恋に酔う


《壱哉、明日の金曜、空いてるか?》
 いきなり電話をかけてきた樋口の唐突な言葉に、壱哉は戸惑った。
 樋口がこんな風に誘って来たのは初めての事だ。
 いつも樋口は、壱哉が忙しい身であるのを気にしているらしく、休日であっても自分からどこかに出掛けようと言って来た事は殆どない。どうしても出掛けたい場所がある時は、一月も前から予定を空けてくれるよう頼んで来ていた。
 都心の本宅に戻る時、土日はあの街で過ごす、と決めていたにも関わらず、結局仕事に追われて、行けないで終わってしまうのも少なくなかったりしていた。
 だからたまの休日は、壱哉が誘わなければ出掛ける事は稀だった。
《やっぱり、今週も忙しいのか?》
 壱哉の沈黙をどう取ったのか、樋口の声が失望の響きを帯びる。
「‥‥いや。わかった、どうすればいい?」
 明日の予定を頭の中に描きつつ、壱哉は言った。
《うん、それじゃ、九時‥‥ううん、十時ごろまでにこっち来れるか?》
「わかった」
《あと、できればスーツとかじゃない方が‥‥って、お前、現場に出ることなんてないだろうからなぁ。それは無理か。まあ、いつもどおりでいいや、明日な!!》
 自分で言い出して自分で思い直したらしい樋口の、どこか嬉しそうな言葉を最後に、電話は切れた。
 ひとつ、ため息をついた壱哉は、控えていた吉岡に視線を向ける。
「吉岡、すまんが明日の予定は全部キャンセルしてくれ」
 壱哉の表情からある程度の見当は付いていたものの、吉岡は眉を顰めた。
「お言葉ですが、明日の会食は政界要人とのものですので、キャンセルは‥‥」
「どうせファイナンス絡みだろう。うちから融資を受けている連中に遠慮などいらん」
「‥‥‥わかりました」
 言いたい事はあるのだろうが口にせず、吉岡は軽く頭を下げた。
 隠し切れないため息のようなものを聞いた気がするのだが、無視する。
 金融政策の見直しが予定されているらしいから政界とのパイプは太いに越した事はない。しかし、樋口の誘いを断ってまで会う程の相手ではなかった。
 大体、以前と違って主力事業はファイナンスや建設関係から別の分野にシフトしているのだ。
 いい加減、一族の汚れ役には飽きが来ていた。
 西條がトップとしている限り、裏金担当と言う立場に立たされるのは避けられないだろう。そうだとしても、法律すれすれのラインを何とか立ち回って、失敗すれば切り捨てられかねない不安定な事業ばかり押し付けられるのはもう御免だ。
 少なくとも、太陽の下が似合う樋口に恥ずかしくない事業をしたい。
 そう思うようになっていた。
「まぁ、デスクワークぐらいは片付けて行かなければな」
 独り言のように呟いて、壱哉はデスクに山積みになっている書類を手に取った。


 翌日。
 壱哉は、九時半には樋口の家に来ていた。
 少し早かったので、薔薇園の方に足を伸ばす。
 樋口が作り上げた薔薇は四季咲き性だから、今日も薔薇園からはあの優しい香りが流れて来る。
 あの薔薇以外にも、深紅や純白、黄色など、色とりどりの薔薇が敷地の中に咲き乱れている。
 中でもややピンクや赤系の色が多く見えるのは、樋口の好みなのだろうか。
 ゆっくりと歩を進めると、温室から樋口が出て来るのが見えた。
「あ、壱哉‥‥‥おはよう」
 樋口が、壱哉の姿を認め、笑顔になる。
 太陽のように眩しい笑顔だ、壱哉はそんな事を思った。
「俺、調子に乗って呼び出しちゃったけど‥‥予定、大丈夫だったのか?」
 今更心配していたのだろうか、樋口は少しだけ気遣わしげな表情で壱哉を見る。
「いや。最近は土日も休めなかったからな、丁度良かった」
 壱哉の言葉に、樋口はほっとしたように表情を緩めた。
「ちょっと待ってくれ、用意するから」
 と、樋口は家の方へ消える。
 樋口を待つ間、壱哉は薔薇園の中をゆっくりと見回した。
 相変わらず、良く手入れが行き届いている。
 枯れた葉や終わってしまった花がそのまま付いている事もなく、どの株も生き生きとした葉を広げている。
 素人にも、これだけの面積の薔薇を手入れするのがいかに大変なのかは想像出来た。
 壱哉が樋口のバックアップに付けたスタッフは種苗の販売と資金運営部門が主で、薔薇園と店に関しては本当に手伝い程度だった。せいぜい、樋口が手が回らない時に代わって引き受けるぐらいである。
 薔薇の手入れは自分でやりたい。
 その頑固なまでの態度に、壱哉は苦笑しながらも、樋口らしいと思ったのを覚えている。
「変わっていないな、本当に‥‥‥」
 確か中学時代も、気弱で自己主張がなさそうに見えて、自分の信じる事には結構頑固だったような気がする。
「お待たせ!」
 そこに、いつものように朗らかな顔で、樋口が出て来た。
「‥‥‥‥‥」
「?何だよ、俺の顔になんかついてる?」
 顔はちゃんと洗ったぞ、などと真面目に自分の顔を撫で回す樋口に、壱哉は苦笑した。
「なんでもない。それで、どうするんだ?」
 壱哉の言葉に、樋口は片手にしていたキーを上げて見せた。
「ちょっと、ドライブにいい場所を見付けたんだ。少し離れてるけど」
「お前の車で行くのか?」
 訊き返した壱哉の言葉をどう取ったのか、樋口は頭をかいた。
「まあ、お前の車と違って座り心地は悪いけど‥‥でも、お前のでっかい高級車じゃちょっと行けない所なんだ。‥‥‥嫌か?」
 休みまで取らせておいて、今更『嫌か』もないものだと思ったが、壱哉は肩を竦めた。
「まあ、いいだろう。何事も、経験するのは悪くない」
「うわ、嫌味っぽい」
 言いながらも、樋口は笑顔だった。
 余程、今日壱哉が来てくれたのが嬉しいらしい。
 樋口について、壱哉は土などを置いてある倉庫の脇へと赴く。
 そこには、普段配達などに使うワゴン車に並んで小さな乗用車があった。
 初期投資は全て壱哉が資金を出したのだが、その時、商用だろうが何だろうがワゴンで行くつもりをしていた樋口に呆れ、壱哉が無理矢理買ってやったものだ。
 もっとも、その時壱哉は自分と同じ高級車を買おうとしたのだが、さすがに樋口の抵抗に遭って、このごく一般的な乗用車に落ち着いた。
「‥‥まぁ、あればあったで役には立ってるよ、うん」
 樋口が言い訳めいた事を言った。
 休みの日も薔薇の手入れと店の運営が優先する樋口は、旅行や遊びに行く事などなく、必然的にメインで乗っているのは配達用のワゴンになっている。
 結果、この乗用車を一番利用しているのは、樋口に用事を頼まれたりしている手伝いの青年だった。勿論、壱哉が派遣した人間である。
 そんな事を考えているうち、樋口は車を壱哉の前に止める。
 そう言えば、吉岡以外の運転する車に乗るのは初めてかも知れない。
 思い返すと、今まで自分で運転する以外は、本家などの運転手か吉岡、慣れた者にしか任せた事はなかった。交通機関も全くと言っていい程使った事はない。
―――こいつ、まともな運転ができるんだろうな‥‥?
 ちょっと心配になってしまった壱哉である。
 しかし今更引っ込みもつかないから、壱哉はドアを開け、助手席に乗り込む。
 小型とは言え、中は余裕のある車種を買ったから、壱哉が乗っても思ったより窮屈ではなかった。
 普段乗っているのとは違う普通の車に、しかも助手席に乗ったのが珍しくて、壱哉はついあちこちを見回してしまった。
「そんなに珍しいか?‥‥って、お前には珍しいか」
 言いかけて、壱哉には普通の人間が普通に体験している事も新鮮なのだと思い直す。
 樋口は、車を市街地から南の郊外に向けて走らせる。
 壱哉は樋口の運転が中々のものである事に少し感心していた。
 吉岡のように几帳面に計算され尽くしたものではないが、少なくとも、丁寧な運転には入るだろう。
 他人の運転はあまり好きではない壱哉だが、これなら大丈夫だ。
「思ったより、うまいな」
 独り言のような呟きに、訊き返すように視線を向けて来た樋口は、意味に思い当たって苦笑する。
「まぁ、鉢とかアレンジとか運ぶのに、乱暴な運転はできないからな。それに、俺が車苦手な方だから、自然、自分は運転が丁寧になるんだ」
「車が苦手だったか?」
 それは初耳な気がして、壱哉は思わず訊き返してしまった。
「あぁ。体調が悪いときに運転の荒い車に乗ると車酔いするし。本当は自分の足で歩くか、自転車が一番いい」
「‥‥野生児だな」
 からかうつもりの言葉に、しかし樋口は真面目に考え込んだ。
「うーん、もしかするとそうかも。あんまり人口の建物に囲まれた場所は落ち着かないからな。やっぱり、植物に囲まれてると安心するよ」
 結局、薔薇から離れられないらしい所は、やはり樋口らしいと思う。
 樋口の場合、生活パターンや感性まで、全て薔薇が基準になってしまっているのだろう。
 時々、樋口が薔薇しか見ていないように思えて、面白くない時すらあった。
―――薔薇に嫉妬してどうするんだ、俺は‥‥‥。
 小さくため息をついて、壱哉は窓の外に視線を移した。
 三十分も走ったろうか。
 樋口は、どうやら郊外の山間部の方に向かっているらしい。
 しかし壱哉の記憶では、山を越えれば隣の町で、その間に大した施設はないはずだった。
 唯一思い当たるとすれば、山頂近くにある展望エリアだ。
 この辺りでは比較的高い山である為にそこそこ見晴らしが良く、小さな駐車場が設けられている。
 夕方はカップル、夜中は暴走族の溜まり場になっていると言う話だ。
 しかし、まさかそんな場所にわざわざ壱哉を呼び出すはずもないだろう。
 そんな事を考えているうち、樋口はメインの道路からやや細い脇道へと逸れる。
 林道らしいその道は、山奥のほうへ続いている。確かに、この道幅では壱哉の高級車はギリギリだった。
 うっそうと茂る木々の間の道を通り抜けると、急に視界が開けた。
 暖かな日差しの降り注ぐ山の斜面に沿うようにして、道はさらに奥へと続いている。
 道の両脇には、壱哉が名も知らない木々や植物が生い茂っている。
 樋口は、カーブの近くにある待避所に車を寄せて停めた。頭上に張り出した太い枝が、柔らかな日陰を作っている。
「?」
 不審に思った壱哉だが、樋口が車を降りたので自分も降りる。
「ほら、見てみろよ」
 樋口の指差す方に視線を向けると。
「これは‥‥‥」
 壱哉は、言葉を失った。
 なだらかな斜面の至る所に、薄紫色が広がっていた。
「藤の花、か?」
 確かめるような壱哉の言葉に、樋口は頷いた。
 だが、社寺などの藤棚しか見た事がなかった壱哉には、それが同じ藤の花とは思えない程綺麗に見えた。
 あるものは枯れた木に絡み付き、あるものはゴツゴツとした岩場から太い枝を伸ばし、鮮やかな青葉と淡い色の花房を風に揺らしている。
 中でも、道路脇の大木に絡み付いた藤の老木は、木の葉が隠れる程見事に花を付けていた。まるで、一本の巨木が身を覆う程に藤の花を咲かせているかのようだ。
 人工的に整えられたものではないそれらは、生命の力強さを感じさせる。
 遠くから見ると、それらはまるで、若草色の岩場を流れ落ちる薄紫色の滝のようにも見えた。
「こっちにも大きい木があるんだぜ」
 樋口が、車を止めた場所から少し離れた場所に壱哉を招く。
 道脇の潅木に絡み付いたその藤は、偶然にも、藤棚のように頭上に枝を張り、大きな花房をいくつも下げていた。
 広葉樹の枝と藤とで丁度木陰のようになっていて、やや強くなり始めた日差しを穏やかに遮っている。
 長い花房が風に吹かれ、優雅に揺れていた。
「俺を連れ出したのは、これだったのか」
 壱哉の言葉に、樋口は照れたように笑った。
「この前、隣町に配達に行った時、偶然ここを見つけてさ。ちょうどこの週末が見頃だと思ったんだけど、明日は雨の予報だったろ?だからどうしても、今日お前を連れて来たかったんだ」
「‥‥‥‥‥」
 壱哉の無言をどう取ったのか、樋口は慌てたように言葉を継いだ。
「ほら、お前っていつも会社で仕事だろ?だから、こういう自然って新鮮なんじゃないかと思って」
 どこか言い訳めいた樋口の言葉に、壱哉は苦笑した。
「そうだな。確かに、悪くない」
 藤は、あまり花に詳しくない壱哉が好む数少ない花だった。
 第一に紫である事、そしてどこか優美な花の姿が好きだった。
 しかし、壱哉は普段花を愛でて飾ったりするような習慣などなかったから、吉岡もその事は知らないのではないか。
 樋口は壱哉が紫を好むと知っていたから藤を見せようと思ったのだろうが、偶然とは恐ろしいものだ。
 いや、偶然ではないのかも知れない。
 この男は、壱哉自身が気付いていなかった心の中まで、ごく自然に見抜いてしまうのだから。
 壱哉の口元に浮かぶ微笑に、樋口はホッとしたように肩の力を抜いた。
 やはり、忙しい壱哉を突然呼び出したのを気にしていたのだろう。
「まぁ、たまにはこうして自然の中にいるのもいいかもしれんな」
 低く笑って、壱哉は呟いた。
 大きく息を吸い込むと、山の中の澄んだ空気が胸の中を満たす。
 こんな風に自然の中で過ごす事など、樋口と知り合わなければなかったかも知れない。
「‥‥‥よかった」
 安堵のため息と共に、樋口が笑顔になった。
「こうやって見ると、藤棚などとは雰囲気が違うものだな。自然で、こんなにまとまって咲くとは知らなかった」
 壱哉の言葉に、樋口は苦笑した。
「藤は結構丈夫だからな。俺は、こうして野生で見る方が好きだよ。藤棚だと四角とかアーチとか、どうしても決められた形になっちゃうけど、野生だと予想もつかない枝ぶりになってくれるから。ほら、あんな風に、滝みたいに見えたりするだろ?なんか自然の不思議さ、みたいで好きなんだ」
 そう言う樋口の言葉は、やはり薔薇や植物から離れられないもので。
 このバイオテクノロジーの世の中で、頑固な程、交配による品種改良にこだわっているのも判るような気がした。
 本当に、樋口には眩しい太陽と大地が似合う。
 改めて壱哉はそう思った。
 しばらく辺りを散策してから、壱哉達は車で一休みする。
 シートを後ろに倒し、運転席と助手席のドアを開け放して置くと、涼やかな山の風が車の中を吹き抜けて行く。
「ここの少し先には遊歩道があって、もうちょっと山の方まで入れるんだけど。ひと回りすると二、三時間かかるし、まさか背広と革靴じゃ行けないしな」
「いや、俺はここでも十分だ。いつもコンクリートと書類に囲まれているのを思えば、本当に自然の中にいる気がする」
 壱哉は、皮肉でもなんでもなくそう言った。
「‥‥‥そっか」
 樋口は、はにかんだように笑った。
「確かに、こうしていると時間の経つのを忘れてしまうな。リラックスできる」
「うん。俺も、配達の途中にちょっと休もうと思ってここを見つけたんだよ」
 水平に近くシートを倒し、樋口は大きく伸びをした。
「ほぅ‥‥」
 そんな樋口を見下ろした壱哉の目線が、シャツから覗く鎖骨に止まる。
「‥‥‥もう少し、リラックスするのも悪くないか」
 壱哉の口調が、聞き覚えのある響きを帯びた事に樋口が気付いた時。
「うわ、ちょ、ちょっと‥‥!」
 いきなりシャツの下に潜り込んで来た手に、樋口は慌てた。
 既にシートを倒して横になっていた状態の樋口は、上から押さえつけられて逃れられない。
 身を捩っても、慣れている壱哉には何の抵抗にもならなかった。
「なんで自然の中でリラックスするのがそうなるんだよ!」
 真っ赤になって抗議する樋口に、壱哉は悪びれもせず、楽しげな笑みを浮かべて見せた。
「フ‥‥どうも、藤の花に酔ったのかもしれんな」
 反射的に藤の花言葉を思い浮かべてしまった樋口は、脱力してしまう。
 サンダーソニアを見た時もそうだったが、壱哉は本当に花言葉を知らないのだろうか?
 花言葉など知らない、と言いつつ、その花から思い浮かべるイメージはかなり的を射ている。
 樋口と違い、花の知識など全く持っていないから、かえって先入観なく花を見る事が出来るのかも知れない。
 そんな事を考えていた樋口は、つい抵抗するのを忘れてしまっていた。
 その間に壱哉の慣れた指が胸肌を這い回って敏感な場所を探り、樋口は思わず息を詰めた。
「お前っ、なにもこんな所で‥‥!」
 精一杯の怒りを込めて壱哉を見上げたのだが。
「ア○カンと言うのもいいだろう?」
 わざと耳元で囁かれた言葉に、樋口は真っ赤になった。
「え、えーと、俺、日本酒は冷の方が‥‥」
「‥‥無理にボケようとしても無駄だ」
 実に冷静に流すと、壱哉はそのまま動きを再開する。
「まっ、ちょっと待てってば!人が来たらどうするんだよ!!」
「ここに一時間以上いるのに、一台も車は通ってないだろう。それに、人に見られても別にかまわん」
「お前が良くても俺は嫌なの!」
 自然は人を解放的な気持ちにすると言うが、これでは開放的になり過ぎだ。
「動けなくなっても俺が運転して帰ってやる」
 普通車を運転するのも経験だしな、などと壱哉は本気か冗談か判らない事を言う。
「大体、まだ昼間だろ?!こんなに明るいのに‥‥」
「それなら、暗くなればいいのか」
「‥‥‥‥」
 とっさに、違うと言えなかった自分が情けない。
「なるほど‥‥‥」
 壱哉の口元が、嫌ぁな笑いの形になる。
「俺も、嫌なものを無理強いはしたくないからな」
 臆面もなくそう言った壱哉は、目を細めた。
「‥‥‥暗くなってから、ゆっくりと戴く事にしよう」
 凄絶な程の色気すら感じる視線に、樋口の背筋をぞくりとしたものが走る。
 何となく、取り返しのつかない事を口走ってしまったような気がした―――。
 その後、街に戻って、二人は食事をしたり街をブラついたりして過ごした。
 勿論夜には、壱哉は当然な顔をして樋口の家に泊まった。
 そして翌日の土曜日。
 「樋口花壇」は臨時休業、壱哉が戻ったのは更に翌日の夕方、暗くなってからの事だった。


END

top


えー、タイトルは藤の花言葉です。タイトル負けしてますねー、完全に(汗)。暗くなってからの出来事を書くと完全にタイトルと違う話になってしまうのでやめました。
外回りの多い仕事をしているので(しかも田舎で)、運転中に藤の見事な花を見かけて思い付いた話です。樋口が「配達途中に〜」とか言ったのはまるっきり経験談です(苦笑)。訪問先への時間調整とかで山際の待避所で時間潰ししたりするのですよ。実際、藤は殆どが崖のような傾斜地に生えているのでこんな事はありえないのですが。
ア○カン→熱燗、のボケは某有名男性向けゲームからいただいています(アリスソフトではないのですが)。