東洋医学と西洋医学



 古いギャグに「健康は命より大事」というものがありました。これは今、耳にすると妙に説得力があります。つまり、ギャグというより本音とか、本質に近いものという気がしてなりません。
 数年前、経済の急激な成長に乗って「健康ブーム」が巻き起こり、健康産業なるものが産声を上げました。そして、そのブームは景気が落ち込んだ今でも益々盛んになり、しっかりと社会に根を張って定着しました。
 日本は世界一の長寿国です。しかし、平均寿命は伸びているのに、健康で長生きしている人は以外と少ないのです。私の治療院を訪れる患者さんとお話をしてみると、誰もが異口同音に「寝たきりになりたくない」「アルツハイマーになりたくない」「植物人間になりたくない」といいます。
 端的にいえば、健康で長生きするのが一番であって、病気で長生きするくらいなら早く死んだ方が増しということのようです。



 医学を大別すれば西洋医学と東洋医学になります。体験から生まれた東洋医学に対し、西洋医学は理論から、サイエンスの研究の中から育ってきました。
 我が国においても、古くから行われてきたのが、漢方薬やはり灸、あん摩術といった東洋医学でした。日本の医学を守ってきたのが東洋医学です。しかし、西洋医学が我が国に入ってきてからは、西洋医学の即効性に人気が集まり、流行り病に対処できない東洋医学は欠点を露呈した形で、やがてお国の医療制度からも弾き出されてしまいました。これは東洋医学にとって、また国民にとって、大変な不幸であったと思います。
 ちょっと脇道に逸れますが、古いものだから悪いものということはありません。古いものを捨てるということを繰り返していたら人類はそして地球はどうなってしまうのでしょうか?


 大正、昭和と紆余曲折ありました。特に戦後の一時期、東洋医学にとって最も苦しい存続の危機もありましたが、諸先輩の並々ならぬ努力によって、また国民の皆さまの根強いニーズに支えられて滅びる事なく残ってきました。本当によかったと思います。
 しかし、東洋医学にとって、これからが正念場といえるでしょう。
 つまり、西洋医学と肩を並べるポジションがとれるのか。それとも西洋医学の中に組み込まれてしまうのか。
 私は前者を希望しております。しかし、どちらの方向に進むにしても、国民の皆さまには、東洋医学が益々振興し、安い料金で、できれば保険で受けられるようになるならば、それは非常に歓迎すべきことであると思います。



 最近、「人の体は小宇宙」という言葉をよく耳にするようになりました。これは東洋的な発想であると思います。
 地球は何処から生まれて何処へ向かおうとしているのでしょうか?
 そして人類は?
 今、人の体の中で起きていることは、宇宙で起きていることと同じです。つまり、「流れとバランス」によって健康と生命が保たれているのです。
 この流れとバランスが順調に保たれている内は、人は健康で生活できます。しかしひとたび、この流れとバランスに乱れが生じた時、人は体調の不良を訴えます。
 もしも、宇宙の流れとバランスに乱れが生じた時は?
 考えただけでゾッとします。



 生命を守るために必要な西洋医学。これに対し健康を守るために必要不可欠な東洋医学。東洋医学は「未病を治す」とも云われています。つまり、重い病気になる前に治してしまいましょうという考え方です。
 ○東洋医学は内から治す
 ○東洋医学はじんわり治す
 ○東洋医学は副作用がない
 ○東洋医学は慢性病に効く
 ○東洋医学は重篤な病いには効かない
 いずれも、どこかで聞いたようなフレーズですが概ね当っています。西洋医学が苦手としている部分は、それは東洋医学が得意としている分野なのです。実にうまくできていると思いませんか?
 西洋と東洋の医学を上手に併用することにより快適な人生をエンジョイできるのではないでしょうか!

はり灸マッサージ師 井原康彰

 

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