「リセット」
                       (新潮文庫)
             北村 薫  著
物心の付かない頃、戦前にあらわれた獅子座流星群をみた真澄。少し年上の修一。
真澄が女学校に通いはじめた頃に二人は知り合い好意を持つようになる。二人は次に現れる獅子座流星群をみようと約束する。戦争がはじまり二人も軍需工場にかり出される。そこで修一は空襲で死ぬ。
戦後村上という男が病院の中で子供の頃の日記を読み返しながら謎を秘めた話を録音しはじめる。この村上が小学生の頃の日記である。
村上が小学校の頃に貸本をする女性と知り合う。それが生き残った真澄である。ある日、村上は読んだこともない昔の啄木カルタの歌を覚えているように詠む。そのことを発端に村上が戦死した修一の生き返りだということがわかってくる。しかし真澄は小さな少年に修一が生まれ変わったことによろこびを感じるがつらくなり引っ越す。引っ越した先を突き止めた村上少年は会いに行く。
その帰り道、列車事故により真澄は死ぬ。
村上少年が成長し就職をした頃、ひとりの少女と知り合う。それが真澄の生き返りだと知る。後に結婚をし二人が見たものは。。。。。
生き返りという物語の中にリセットが表現されていますが、親から子へ思いなどが継承されていくという物語でもあります。
一度死んだ愛し合う二人が生まれ変わって再会をし、結婚をする。それも戦争や事故という悲惨な死に方をした二人ですから、結末には暖かいものがあふれています。
リセット。。。。。これは人間の問題として取り上げられていますが、もう一つには、その人間自身が作っている社会があります。社会もリセットされるのか?人間がリセットされるなら、その人間の作る社会もリセットされるはずです。
たしかに今は危険な政治情勢ですね。。。。。。
この前の獅子座流星群をみた子供達の運命が戦前にあらわれた獅子座流星群をみた子供達と同じものであってはならないと思います。

           2003年8月  記
                        夕螺