第34話

子どもはご先祖さま?


奈良の女児殺害事件のことや子どもへの虐待のニュースを見ると胸が痛みますが、 この事実は、今、人間が「いのち」についてしっかり目を向け自問自答するときであることを 警告しています。
本来、いのちは、元気そのものであり、肉体をもって生まれ、生きていられることは、 喜びであるはずなのです。

日本人は、元々子どもが生まれるのをみんなで喜ぶ意識が強く、昔は赤ちゃんが産まれるとすぐに、 産飯が炊かれ、それを神さまに供え、生後七日目にはお七夜のお祝いを村の人たちを呼んで 催していました。
日本には、輪廻転生(人は死んでもまた生まれ変わる)して循環していくという思想があったので、 生まれた子は自分の祖先が生まれ変わってきたものとしていました。

つまり、赤ちゃんを「ご先祖さま」としてとらえていたのですね。

肉体のある人間は、肉体から離れたご先祖さま(死)を見送り、今度は霊界から、 肉体をもって産まれてこられたご先祖さま(生)を大切にお迎えしていたのです。
日本人は、目に見えるご先祖さまも目に見えないご先祖さまも含めて祖先を崇める心を 継承してきたのです。

確かに、ご先祖さまをお迎えすると考えれば、ありがたくお祝いをしますよね。
そう考えると、子どもを虐待する行為は、ご先祖にけんかを売っていることにもなり、 その結果、自分は、ますます苦しい状況に追いやられるというわけです。

そして、産まれて三十日頃のお宮参りは、産婦にとって一ヶ月過ぎたので、ある程度 動けるようになった感謝の報告と、赤ちゃんにとってはその土地の神さまに初めて参拝して、 これから産子(氏子)として守っていただけるようにという願いが込められていました。

百日目には食い初めがあり、食べるまねごとをさせて「丈夫に育つように・・」という 意味で行事を行い、その後も、初節句やお正月とお祝いが続きます。

そして、一年たったら誕生祝いがあって、そこでひと段落ついていたのです。

昔の子どもは、産まれてから一年の間に病気や事故で死ぬことが多かったので、 なおさら無事に育ったお祝いには熱がこもり、感謝もひとしおでした。

こうして、子どもの成長を通して自分も喜び、感謝して、共に歩んでいくのです。

昔の伝統がすべていいといっているのではありません。
ただ、今の世の中の現象はあまりにも「いのちへの感謝」を失ってきていることが残念なのです。

よき伝統や文化が続いてきたのは「これが大切だよ!」というありがたい先人の智恵であり、 財産です。
形は変わっていくにせよ、このすばらしい習慣やものの考え方を子孫に伝えていくことが、 我々の使命だと思います。

子どもは次の時代の魂の継承者という意味もあって、子どもの教育は最重要です。
まず、すばらしい大自然の恵みを感じ、いのちへの感謝の心をもつこと。
そして、子どもはありがたいご先祖さまの生まれ変わりだと思って心をこめて接すること。
(ただし、甘やかすのではなく、尊重して育てるということです)

こんな大切な子どもを虐待や殺害から遠ざけ、感謝と尊重に変えていくのは我々大人の 役目だと思いませんか・・・


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