メッセ館青ログ:オリジナルキャラ設定話に小話をつけてみる0.5 二週目

小話をちまちまちまちまと。

設定話順に5人ずつとなります。
ゼノン、カリザナ、怜ちゃん、月唯ちゃん、シスまで。

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ゼノン二周目



「なんだコレ?」
「…練習中だから味は保障しない、ぞ」
「ん?アルコール?」

なんの成り行きか、バーテンの見習いを始めてはや一年。
ようやくカクテルの作り方を教えてもらい始めたので、アパートで練習していた。
が、味覚が違うのか人間用にはヘンな味になるらしい。

「うーん、普通においしいけど」
「…ちょっとイマイチ、というより変な味」

この通り、シスと緑ではまったく反応が違う。
基本のものをつくると変に甘かったりするらしい、とのこと。
オリジナルは推して知るべし。

「うーん…難しいな」
「難しくもなんも分量通りに作ればいいだろ」

言われてみれば、分量というものは人間が好む味にできるよう数値化したものの一つだろう。
今度はレシピ通りに作る。

「…おいしくない」
「これなら普通に飲めるな」

「コレはまずく作るといいのか…?」

味覚の違いは意外と重要な問題だったようだ。



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カリザナ二周目



一度だけ、夏の格闘の師匠と手合わせできる機会があった。


「ほー、ずっと9部隊なのか」

丁度演舞をしていたのを見学させてもらったのだ。
なかなかのキレで見事なものだった。

「手合わせ願えますか?」
「よろこんで」

手合わせを願い出ると、快く承諾してくれた。
これだけの技量の持ち主と手合わせなどめったにないチャンスだ。

互いに一礼をし、構える。

「一本先取、始め!」


合図とともに、空気が張り詰める。
相手の動きに細心の注意をむける。

勝負は一瞬。


「師匠、手加減してくださいよ」
「甘っちょろいこと言うな」

いつの間にか天井が見える。
先手は取ったが、一瞬で踏み込まれて投げられた。
床に叩きつけられた直後に左耳を拳がかすめる音がした。

「っ…!」
「勝負あったな」

かすめた拳は本気で頭を狙っていた。
だが、投げるときに掴んだ手を離さずに強引に引っ張られ、寸止めしていたのだ。
格の違いとはこういう事なのかと思った。

「夏と手合わせできるだけあるな、足りないのは…場数かな?」
「場数、ですか」
「要は数こなして経験積むといい、任務から学ぶことは多いからな。
 後は、冷静に相手を見切るようなやり方が合っていると俺は思う」

アドバイスを受け、はっとする。
格闘はただがむしゃらに突っ込むだけではない、相手の動きを読むのも重要なのだと。

「ありがとうございました!」
「元気いいな、時間があればまた相手するぜ」



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怜二周目



驚いて開いた口が塞がらない。

「さ…んにんめ?!!!」
「遺品整理中に、三番目がいるらしいデータがあってね」

カーディナルさん亡きあとのラボはシオンに引き継がれ、エースの実験施設として機能していた。
現在は主にクリムゾン用の飲料血液製造と事故などで体の一部が欠損してしまった場合の移植用クローン培養をしている。
ただ、まだ膨大な実験データが残っているので解析しながら片付けている真っ最中である。

その中にとんでもない情報があったのである。
一言でいうならば「甥っ子がもう一人居た」ということだ。



「いろいろ隠すために姉さんの所に行ったのかな」

イクスさんの言うとおりかもしれない。
カーディナルさんのラボは、もともと大規模なクローン人間の実験施設だ。
そこに未熟な胎児がいても「また作った」と言えばいい。

「でも何で今頃出てきたんですか?」
「何重にもプロテクトがかかったファイルの中に見つけたんだよ、解除するのに手間取って」
「…それじゃカー君もシオンちゃんも見つけられないわね」
「それだけ重大で誰にも知られないように隠したのか、姉さんは」

身内にすら知られたくなかった。
産んだ本人が考えた事での行動だと思うが、この調子だとパートナーも知らないんだろうなぁ…

「探すんですか?」
「もちろん。何か問題があれば連れてくるつもりです」
「わかりました、任務リストに入れておきます」
「あと、彬にも連絡して捜索に参加してもらって。場合によっては一部隊に協力依頼してもいいから」



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月唯二周目



「にっあうかなー?」

デザインは気に入ったものの、運悪くサイズが小さいものばかり。
一緒に来たパンドラならサイズが合うかもしれないと、試着室に連れこんだ。

「ゆ…月唯?!」
「たまにはいいじゃない、コレなんてどうかな?」

あれこれと組み合わせを考えて、ベストの組み合わせを探す。
貴族風のジャケットを着せるととても似合っていたので、それに似合うワンピースを探して試着させてみた。

「か…かわいいvv」
「うわーん、パンドラちゃんかわいいーvv」

かれんもパンドラの試着姿を見て、かわいさにメロメロになっていた。
当の本人も鏡の前で何度も確認している。
くるりと後ろを向いてみたり、何度もポーズを取ってみたり。

「パンドラちゃんも気に入ったみたい」
「かれん、半額負担して~」
「ちょ、月唯ってば『プレゼント買わなきゃー』っていってたでしょ」
「冗談よ」

ちょっと早いが、記念日でパンドラへのプレゼントを考えていたのだが丁度よかった。

「気に入った?」
「うむ、気に入ったのだ」

きらきらした笑顔で答えが返ってくる。
それで一式購入する理由には十分だった。



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シス二周目



悩み事がまた増えた。

「噂の高校生魔術師アサシンってあいつだな」

直感でただならない腕の持ち主だとは思った。
ただ…敵にするにはちょっと惜しい。
共闘するのがベストの選択なのだが…さて、相手はどうも有名魔術アサシンギルド所属。

「うーん、立ち位置がわからないとうかつに手が出ない」


事の発端は昨日のこと。
昼休みにダークネスが直接ゼノンをさらいに来たのだ。
直後、ゼノンを羽交い締めしているダークネスの背後から一撃をしかけた人物がいた。
鮮やかな緑色の髪は典型的な魔術士の特徴。
さらに一瞬で追撃行動をとり、戦闘慣れしている一面が見えた。

一昨日の入学式からも変な噂話で持ち切りだった。
「今度の一年生に有名な魔術アサシンギルドに所属しているやつがいる」
「一年生にめちゃくちゃ強い魔術師がいる」
等々、新入生の話題が飛び交っていたのである。


「なんでダークネスに強い殺意が向いてるのかな…何か因縁ありそうなんだけど」

屋上の柵に寄りかかり、いろいろ策を巡らす。
どうやって最低限争いを回避するか。
エースに相談すれば一気に解決しそうな気がしなくもないが…

『余り頼らず、己で解決せい』
「わかってますよ、老師」

ぼそっと剣につぶやくと人の気配が現れた。
横目で伺うと、あの噂の一年生。
表情からするにあまり友好的な気配ではないようだ。

「単刀直入に聞く、なんでお前らがこんな所にいるんだ」
「…もう見破られたのか」

自分たちの正体を見破るとは驚いた。
ここまで来ると…まさかとは思うが…
頭の片隅で「まずい」と警告が走る。

「安心しろ、危害は起こさない条件で上に来てるからな」

ごんっ。

いつの間にか居たゼノンが言い終わらないうちに、顔面に重い衝撃がきた。
ひしゃげた紙パックのミルクティーが転がる。

「ったくシス、言わなきゃならねぇことあるだろ」
「~っ!!」

直撃した痛みで身動きが鈍くなる。
というか、顔面狙うな!と言いたいが声も出ないくらい痛い。

「昨日は助かったぜ」
「は?」

そんな自分を尻目にゼノンは一年生にコーヒー牛乳を渡していた。
一年生は不審げにきょとんとしている。

「何があったかは知らねぇが、ダークネスの敵同士なら一刻手を組まないか?」
「エースからも直々にお願いします」
「か、カーマインさん!?」

さらにゼノンの後ろにはエースのカーマインが。
その姿に一年生が驚いた声を上げる。
…知ってるということは、何か一連の騒動関係者の親戚かなんかか。
その予感は見事的中する。


「紹介しましょう。この子は緑と言って、今の月の民王族の二番目なんです。
 あなた方が知っている月の王子と大地の王子の甥っこですね」

カーマインが一年生の肩をぽんっと叩いて紹介する。
一瞬の間。

「えええぇぇぇぇぇ!?!?」

綺麗に揃った驚きの声が屋上に響く。

「今の月の王は女王で、お相手は無のセラフじゃなかったか…?!」
「ええ、この子に何かあったら無が黙っていませんから」



とんでもない天敵の出現は春の嵐の予感がした。

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