椰子・椰子
新潮文庫
川上 弘美  著
川上さんの日記と言ってもいいのか、日記風の小説と呼ぶべきか?川上さんらしい不思議な世界が広がる作品です。
「あとがきのような対談」で、川上さんは、作品の半分ぐらいは見た夢をまとめたと書いていますが、やはり日記といっていいのではと思います。
書き出し部分は、実際の川上さんの体験で、それを川上さん独特のお話にまとめたのだと感じまいた。そこには、美しさ、ユーモア、少し怒ったもの、皮肉など川上さんの感情が不思議な世界として抽象化されているのかと思います。
現実離れをしたお話としての日記ですが、そこには違和感はなく、その裏に川上さんの生活が見えるような気がいます。子供を畳んで箪笥にしまって出掛けるというところなどは、たまにはうるさい子供たち抜きで出かけたいというような親の心情も感じられます。
列車の踊り子号を待っていたら、それが貸切で、中にいたのはみんなテナガザルだったなどは、想像するとにやっとしてしまうような皮肉です。
やはり「あとがきのような対談」で、ごくありふれた日常の中から材料を拾って書いているとありますが、この日常を題材にしているからこそ不思議なお話しにも違和感がないのだと思います。


              2004年2月26日 記

                          夕螺