第32話

グラウンディング


「人間にとっての冬」と「大地にとっての冬」は立場がちょっと違います。
冬は、陽が短くなり、人間にとってはどちらかというと消極的で耐えるイメージがあります。

しかし、大地にとっては、冷たい風が吹きだすと待ちに待った季節となるのです。
春から秋にかけて、大地は地上の成長と収穫のために、恵みと栄養を休む暇もなくせっせと 地上に送り続けてきました。
それが、やっと地上の収穫が終わり、枝葉も落葉してくれたことで、地上に与える責任から しばらく開放される時期が訪れたわけです。
今まで与え続けて消耗した生命力を回復できるときがきたのです。

仕事を終えた労働者が、風呂に入っておいしい料理を前にビールを飲もうとしている感じです。
初雪が舞うのは、大地の神さまが楽しみにしていた宴会で、酒を飲み、歌って小躍りしている 姿かもしれません・・・

冬は、大地にとってリフレッシュ休暇であると同時に自分の栄養の質を高める絶好のときであり、 学びの楽しさを存分に味わう季節だったのです。
学びとは、上に上がるときより、下に深く伸ばすほうが喜びなのです。
大地の成長は、上よりも、下に伸ばすことだったのです。

もちろん、人間にとっても、冬は大地に根をはるのに最適な季節です。
上に伸びない分、下に下にしっかりと根を伸ばしていくのです。
悩みを抱えている人の多くは、上を見て、足元を見ていない傾向があります。
つまり、花ばかり追いかけて、土をよくすることをしていないのです。

グラウンディングとは、大地に根ざすことであり、自分の足元を大切して安定させていくことです。
根(足元)がしっかりした分、幹はどんどん太くなります。
どっしりした幹は、多くの花を咲かせ、おいしい実を生みます。

グラウンディングしている人は、周りにいろいろな現象が起ころうとも、幹(核)が ぶれないので自分が振り回されなくなります。
スポーツの世界でも、心の状態がグラウンディングできているかどうかが、勝負のカギを 握っています。
優秀な武道家は、気が臍下丹田(へその下)に下りています。
気が上にあがると、頭に血が上る状態になり、気が乱れて冷静な判断力を失い、 実力が発揮できなくなるのです。

最近は特に情報があふれていて、危険な詐欺が横行しています。
こんなときこそ、大地に根をはったグラウンディングの考え方が必要です。

さあ! いよいよありがたい冬・・・
グラウンディングするのに最適の季節です。
冬は、一番成長できる、チャンスの季節なのですね。
見えない土の下では、ドキドキ・・ワクワク・・して大いに楽しんでいるのかと思うと、 雪山に行ってもなぜかあたたかい気持ちになりませんか?


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