メッセ館青ログ:オリジナルキャラ設定話に小話をつけてみる2
気が向いたので小話をちまちまと。
設定話順に5人ずつとなります。
アンタレスさん、シオン姉、ガーネ、エルス君、イクスまで。
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アンタレスの場合
「毒草の庭」
いつの間にかそういう名前がついてしまった広大な温室に今日も篭る。
何千種類もの植物の手入れのためだ。
「今日の手入れはこれで終わりかな」
植物の科ごとに整然と植えられている温室。
小鳥が飛び交っている。
マンドラゴラの幼苗がアンタレスの少し離れた後ろを興味津々でついてきていた。
持ち歩いているバケツには赤のジキタリスとフリルの白いケシ、ピンクのリコリス。
「ニゲラは終わったんだったな…ヒヨスでは地味だな」
伊達に「毒草の庭」というあだ名がつく場所ではない。
すべてここにある植物はおろか動物まで毒をもっている。
アンタレスのお気に入りの場所も例外ではない。
「おっと、忘れるところだった」
緑と赤のコントラストが日陰をつくっている。
そこに隠れている扉をくぐると、壁一面に赤い花が這わせてある温室に出た。
本来は毒を精製するために植えていたのだが…
「一輪もらうよ」
その花は余りにも愛しい人にそっくりだった。
結局、そのまま温室一つを明け渡すことになってしまった。
十数分後、隊長室のデスクの上にさっきの花が一輪。
もちろん机の主は誰が置いたのか知っている。
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シオンの場合。
「俺とつきあってください」
真木から花束を渡され一言。
周り一同呆然。
自分も唖然。
まさか自分にこんなことが起こるとは思わなかった。
自覚すると、今度は顔が熱い。
「そのっ…」
動揺してうまく喋れない。
落ち着かせるために胸に手をあてるとどきどきとしている。
「…ありがとう」
これが今の精一杯。
なにか気恥ずかしいのとうれしいのが入り乱れている。
「ほら、姉さん!」
「先輩やったな!」
オペラがシオンの、アルドが真木の背中を押して二人をくっつけさせる。
二人の顔がほんのり赤い。
そんな恋の始まり。
「カーマインさん…気持ちはわかるから」
隅っこでは、いつかは同じ目に合う緋翠がカーマインを励ましていた。
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ガーネットの場合
「みゃーっ」
「にゃーっ」
使い魔たちのおやつ争奪戦はかなりにぎやかである。
しかも今日は激しい。
それもそのはず、今日はガーネット手製のカップケーキ。
「もーケンカしないでよ~」
猫五匹はどたんばたんと争奪戦を繰り広げている。
カーバンクルはすでに高い場所にケーキを持って避難中。
猫ルーンはそろそろ実体に戻ろうかと思うくらいにケーキ死守中。
フェンリルは収まるまで貰えなさそうなのでお座りの体勢だ。
「これは違うのー」
ガーネットが持っているのは、フェンリルの分なのだが…
これを狙ってぴょんぴょん飛び上がる者がいるのだからタイヘンだ。
「あ。」
バランスを崩したところをしっぽではたかれ、ケーキが手から離れる。
キャッチしたのは、実体に戻ったルーンだった。
「スイマセン;;」
「いや、いい。紅茶が欲しくなったのでな」
足元から「そういえば欲しいですねぇ」という三毛猫の声が聞こえた気がする。
「じゃ入れてきますね、いつものジャムティーでいいんですか?」
「ああ、お願いするよ」
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エルスの場合
「げほっっ」
爆発の粉塵を吸い込んでしまい咳き込む。
あっという間に防御用に張っていた歌が切れた。
「う…げほっげほ」
「ちょっと!!」
首根っこをつかまれ、手近な部屋に逃げ込む。
それでも咳は止まらない。
咳のし過ぎで目の前がにじむ。
手渡された水を飲んでやっと落ち着きはじめた。
「大丈夫…?」
聞かれた問いに首を横に振る。
背中をさすって貰っている怜には悪いが…たぶん声がでない。
歌を術の媒体にする自分は、声が出ない=術が使えないことに直結してしまう。
「…まいったなぁ」
声が出るまで隠れているのが一番なのだが…
いかんせん乱戦中なので難しい。
「音がでるなら楽器でも術つかえる?」
なにか怜が思いついたらしい。
音が、できれば澄んだ高い音が出るものならなんでもいい。
そんなニュアンスを伝えると、いくつかのキーホルダーを取り出してきた。
「ちょっとまって…」
キーホルダーについていた小さな鈴を外し、一つにまとめる。
たしかに小さい鈴なら高い音が出る。
範囲は小さいが防御くらいなら使えそうだ。
「…わるいな、」
礼を伝える声が枯れている。
これでは声が出るのも時間がかかりそうだ。
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イクスの場合。
なにぶん私設部隊を作るのは骨が折れる。
まぁルーンが話に乗ってくれたから資金の調達は楽だろう。
あとリオさえ話に乗ればしめたもの、おまけでアンタレスもついてくるだろうし。
「あとは…施設か」
今から交渉に行くのは澪とラピス。
前者は宇宙空間にラボを持っているので。
後者は人材の引き抜きのために意地でも交渉。
先に面倒なラピスとの交渉するかと隊長室に向かう。
「てなわけで怜貸してください」
「…返せの間違いじゃねーのか。」
まぁ手塩にかけて育てたのであながち間違ってはいない。
ラピスの毒舌は今に始まった事ではないので、これまた無視。
「うーんそりゃいいんだが、あいつ今産休中だぞ?」
「あれ?」
「一人目生まれて、報告したいが捕まらないとぼやいてたぞ」
……これはこれは大失態。
「何かお祝いしなきゃダメですよね」
「してこい。お前に一番見せたいようだからな」
しかたなく、でもうれしそうに小走りで隊長室を離れるイクスであった。
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