| 山本さんの作品ははじめて読みました。 どのようなものを書いているのかまったく予備知識もないままに「チェリーブラッサム」というどこかで聞いたことがあるような題名に引かれて読んでみました。 妻をなくした親父が二人の娘たちのために銀行を退職し「便利屋」をはじめる。主人公の女の子「実乃」は中学2年生。姉「花乃」は3年生。まったく違った性格の姉妹で、実乃は父親ゆずりの性格。一本気でどこか素直になれない性格。そして喧嘩ぱやい。 同級生の男の子の家でおばあちゃんの盲導犬ラブリーがいなくなり、親父がひそかに慕うその男の子の独身のお母さんが便利屋に捜索を依頼する。小説はこのラブリーを捜す中での人間関係をコメディータッチでえがいています。 少しサスペンス風の犯人探しですから楽しく読める本でした。でも、どことなくテレビでやっているサスペンス「○○殺人事件」のようで、読んでいると面白くて読んでしまうのですが、なんかあとに残るものがないというような作品でした。 親父や町の中の人々は人情味があるのですが、この人情味もそうは感じさせませんし、ほんのりとさせられるものもない。親父もただの馬鹿親父のようですし、家族の絆というものも感じない。なんかすべてが中途半端というのか? ただ、主人公の実乃ちゃんはかわいいですね。中学生という多感な心の中は面白いです。でもこの主人公がラブリー失踪事件を通じて少し大人になっていくものや、親父とのふれあいの高まりなど家族というものがもう少し出ればと思います。同じように、悪徳不動産屋の女装癖もいいのですが、そこも複雑な家族ですので関連付けて家族が現れていればと思います。また、ラブリー家もたんなる世間騒がせな家族という印象しか見えないで、つい苦笑してしまいました。 なんか奥深さがなく、奥深さがなくても読み終わった後に何かほんのりしたもののようなものがあればいいのですが、それもないという感じでした。 読む本がだめだったのかな? あとがきに少女小説とありますから、少女向けの本なのか?そして読んで違和感が・・・・と書いてありますので、この僕の感想がその違和感なのかもしれません。 ほかの作品で素敵なものがありましたら教えてください。 2003年10月 記 夕螺 |