バルッフレア  イラスト 1 SS付き

『寝起き』

真っ白なシーツに朝日が反射し、シュトラールのバルフレアの寝室は、眩いばかりの朝日に包まれ明るかった。
「おはようバッシュ……イイ匂いだな?」
バルフレの瞳は奥まで朝日に照らされ、その色を美しく浮かび上がらせている。
「おはようバルフレア。珈琲だが………君も飲むかい?」
バッシュの影がバルフレアの上に落ちる。
「くれるなら」
どこかぼぉっとした感の残るバルフレアは両手をバッシュに差し出した。
「ほら、熱いから気をつけて飲むんだよ」
朝日の中でバルフレアは、バッシュの言うがままに素直に行動をする。
「ああ   コク…コク」
シーツに体を包ませながらバルフレアは、バッシュから真っ白な珈琲カップを受け取ると、素直に豊かな香りをあげる黒い液体に赤い唇をつけた。
「……なぁ、あんたいつの間に俺の好みの味を覚えたんだ?」
透明感のある碧は焦点が合わないままで、明るい部屋の中で唯一陽を背にしている影になっている人物を見上げる。
「旨かったんだな?」
「ああ」
「それなら良かった。さぁ、空いたカップを渡しなさい。」
「ん」
質問をそのまま質問で返されても、バルフレアは何の疑問も持たずに、またバッシュに言われるがままにカップを明け渡した。
「着替えて、顔を洗って、そうしたら朝食だ皆が待っているだろう、バルフレア」
「んー………バッシュゥ」
己の名前を呼ばれたために、反射的に相手の名前を呼び返しはしているが、ゆっくりとその碧はまた閉ざされかけていた。
「おはよう、もう起きれるな?私はカップを起きに一度部屋を出るからな?戻ってきたら起きているんだぞ」
寝起きの鼻に掛かった声に、バッシュはもう一度起きるようにと念を押し、軽くバルフレアのつんと尖った鼻に唇を触れさせるとバルフレアの寝室から出て行った。
「んー………」
まだ当分起きてこないなと、バッシュはちいさく肩を落して、シュトラールの内の狭い通路を歩いて給湯室へと向かった。



「私は今まで君好みの味の珈琲なんて入れたことはないのだがな。」


君が私の味に慣れたのだろう。








見終わったら窓を閉じて下さいな。