第53話

日本神話に学ぶ ピンチの乗り越え方


日本の神話には、人として生きる智恵や深い人生観が見事に描かれています。
その中でも、私は特に「天の岩屋戸」の部分が大好きです。

スサノオノ命(みこと)の大暴れ(天津罪)によって、天照大神は嘆き悲しみ、天の岩屋戸に こもってしまいます。
太陽の神である天照大神が隠れてしまわれたので、真っ暗闇になり、さまざまな災いが 起こってきます。

そこで八百万(やおよろず)の神々は「神集いに集いて神議(はか)りに議りて」と、 大祓詞にもあるように神さまたちは話し合っていい智恵を出し合います。
これぞ、民主的であり、民主主義とは神さまの世界のやり方だったとも言えます。

神々は岩屋戸を見つけるために、ニワトリを集めてきます。
ニワトリは日の出を知らせ、太陽に向かって鳴く鳥ですが、まさに日の神の場所を告げる鳥なのです。
ニワトリは高い棒に止まって「ここだ!」と鳴いたことから、その棒は「鳥居」と呼ばれるように なったのです。
つまり、鳥居は「ここからが聖域という境界線(結界)」の目印ということです。
神社や鳥居が東や南に向いていることが多いのも太陽信仰と深く結びついていることを 物語っているようです。

神々はこうして岩屋戸を見つけると、それぞれの得意分野を十分活かして、再び、天照大神に 岩屋戸から出てきていただく作戦を実行していきます。

企画・運営担当の思金(おもいかね)神、鉄を熱して鏡を作るイシコリドメノ命、
勾玉(まがたま)作りの玉祖(たまのおや)命、
太御幣(ふとみてぐら)をもち、祭祀を進めるフトダマノ命、
祝詞を奏上するアメノコヤネノ命・・・
というように、すばらしい役割分担で祭祀を実行していくのです。

圧巻は、陽気で舞上手なアメノウズメノ命が、肌を露にして、踊り狂って周りを笑わせ、 盛り上げて、岩戸の前のエネルギーを最高潮に高めます。
外がにぎやかなので、さすがの天照大神も岩戸を開けて、外をのぞきます。

そのときに神々が鏡を天照大神を向けたので、天照大神は目の前のレベルアップした自分の姿に 気づかずに、さらに外に出たくなり、出ようとします。
その瞬間、岩戸のそばに隠れていた力持ちの天手力男(あめのたちからお)神が、 天照大神をすかさず引っ張り出して、フトダマノ命が岩戸をしめ縄で封印してしまいます。

こうして、天照大神が岩戸から出たので、世界は再び明るさを取り戻すことができて、 生き物は生気を吹き返し、希望にもえだしたのです。


この話では、八百万の神々がそれぞれの持ち味を発揮して、問題を解決していくすばらしさ、 そして、みんなで「あな 楽し・・・ あな 面白し・・・」と笑いに包まれて協力していく 神々の姿が生き生きと描かれており、神話から生きる教訓と元気をいただけます。

そして、さらに天照大神が岩戸に隠れたことにも大切な意味があるのです。
岩戸に隠れたことは、一見よくないことのようにも感じますが、実は次の大きなステップアップ のためには、必要不可欠な準備期間だったのです。

天照大神は、岩戸の中で謙虚に自己をみつめて、物忌み行(鎮魂行)をして、原点に返り、 呼吸(息)と生き方を整え、気力・体力を充実させていたのです。
物忌みの時期が終わりに近づいた頃、外の大笑いの陽のエネルギー「魂振り」と、 内の自己をみつめる「魂鎮め」の陰のエネルギーが陰陽調和されたことで大いなる バージョンアップが起こったという訳です。

このことから、人生の大きな成長の前には、「行き詰まり」が起こるということ。
そして、そのときは原点にもどって、自分の内部充実に心がけていると、今度は、 陰から陽に転ずるときがやってくる・・・という道理を示しています。

青虫から、蝶になるときにも、「さなぎ」という自らこもる時期が必要なのです。<
しっかりこもってこそ、大空に羽ばたく蝶になれるのです。

人間の運気でも空亡や天中殺のような時期は、自己改革には最適のときなのです。
ここで自己改革するか、自分の運命を嘆いてあきらめるかで、そのあとの運勢は、 全く違ってきます。
ピンチこそ、そのあとに起こる大きなバージョンアップの前触れなのです。

雨の季節には、次の歌を笑顔で歌って、チャンスの磁石人間になりましょう・・・

「ピンチ!ピンチ! チャンス!チャンス! ラン♪ ラン♪ ラン♪」(笑)


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