第52話

大調和の神 ククリヒメノ大神さま


加賀の国一の宮「白山ひめ神社」(石川県白山市)は、私の大好きな神社のひとつで、 癒しの空間である下の鳥居から登る参道、気品のある社殿、神神しい奥宮遥拝所など、 身も心も洗われ、一度参拝するとクセになる?魅力的な神社です。

全国に白山神社は、3千社あまりありますが、その総本宮が「白山ひめ神社」であり、 地元では「しらやまさん」と呼ばれ、霊峰白山に鎮座する女神さまをお祭しています。
白山をはじめ、世界遺産の白神山地、朝鮮半島の聖地の白頭山など、白という字のつく山は、 高貴な山を示し、古朝鮮語の白には「生まれ清まる」という意味もあります。

また、祝詞によく登場する「畏(かしこ)み、畏み、も白(まお)す」の「まおす」とは、 お使いの神々にお伝えしたことを、さらにその神々たちが、上におられる高貴な神さまに お伝えするという意味で、「申す」を二重にした最高のお願いの言霊なのです。

もうひとつ「白山ひめ神社」を崇敬している大きな理由は、ご祭神である「ククリヒメノ神」(菊理媛神) の働きをとっても重視しているからなのです。

ククルは、つまり、対立しているものをほどいて、ククり直し、結んでいく働きがあります。
「ククリヒメノ神」は、神界での調整役として、対立を調和させる偉大なる神さまなのです。
(神事をする方の多くは、そんな働きから白山詣でをしています)

神話で、国生みで有名な「イザナギノ神」が、「見ないでほしい!」という「イザナミノ神」との 契りを破ってしまい、烈火のごとく追いかけられ、その後、絶縁状態となります。
そこで、「ククリヒメノ神」が仲裁役として登場し、やさしい言霊と説得で「イザナミノ神」の 心の傷を癒し、夫婦が元通りに仲良くなるという話が「日本書紀」に出ています。

「白山ひめ神社」では、その「イザナギノ神」「イザナミノ神」もご祭神となっています。

聖徳太子の「和をもって尊しとなす」は、日本の精神文化の基盤になっていますが、 白山のククリヒメノ神は、まさにその和をもたらす神さまです。

よく和を乱すといって、みんな同じ価値観に統一しようとしますが、これは調和ではなく、 むしろ全体主義(ファシズム)につながり、排斥、攻撃、戦争の原因にもなります。
「違うから許さない!」と「違うから学び補える」とでは、全く見解が違うのです。

日本の宗教戦争が、他国のように激化しないのは、一神教(神はひとつだ!)ではなく、 神社では、八百万の神、寺院では、たくさんの仏尊さまの存在を認めて(神仏習合)、 それぞれの働きを活かし、結ぼうとする思想が根底にあるからだと思います。

結びは、天地自然の道理であり、陰陽が合わさって、新たなものを生み出すことです。
男と女が結ばれて、赤ちゃんという新たないのちを生み出せるように、異質なものがお互いを認め、 補いあうことで大調和が生まれ、神なる力が授かるのです。

大自然は変化し続けるのに、人間は同じ状態を求めるあまり、変化することを受け入れられず、 そのために対立やストレスを次々と生み出してしまうようです。

太陽でも、ずっと同じ太陽ではありません。
朝日もあれば、夕日もあります。月も満月もあれば、新月にもなります。
人間の心も行動も、常に陰にも陽にも変化するものなのです。

そう考えると、「永遠の愛を誓いますか?」は、とっても危険な儀式です(笑)。
姿や形だけでなく、気持ちも変わるのが、天地自然の道理ですから・・・
できれば、「永遠の愛を目指して、お互いが調和できるように努力できますか?」とか、 むしろ「嫌なところが見えても、許し、辛抱できますか?」でどうでしょう・・・

上手くいかないときは、陰陽の働きがうまく機能できていないといっていいでしょう。
発する陽の働きばかりで、受けとめる陰の働きがなくなると対立で終わります。
そして、陰ばかりだとやる気がなくなってしまいます。
やはり、それぞれが生き生きと働き、陰陽調和されると輝いていきます。


先日、白山と立山をありがたく拝見させていただきましたが、立山の力強い雄雄しさと 白山のやさしい高貴さが印象的でした。
立山が陽の輝きとすれば、白山が陰の輝きという感じです。
どちらも輝いて、どちらもすばらしい霊山です。

人間もそれぞれの働きを尊重し、活かされる道を追求し、調和するための決断・行動を 目指したいものです。
ククリヒメノ神の調和の働きこそ、宇宙の大いなる意志そのものです。

「白山」と「立山」の両霊山が見事に陰陽調和している北陸は、食べ物や水がおいしく、 温泉にも恵まれ、神社の数も多く、信仰心の厚い土地柄です。
おかげさまで、北陸の皆さんと 富山・石川の6神社をご開運をしながら内容の濃い?参拝・講座ができ、 個人的にも2社参拝させていただけて、充実した大満足の三日間となりました。

宇宙の大いなる意志、大調和に基づく天命もちて、とってもありがたいククリヒメノ大神さまの 一霊四魂(いちれいしこん)のいやますますのご開運をお祈り申し上げます。


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