第69話

神さまのご開運を祈るとは・・・



ふつうは神社で祈願する場合、「神さまに自分の開運を祈る」ものですが、
私がお勧めしている祈り方は「神さまのご開運を祈る」ことです。

この逆転の発想の祈り方は、幕末の神道家「黒住宗忠(くろずみむねただ)」が
提唱されたものです。

宗忠はその生涯で六度、伊勢神宮へ参拝していますが、参宮のたびに通常の
人とは全く違う祈願をしていたのです。

ある神官が
  「先生には毎度、遠路のところをご参拝になりますのはまことに感心
    いたしますが、いったい何をお祈りなされるのですか?」
と尋ねたところ、

宗忠は
  「私には他に祈ることなどございません。
    ただ、天照太神のご開運をお祈りするだけです」
と、答えたのでした・・・


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神のご開運とは、神徳がこの世に大きく顕現することを祈ることです。
人間一人ひとりは、神さまの分神をいただいた子神であると言われています。
そして、「親神である神さまにどうすれば喜んでもらえるか?」という子神
から親神への敬意と感謝の親孝行の気持ちが、親神さまのご開運の祈りと
なるのです。

子どもが両親に対して
  「大好きなお父さん、お母さん、ありがとう!
    今後も元気でさらに素敵に輝いてね。」
と、願っている感じです。

宗忠の「天照太神のご開運を祈る」は、父母への親孝行をとことん極めて、
さらに天地の父母である親神への大孝に至ったのです。

宗忠は、
  「本当の父母は生まれぬ先にあるなり。
   その生まれぬ先の父母とはすなわち、かたじけなくも日の大御神なり。
   日月天地が誠に大元の父母なり」
と言っています。

太陽系宇宙に住んでいる人類の実質的な最高神は「太陽神(天照太神)」です。
特に日本は、日の本の国といわれ、太陽信仰が受け継がれています。


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私たちは、生きているというより、天地自然に生かされている存在です。
太陽はどんな存在にも分け隔てなく光を与えてくださいますが、そのことに
対して何の要求もされません。
宗忠は「一切わが物と申すもの少しもなき神」と言っています。

生かされていることへの感謝と、それに対する「せめてもの恩返し」が
「神さまへのご開運を祈る」ことになったのです。

太陽、大地をはじめ、恵みを与えてくださっている存在や見えない世界から
見守ってくださっているおかげ様に心を向け、ご開運を祈り、感謝と賛美の
言霊をとなえていると、親子の愛情のような温かい交流が生まれ、自分と
神さまとの距離がグンと近くなっていきます。

親である神さまは人間を育み、守り、それに人間が感謝するために祭りを
行って神さまに喜んでいただくという、もちつもたれつの関係が神道である
と私は思っています。

そして、その根底になる心のあり方は「親孝行」のような気がします。

また、親神孝行しようとすると、
  「神さまはどんなことを人間に望んでいるのだろうか?」

と、神さまの立場で考えるので、神さまが何を望んでいるのかも気がつく
ようになっていきます。


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これからの信仰は、もちろん自分が心地よくなるために参拝することも
とっても素晴らしいこととは思いますが、できれば・・・

「この神社の神さまはどんな気持ちでおられるだろうか・・・」
「この神さまを元気に喜んでいただくには、何をすればいいだろう?」
「今の自分に対して、神さまは何とおっしゃるだろう?」

という視点で参拝されると、より感慨深く、充実した参拝になります。

このような参拝を体験されたい方は、ぜひ「山けんの濃い?参拝ツアー」に
ご参加くださいませ。

          参考文献・・・太陽の神人 黒住宗忠 山田雅晴著




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