないのはこちらも同じ。
膝をついたまま呼吸を整えるまでそのままになってしまった。

「緑、動ける?」
「正直な話、かなりきつい…っ、立てない…」
「めんどくせぇし運ぶか、キューブでいいのか?」
「…ハニエルに説教くらってもいいなら」

10分が限界の所を15分近く詰め込んでいたのだから当たり前だ。
あまりの負荷に腰が抜けて立てなくなってしまった。
見かねたゼノンが器用に触手を操り、ひょいっと抱きかかえられる。

「…やっぱり報告は明日にしよう」
「気が変わるの早いな」
「おまえらが説教されるのも嫌だけど、情けない格好を見せるのも嫌だ」



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オペラ二週目



「イクスの事だから、決着さえつけばいいんだよ」

のほほんと毒士アンタレスとチェス盤に向かう。
試練の内容はこの人を倒すという条件である。
勝負の方法は特に指定がなかったので、チェスの勝負でも構わないはずである。

「うーん…」

先程の手で少々長考に入ってしまった。
ことんとコマを動かしてから、メガネをかけて集中する。

「ふむ、いい手だね」
「むーん」

久しぶりのチェスなので、感覚を思い出すのに時間がかかる。
長丁場になりそうなので紅茶とクッキーを用意しておいてよかったなぁ。

「オペラの焼くクッキーはおいしいね」
「今日は甘さ控えめで作ったのですけれど、よかった」
「ん、でも勝負着くまでおやつ持つ?」




アンタレスの言うとおりだった。
勝負は長引き、すっかりクッキーが無くなる頃にやっとチェックメイトが取れた。

「ちょっとのんびりしすぎたね」
「しすぎちゃいましたね」

結界が解除されると、ほとんど皆が揃っている。

「あれ?もしかして最後?」
「いや、大地がまだ出てこない」

のんびりしすぎたとは思ったが、一番最後ではなかったようだ。
それにしても、大地君は誰を相手にしているのだろう?



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大地二週目



試練の内容は謎だらけの人、ウィザードを捕まえるだけ。


しかし、地面から突き上げるクリスタルの剣が容赦なく行く手を阻む。

「手加減ねぇな!!」
「手加減するか!!」

それだけではない、投げたり急に伸びたり手数が多い。
うかつに飛び上がると無数の鋭いかけらが飛んできて、着地直前にもご丁寧に生えてくる。
しかも、氷以上に透明なクリスタルを作り出せるのは…只者じゃない。

「何者だよこいつ…」


もう一つの謎が、なぜか風士が居ること。
いくつかウィザードが創りだした結晶が飛んでいったが、別の結界に阻まれて攻撃を受けないらしい。

「まったく、心臓に悪い」
「見ているだけなのにかよ…」
「風はもともと支援向きだ、見ているだけはストレスがかかる」
「そこ!!ごちゃごちゃ言わない!!」

予想以上に伸びたクリスタルの剣が足元をなぎ払う。
叩き落すにしても手数が多く近づく暇がない。
決め手のないまま、避けるに徹する状態になった。

「こんっの…!」

一定距離からまったく近づけない。
どうにかクリスタルを無効化しなければクリアできないだろう。
しかし、避けるのに手一杯になるほどの激しい攻撃。
「水晶の豪雨」と言えるほど。

(何か近づける方法ないのか!!



膠着状態が一時間以上続いた。



「…ふっ…くくっ、そこまで似てるか」

急に風士が何かにこらえきれず笑っている。

「避け方といい、追い詰められた時の行動といい似すぎてるんじゃないのか?」
「人が苦労しているのに何言ってるんですか」
「こちらの話だ、見比べていると術の使い方がそっくりだ」

誰かと比べているらしい。
が、今この場にいるウィザードしか比べる相手がいないはず。

「大地、相手と同じように攻撃してみて、避け方を見るといい。
 避けるばかりでウィザードの動きを見ていないだろう」
「うっ…」

指摘され返す言葉がない。
さっきから何か引っかかるのに気がついてはいたのだが、答えが全然見つからなかった。
「動きを見ていない」のを指摘されるまで気がつかなかったのは不覚。
原因の一つは、つい最近に極度の緊張状態から抜けだしたため、いわゆる「燃え尽き症候群」になりかけた。
体力は戻ったが、メンタルが未だに本調子ではない。
風士には見抜かれていたのか…



「まぁ、あれだけ手数が多いと風を使ってもなかなか避けられないが…
 意外な方法で避けられるものだよ、例えば透過するとか」

手招きされて囁かれたアドバイスは意外で目からウロコの方法だった。



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アルド二週目



誰だろう、この試練の組み合わせを考えたのは。




「こんなことを考えるのはイクスかカーディナルしかいないぞ」

即答した相手は…今の一部隊の隊長。
しかも、戦術の基礎を叩き込まれた先生でもある。

「ねーちゃんなら納得する…!」

自分たちにとっては、伝説のような人と手合わせである。
あの砦落しをリアルタイムで見た者には、夢のようでもある。

が、それとこれとは話が別。
冗談じゃなく強い。
フェイントが一切合切反撃される点や直前まで見えない得物。
霧とか風に攻撃を入れているような感覚がする。

「おかしいな、もう少し当ててるとは思ったが」
「強撃には慣れているので…!」

運が良かったのは、一撃が非常に重い点。
それは毎日…招集受ける直前も受け流してきたので、余程の事がない限り防げる。
派手に吹っ飛んでいるように見えていても、立て直しの為の時間を稼いでいるだけが多い。

まさか隊長を相手にするとは思わなかった。
隊長が相手では準備無くして勝てる確率がものすごく低いので、突発で術を仕込んだ。
うまく活用するには必ず長期戦に持ち込まなければならない。
そのため、かなりの精度で受け流しをしてダメージの蓄積を抑える必要があった。
更にもう一点上げるなら、術を気づかせないよう相手をどれだけ熱くさせるかも重要…なんだろうけど。

「手加減必要ないかもな、さすがに」

手加減無いなら、集中して暫く気がつかないだろう、多分。
あの時の迫力が目の前にある。

その姿を目の前にして、妙に冷静な自分もかなり集中している。



こうなると、どちらも怪我だけでは済まされない勢いだ。



何合も打ち合い、何度も弾かれ、何度も打ち返し、予想通り長期戦となった。
額の汗を拭うと、乾いてざらりとしている。

(思惑通りになったな)

ぴりぴりした雰囲気と乾燥した空気がそろそろ決着の気配を漂わせている。
対照的にひんやりとしっとり水分を含んでいる手元の槍。

かすり傷がついてもすぐ乾燥してしまうぐらい、極度の乾燥状態。
口を開くと渇くため、二人揃って無言となってしまっている。

この極度の乾燥状態を作り出しているのは、最初に突発で仕込んだ術に他ならない。
「空気中の水分を媒体に集める」というだけの簡単なものだが、たかが水分と侮るなかれ。
人間は体重の60%位は水で、しかも呼吸だけで水分は出ていくものである。
この長期戦、これ以上伸ばすと二人揃って熱中症の危険が出てくるわけだが…

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