第55話

三種の神器は、神の御心を表している


三種の神器とは、
・八咫鏡(やたのかがみ)
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)
のことで、神器は神の依代(よりしろ)であり、神さまが降臨され、宿られるための アンテナのようなイメージになります。

歴史伝承では、三種の神器は、天孫降臨の時に天照大神からこれら3種の鏡、玉、剣の神宝を 授けられて降臨したことから、皇位の象徴とされています。
三種の神器は皇位継承のシンボルであり、日本の秘宝(三種の宝物)です。

三種の神器の由来は、古事記によれば天照大神の天の岩戸開きにあります。

八咫鏡(やたのかがみ)は、天照大神が岩戸隠れした際、困り果てた神々が天照大神を 呼び戻すために飾られたという鏡です。

天照大神は、弟であるスサノオミコトの乱暴さに嘆き悲しんだ末、天の岩戸に隠れてしまいます。
あるとき、岩戸隠れしている天照大神が岩戸の外がとてもにぎやかなので、
「私が隠れているというのに、どうしてそんなに楽しく笑っているのだろう?」
と細めに岩戸を開けて、神々に訳をこっそりたずねます。 すると・・・
「あなたよりもっと尊い神が現れたので、皆が喜んでいるのです」と返事がかえってきます。
それと同時に神々は準備していた鏡をサッと岩戸の前に置きます。
すると、そこには神々しく光り輝く、女神さまの姿が映っています。
それを見た天照大神は、岩戸に籠っている間にレベルアップした自分の姿とは、気づかず、 目の前に別の日の神がいると思います。
そして、天照大神は岩戸の外をもっとみたくなり、この鏡のおかげもあって、 天照大神の天の岩戸開きが大成功したのです。

明るく光り輝く世界に感動した神々は、「天晴れ!」と感嘆します。
「天晴れ!」とは、このことから産まれた最高賛美の言霊なのです。


神社には、本殿の中心に丸い鏡がお祭りされています。
古代の人たちは、太陽の光が「鏡岩」とよばれる巨石に反射した光を太陽神として拝んでいました。
それが、平野に降りてきて、「鏡」となって神社にお祭りされるようになったと考えられます。

「八咫鏡(やたのかがみ)」は「遠岐斯鏡(おきしかがみ)」ともいいます。
「おき」には、招くという意味があり、鏡は神霊を招くものなのです。

鏡は、ありのままを映すものであり、自分のすばらしさ、いたらなさもふくめて人間の 心をそのまま映してしまいます。
何事も否定しないが、妥協もしない。
鏡は、「すべてをあるがままに受け入れよ!」ということを説いているのです。

また、鏡の「かがみ」から「我(が)」をとると「神(かみ)」となり、自分のエゴがとれたとき、 人間は「神」になることも示唆しています。

神社でお参りするときも、人生においても「神は鏡のごとし」であり、自分の発している 想いや言霊の質に応じた神さまの力がそのまま鏡となってはね返ってくるとことになります。
そう考えると、愚痴と不満で生きていくのと、苦しいことはあっても、明るく、清清しく、 感謝して日々を過ごしていくのとでは、大幅に差が開きそうです。

今日からは、あるがままに受け入れ、自分から輝けるようにしたいものです。


さて、三種の神器の、

★ 八咫鏡(やたのかがみ)は、現在、伊勢神宮にご神体として奉斎されています。
八咫鏡は、太陽神のシンボルであり、天照大神を表しているといわれています。
夏至の日、伊勢の二見ヶ浦の夫婦岩の岩の間のちょうど真ん中の海から、太陽がお出ましになります。
そんなことからも、伊勢は、海(アマ)と太陽(テラス)の神さまをお迎えするのに最適な場所だったのでしょう。



★ 天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)は、神話の中で、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が 八俣の大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した際、大蛇の尾からから取りだし、天照大神に献上したと いう剣です。
剣は、勇気を示し、また先が尖っていることから神霊が宿るアンテナ(ヒモロギ)になるのです。

よく神社には、ご神木としての大木がありますが、先が細くなっている木は、神さまに降臨 していただくアンテナ(媒介物)として適しているのです。
クリスマスツリーもサンタクロースに来てもらうための、一種のヒモロギなのですね。
クリスマスは、冬至のときの神さまのお祭りとも言われています。

天叢雲剣は、その後、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が、東国遠征をするときに、 この剣をお守りとして持っていき、火難に逢った際、草を切りはらって助かったことから、 草薙剣(くさなぎのつるぎ)とも呼ばれています。
刀には片方しか刃(やいば)がありませんが、剣には両方に刃があります。
これは、何事にも陰陽の両面があることや、たとえば、相手にしたことは巡り巡って自分にも返ってくることも表しているように思うのです。

天叢雲剣は、武神であり、素戔嗚尊を表しているといわれています。
はじめは、破壊や迷惑ばかりかけて高天原から追放された素戔嗚尊が、その後、ヤマタノオロチを退治し、 木を植えて灌漑事業を行い、すばらしい神に復活します。
これは、ものには両面があり、人間は善と悪の両面をもっていることや、ピンチでもチャンスに 転じるということ、つまり「禍転じて福となす」ことも示しています。

天叢雲剣は、現在、名古屋の熱田神宮にご神体として奉斎されています。



★ 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は、天照大神が岩戸隠れした際に、天照大神を呼び戻す ために飾られた勾玉ですが、一人ひとりの魂をも表しています。
魂は、本来、珠のように輝いて美しいものなのです。

勾玉は、妊娠時の胎児の形に似ています。
妊娠は、月経ともつながり、月に関係があります。
月は、太陽の陽に対して陰であり、勾玉は月の形も表しています。
陰である月は、受けとめて産み出す母なる働きがあり、八尺瓊勾玉は、いのちの賛美であり、 いきいきとした活動力を感じさせるものです。

また、八尺瓊勾玉のやさかは、言霊では弥栄(いやさか)であり、繁栄、感謝、 開運する意味もあるのです。
八尺瓊勾玉は、月神のシンボルであり、月読尊(ツキヨミノミコト)を象徴している とされています。

八尺瓊勾玉は、現在は、宮中(皇居)に安置されています。



このような三種の神器である鏡、剣、勾玉の3種を飾るというのは、 神道の習慣にもなっており、榊(さかき)の木に掛けて、神前に飾ります。

三種の神器のことが分かってくると、それをご神体としている伊勢神宮や熱田神宮 にお参りしてみたくなりませんか・・・・

神社参りを楽しみ、神さまと仲よくなるコツは、その神社の神さまの由来や関係を知ることでも あるのです。<

皆さんも読書の秋には、古事記や日本書紀を読んでみてはいかがでしょうか。


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