サリサリくん
かわいいと 思わずには いられない

そっとして
    おいて下さい

すきです
河出書房新社「サリサリくん」裏表紙より引用
サリサリくん、乱暴者のゴムタ、研究をしているスイムくん、サリサリくんの妹が登場する絵本です。
「つれづれノート」160ページには、河出書房新社から出版された「サリサリくん」を含め、「黄昏国」「無辺世界」「月夜にひろった氷」の4冊は、「私にごく内面の世界をあらわしていて、私の人生の中でも、特別な空間を形作っています。とても、ありがたい宝です。」と書かれています。
「サリサリくん」ののほほんとした暖かみやしんみりさ、これも夏生さんの世界かと思います。
サリサリくんはのんきもの。スイムくんは思索家という感じ。二人の好きなものも違うけどそんな二人の関係。
好きな物質的なものはお互いにあるけど
「ぼくらは やっぱり あたがいの 
こころ以外のものをつかって しあわせに なっても 
それは、 ほんとうの しあわせじゃ ないんだね」
という言葉にぐっと来ます。
ところが最後にはホットケーキの山にしあわせだと・・・・夏生さんらしさを感じます。
サリサリくんとスイムくんのような関係の恋の詩がいくつかありますね。
はじめのページにサリサリくんが手に持っているもの。。。。。
長い棒の先にミカゲツのような形をした皿状のものがあり、そのうえには珠がゆらゆらと浮かんでいる。
この持っているものは、「無辺世界」のはじめのページのイラストにも出ています。心をあらわしているのかな?
サリサリくんがゴムタにいじめられそうになったとき、この棒はバラバラになります。すごく不安定さを感じます。どう思いますか?
1986年11月30日
河出書房新社より初版発行

在庫の有無は河出書房新社へ
銀色夏生ページ 掲示板

2008年12月2回目感想
表紙は、「サリサリくん」とカタカナで、その上に小さく「さりさりくん」と。表紙を開けると表題がまたあり「さりさりくん」となっていますし、本文中も「さりさりくん」です。しかし出版社などが書かれたページには「サリサリくん」とありますから、この作品の正式な表題は「サリサリくん」ということになりますね。(ちなみに銀色夏生のカタカナや平仮名書きは、ギンイロ ナツ「ヲ」です。平仮名サインも「を」です)
銀色夏生さんのイラストと手書きの文字による絵本です。
絵本というのは銀色夏生さんの作品中でもこの1冊だけです。
さりさりくんは、気分よく散歩をしています。でも乱暴者のゴムタに意地悪をされそう。。。
さりさりくんというぐらいですから男の子?でも、夏生さんが描く多くの登場人物の中には、どことなく男の子のような女の子でもあり、女の子のような男の子でもあるような。どこか中性的なものを感じます。これも夏生さんの内面的なものかな。。。。さりさりくんは小学校1年生ぐらい。でも、子供のような青年でもあり、青年のような子供でもある。これもまた夏生さんの内面でしょうか。。。。
そんなさりさりくんは、ゴムタから逃げて丘の上に立つ。そこに同じクラスのスイムくんと会う。すぐに二人は友達に。。。。
どこかのんびりしていていろいろな物が大好きなさりさりくんと、研究をすることが大好きなスイム君。そんな二人に幼い恋というのか大好きな友達同士の素敵な雰囲気を感じますが、初期の作品の中には、単純に好きとか嫌いと考える子と難しく考える子というような二人も出てきますが、これは夏生さんの中にある恋愛感や友人関係の感じ方でもあるのでしょう。性格や考え方の道筋が違っていても心が一致できる喜びというようなものだと思います。または、夏生さんご自身の内面にある二面性といってもよいのではないでしょうか?
そんな二人は落ちていた禁断の木の実を食べる。
好きなもの。。。。心の中にある好きなものが浮かぶ。
さりさりくんは、スイカとかお団子とか。。。。
スイムくんは、興味深い植物たちが。。。
心の中に浮かぶ好きなものはこんなにも違う二人ですが、二人は考えます。
「ぼくらは、やっぱり、おたがいのこころ以外のものをつかってしあわせになってもそれは、ほんとうのしあわせじゃないんだね」
と。
こうして二人で歩くのが一番好きとも。。。。
人は人同士違いはあります。違いがあるのが当たり前、でもなんで違った人を好きになるんでしょうか?一緒に歩きたいから。。。。。
一緒に歩きたいという気持ちが一緒ならば、心に浮かぶいろいろ好きな「物」は違ってもいいはずで、っそれはお互いに尊重しあえる。自由な二人の関係ですね。
でも、やっぱり日常の中を一緒に歩くんだから、時々は好きな「物」を二人で楽しまなくっちゃ。さりさりくんとスイムくんは、ピクニックに行ったりたくさんのホットケーキを二人で焼いたり。。。。。。
この人生観。。。。
今も夏生さんは語り続けています。

銀色夏生さんの「サリサリ君」の世界へようこそ。こちらは「サリサリ君」の紹介と僕の感想のページです。一部の引用を除き僕の個人的な感想です。よろしかったら皆さんのお声も聞かせてください。