第57話

コノハナサクヤヒメさまの御心


桜が美しい季節には、神話の女神「コノハナサクヤヒメ」さまを身近に感じます。

「コノハナサクヤヒメ」の神さまは、その名の通り、木の花(桜)が咲き誇る ような絶世の女神さまで、富士山に鎮座し、富士山を拠点とした浅間神社の ご祭神となっています。


コノハナサクヤヒメは、天照大御神の孫である「ニニギノミコト」から一目惚れ されて、即プロポーズされます。
コノハナサクヤヒメの父である山の神「大山津見神」は、いい縁談だと大賛成 しますが、姉の「イワナガヒメ」も一緒に結婚してくれるなら、と条件をつけます。
ところが、ニニギノミコトは、器量のよくないイワナガヒメを拒否し、送り返します。

実は、大山津見神がイワナガヒメを副えて送り出したのは、桜の花のように栄える だけではなく、それが岩のごとく永遠に続くようにという願いが込められていたの です。
しかし、イワナガヒメを送り返してしまったことにより、木の花が散るように命も はかなくなってしまったと言われています。

その後、ニニギノミコトは、コノハナサクヤヒメと一夜限りの契りを結び、次の日 から長い出張に出かけ、久しぶりに自宅に戻ってきます。
このとき、コノハナサクヤヒメは赤ちゃんを身ごもっていたので、喜んで妊娠した ことを夫であるニニギノミコトに報告します。
ところが、ニニギノミコトは一夜だけで身ごもったことに不信を抱き、自分の子で はないだろう・・・
とコノハナサクヤヒメに疑いをかけてしまうのです。

その発言に傷ついたコノハナサクヤヒメは、身の潔白を証明するために
「もしもあなたの子でなかったなら、無事に産まれないでしょう・・・」
といって、危険を覚悟で、産屋にこもり、火を放ちます。
そして、火の中で立派に3人の子どもを産むのです。


この神話でのイメージと、今回のコノハナサクヤヒメ参拝ツアーで実際に私が 感じたコノハナサクヤヒメは、少し違っていました。

コノハナサクヤヒメは、富士山の主祭神になっていますが、主祭神というよりも、 たくさんおられる富士山の神仏たちを鎮める働きのある神さまであり、富士山の 神仏を上手く調和させている、水に関係のある神さまというイメージでした。
富士山本宮浅間大社の湧玉池や白糸の滝には、その波動を感じました。

そういえば、神話の中でも火の中で子どもを産めたのは、コノハナサクヤヒメ が水を司る神なので、炎の中でも平気であったのと、むしろ子どもを産むため には自分の水の陰の働きに火の陽の働きが必要だったからで、結果的に 陰陽調和されたので、上手く産めたのではないでしょうか・・・・

また、コノハナサクヤヒメが残念に思われている(?)と感じたことは、本来、 神仏が調和して働いているのに、陽ととらえる神さまと、陰ととらえる仏尊 さまが別々に分けられたり、対立して働けなくなっているということでした。

明治以前、富士山には「浅間(仙元)大菩薩」さま、本地仏の「大日如来」さま、 守護の仏尊の「不動明王」さまをはじめ、たくさんの仏尊さまがお祭りされて いました。
ところが、今では富士山といえば「コノハナサクヤヒメ」がメジャーになって しまったので、コノハナサクヤヒメとしてもプレッシャーを感じ、心苦しかった ことでしょう。


今後は、浅間神社でも「コノハナサクヤヒメ」「大山津見神」「ニニギノミコト」 だけではなく、他の神々さまや特に仏尊さまにも心を向けて、感謝とご開運を お祈りしていくことが重要であり、それが富士山全体の開運につながることでしょう。

そして、コノハナサクヤヒメは、とっても美しいイメージですが、私が感じたのは、 華やかさではなく、潔さからくる内面の美しさであり、聖母マリヤのような、日本 でいうと観音さま・菩薩さま、そして“おふくろさん”の優しさがありました。

そういえば、「おふくろさん」の歌の2番には、

   「おふくろさんよ おふくろさん 花をみつめりゃ 花にある
     花の命は 短いが  花の心の いさぎよさ  強く生きよと
     教えてくれた あなたのあなたの真実  忘れはしない・・・」

まさにこの歌は、コノハナサクヤヒメのメッセージソングかもしれませんね。
つまり万物は流転し常に変化するように、人生もまた無常なりということです。
だからこそ、過去や未来にとらわれず、変化を受け入れ、今の自分を輝かせる ことに精一杯生きていく潔さが大切なのです!と教えていただいたようです。

現在、美しい桜が散っていくのをみると、なんと惜しい・・・と思ってしまい ますが、コノハナサクヤヒメさまを見習って「花が散るのもよし!」と私たちも 今現在の人生を一所懸命生きて、後悔しないような潔さを身につけていきたい ものです。


おかげさまで、ありがとうございます・・・


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