第9回 矢沢宰賞

※ 受賞者の所属,学年は平成14年2月の応募当時

第9回矢沢宰賞の審査を終えて   月岡 一治   

 今年も矢沢宰賞の審査から51名の詩人たちが誕生いたしました。おめでとう、そしてこれからも自分の中にわきあがってくる気持ちを、自分の言葉で書きとめて生きて下さい。

 詩は、コンテストのために書くものではありません。詩は、あなたが、あなたと家族、友人、学校や社会、自然を見つめていて感じたこと、感動したことをあなたがいいと思う言葉で文字に残すものです。よけいなことを書かず、自分が思うことだけを、できるだけ短く書きましょう。書いたら、あとで何度でも読み直して下さい。自分は何を強く感じたのだろう、いつ読んでも、誰が読んでもその時の気持ちが人に伝わってくるだろうか、確かめてみましょう。 あなたが人とちがう感じ方をすることがあれば、そこにあなたの個性があります。人と違うあなたがいます。すると、あなたは人があまり使わない言葉を使いたくなるかもしれません。好きな言葉を使いましょう。詩になる言葉は、あなたの心が感動し、考え方を深める努力をする中から生まれますから、その言葉を書きとめる人は、毎日が味わい深くなるのです。すこし、むずかしい話をしてしまいました。

  詩は、あなたの中から生まれたものです。一人ひとり、ちがうものになるはずです。だから、教科書や詩集にあった他人の詩をうつして詩のコンテストに応募しては、いけません。これを盗作といって、詩を書く者が決してしてはならないことなのです。また、担任の先生方も、このようなことがないか、作品を送られる際にどうかチェックして下さい。ここ数年、必ず盗作による応募がみられます。子どもたちの心が傷つく前に、正しくルールを教えて下さい。

  1年は、おだやかではあっても、素早く過ぎていきます。藪田みゆきさんが私たちに呼びかけています。「今日は一生に1回だけ」なのです。精一杯生きて、1日の中に楽しみを見つけましょう。すると一生は、味わい深いものになるでしょう。私たちは誰も、詩を生み出す力とともに生きているのです。詩を書こうとする自分にはげまされて、生きているのです。詩を、書きつづけましょう。

 

最優秀賞・かいばみ賞

今日は一生に一回だけ         藪田 みゆき (奈良県立聾学校小学部4年)

「今日」は、「一生に一回」しか来ない

だって

だってね

 

一年生の一月十日十時四十分三びょう

四年生の一月十日十時四十分三びょう

 

やってることちがうもん

 

だから 「今日は一生に一回しか来ない日」

って

 

楽しもう

 

楽しもう

選評 1日が過ぎていくのをさみしいと思った時、子どもからおとなになります。思い出をつくり、過去をなつかしもうとする人ばかりが多いのに、藪田さんはちがう。今日は一生に一回だけしかないでしょ、だから今日を、今日1日を楽しもうよと明るくいいます。そうだよね。そして私たちの一生も、1回だけなんだよね。

 

奨励賞

 1席 かいばみ賞

ひまわりの種     牧岡 亜実 (新潟県柏崎市立柏崎小学校3年)

今は もうひまわりの種と

いっしょにしずかにねむっている

わたしの大すきなハム丸

わたしが、がんばった日には

ヤッタネ  ヤッタネ と

かっしゃ車を回ってくれた。

わたしが悲しんだときは

ファイト  ファイト と

かっしゃ車を回ってくれた。

 

ハム丸の上につもった雪は

とけてなくなってしまうけど

ハム丸の思い出は

いつまでもなくならない

 

あたたかくなったら芽を出して

ほしいなひまわりの種

ハム丸に会える気がするから。

選評 眠って土にかえっていくハム丸の体。その体と、いっしょに埋められたひまわりの種。第二連がとてもいい。最後の三行の気持ちが、よく伝わってきます。

 

 2席 かいばみ賞

私の大好きなねこ、ちびちゃん     山田 夏美(新潟県真野町立西三川小学校笹川分校2年)

ちびちゃんきいてね。

あのね、わたしには

四才の弟がいるんだよ。

名前はね、祐太っていうの。

祐太はね、人間の絵を

かけるようになったんだよ。

本当に人間に見えるんだよ。

こんど、祐太が人間の絵をかいたら

ちびちゃんにもみせてあげるからね。

それから、祐太が

ねこの絵をかけるようになったらね。

ちびちゃんの絵をかいてもらって

ちびちゃんにも見せてあげるね。

楽しみにしててね。

選評 子ねこが好き。そして弟のことがもっと好き。ちびちゃん、目を丸くして見てあげてね。祐太君の絵。

 

 3席 かいばみ賞

わたしのめい子のみう    菊地 望 (福島県立郡山養護学校中学部1年)

みうは、とても元気のいい女の子

みうは、

まだ、赤ちゃん。

どっちかというとお父さんに

似ている。

 

みうは、とてもいいにおい

そして、ぷくぷくしている

さわってみたら

ふわふわしていた。

 

みうは、会うたびに大きくなっている

わたしも、みうにまけないように

がんばっていこう

そしてわたしの生き方を

見てもらおう

選評 最終連、とくに最後の4行がすばらしい。わたしの生き方を/見てもらおう。小さなおばさんのこの気持ちが、とてもすがすがしい。

 

 4席

存在     藤田 有貴 (新潟県見附市立見附第二小学校6年)

生き物は、

形や生き方がちがうだけで

あとはほとんど同じなんだ

命の重さ

そして、

いなくなってはいけない

大切な存在だってことも

家族が一人

いなくなっただけで

友達が一人

会えなくなっただけで

とてもさびしくなった

いなくなっていい人は

だれもいない

いなくちゃいけない

大切な存在

みんなそんな存在

選評 最初の三行の結論に、あなたはたどりつきました。とても大切なこと。私たちが生きていくうえで。

 

 5席

その日     堂田 智恵美 (富山県立盲学校高等部専攻科3年)

雨もいい

晴れもいい

生きているから

    どれもいい

 

泣くのもいい

笑うのもいい

人間らしくて

    とてもいい

 

いつか

見えない日が来ても

あたりまえに

受けいれよう

選評 健康に恵まれていることのありがたさ。それがあたりまえだと思っている、こころのおさなさ、貧しさを教えてくれました。

 

佳作

ぬいぐるみのくまさん     佐々木 唯 (新潟県真野町立西三川小学校笹川分校1年)

くまさん

よくきいてね。

わたしのね

おとうさんはね

ながおかに

おしごとにいっているんだよ。

こんどね

おとうさんが、かえってくるんだよ。

うれしいな。

おとうさんが、かえってきたらね

ねるときに

だっこをしてもらうんだよ。

おんぶもしてもらうんだよ。

いいでしょ。

くまさんにも

ねるときに、してあげようか?

まい日おとうさんがいるといいな。

選評 長岡市は佐々木さんがすむ佐渡からは海のむこうにあります。お父さんには大きな熊さんだってかないません。お父さんは大きな愛情……ゆいさんはそう感じています。

 

おかあさんのりょうり     小出 辰嘉 (新潟県見附市立上北谷小学校1年)

おかあさんは

りょうりがじょうずです。

 

たまごやきをつくるとき

まぜるのがじょうずです。

さかなりょうりも

おいしいです。

 

おかあさんのりょうりが

おいしいから、

げんきに

とうこうできます。

選評 おわりの四行に、家族の姿が見えます。母の料理の味は、あったかい家庭の味だということが、伝わってきます。 おいもさん 選評 おいもさんも、うれしいでしょう。こんなに見つめられて、手にとられて、食べられて。山崎君の表現力におどろきます。

 

おいもさん     山崎 康太郎 (新潟大学付属新潟小学校1年)

ほくほく えがおのおいもさん

ふかふか ふんわりおいもさん

 

中は ほんわか やわらかーい

たべれば おいしいおいもさん

 

ぼくのこころも ほんわかふわり

なんだか とっても いいきもち

 

もっと もっと たべよかな

 

「でも たべすぎたら いけないよ。」

 

でも ほんとに おいしいおいもさん

モグモグ たべたい おいもさん

選評 おいもさんも、うれしいでしょう。こんなに見つめられて、手にとられて、食べられて。山崎君の表現力におどろきます。

 

こくごの 時間     中野 京 (新潟県立吉田養護学校小学部2年)

こくごの 時間に

先生が、

「詩を 書こう。」

と、いった。

きゅうに いわれたって

なんにも 思いつかない

 

まどの 外を 見た

雲が 早く うごいてた

いいなあ

 

べんきょうは

いやだなあ

選評 授業中の教室と窓、空をゆく雲。いいなあ…と思う中野さんの気持ちがよくわかります。空と雲はあなたを、どう思っているかな? 勉強することが、「いいなあ」と思っているかも、知れない。

 

白い世界    岩瀬 佳奈子 (新潟県亀田町立亀田小学校6年)

雪が降る

静かに静かに

雪が降る

 

雪が降る

おどりながら

ひらひらひらひら

雪が降る

 

雪が降る

同じ物は一つもない

白い小さな

雪が降る

選評 同じものは一つもない、という一行にひかれました。あなたの感じ方、見方です。たくさんの人間の中で一人しかいないあなたを感じました。

 

    佐藤 美佳 (新潟県見附市立上北谷小学校3年)

空はいろんな絵をもっている。

晴れの日は、青空に白い雲。

きれいな絵だ。

雨の日は、黒い雲に雨。

こわい絵だ。

くもりの日は、はいいろの雲にくらい空。

悲しい絵だ。

雪の日は、白い空に白い雪。

楽しい絵だ。

空はすごいびじゅつかん。

選評 空は、眠っている時のあなたの心の中にも広がっています。生きるって、毎日その空の下で暮すこと。あなたはその空に、たくさんの絵を見て生きていきます。

 

自分の字     栗原 直広 (新潟県亀田町立亀田小学校2年)

栗という字がつくのに

栗がきらい

直という字がつくのに

直せないのがいっぱいある

選評 自分をみつめることは、大切です。自分についた名前。服のように着がえられないからこまります。

 

大きな風     岡田 未来 (愛知県立安城養護学校高等部1年)

たいふうは、

本当は遠くの山にすんでいます。

あいち県の風は、小さいの。

小さくて、よごれているから

たいふうが来て、とってくれるよ。

たいふうは、

小さな風のそうじに来ます。

雨もいっしょに来て、きれいにするよ。

きれいになって、雨がやんだら、

たいふうは、もうおわりです。

遠くの山に帰っていきます。

選評 大きな風と、小さな風の話です。初めてその説明をきいて、ああそうなのかと思いました。たいふうが過ぎたあとの、きれいな空に吹いている風を感じさせられます。

 

「時計」     石田 春樹 (新潟県大和町立三用小学校4年)

2時とかになると

カーンカーンと音がする。

時計の中で、

きょうかいのかねが

なっているみたいだ。

2回なると

だれかさんが、

けっこんしていて

かねがなっている

みたいだ。

選評 おしい。とってもおしい。2時とかのとかがなければ、誰もが教会で今行われてる結婚式を思い浮かべる、すぐれた詩なのに。美しい日本語が、詩の世界をうかびあがらせるところだったのに。

 

ゆうだち     中野 恵 (東京都立葛飾盲学校小学部6年)

にしから すごーい かぜさんが

きが ざわざわ おおさわぎ

「チリリリリン」 じてんしゃのベル

「キャー」 おともだちのこえ

「たいへんだァー せんたくものがー」

       かあさんのこえ

みんな おおさわぎ

「ゴロゴロ ドドドドーン」

       とカミナリさん

「ザザザザーッ 」と あめさん

 

「いらっしゃい!!

どうぞおあがりください あめさん」

選評 風と木の音、友だちとお母さんの声、カミナリの音、そして雨がくる。自転車まで生きていて、ベルをならしはじめる様子がおもしろい。ああ、これがゆうだちなんだ。

 

動物園     八木 博敏 (静岡県立天竜養護学校高等部1年)

見られてる

キリンに

猿に

象に

河馬に

さっきからずっーっと

見られてる

檻は誰を

囲ってるの?

選評 逆転の発想のようで、実はもっとこわい。いやされていない生き物たちに、囲まれているからそう感じるのでしょうか。新緑の山、雲と海が移動していく海岸。いやしてくれる自然の中に、あなたを立たせてみたい。その時のあなたの気持ちを私は知りたい。

 

さんぽ     玉木 あずさ (新潟大学付属新潟小学校4年)

目がさめて

お日様が笑っていたら

カメラをもって

さんぽに行こう

かげぼうしをひきつれて

 

おやつを食べて

うとうとしていたら

ねむけざましに

さんぽに行こう

時折のびをしながら

 

夜ねるときに

目がさえていたら

夜空の絵画を見に

さんぽに行こう

風をほおに感じながら

選評 用があって、時間に追われて歩くことが多いけれど、気の向くままのんびり歩くことはいい。風が、いっしょ… 。

 

うさぎからのプレゼント     小池 愛 (新潟県見附市立見附小学校3年)

わたしはうさぎをかっていた。

でも、ある日死んでしまった。

わたしはないた。

いきがとまるほどないた。

 

わたしは言った。

死んだらもう会えないの?

そのうちみんなも死んじゃうの?

お父さんもお母さんも、

いつか死んじゃうの?

わたしもいつか死んじゃうの?

 

お母さんが言った。

命はみんな一つなの。

花も動物も人も虫も、

命はみんな一つなの。

だから大事にしてほしいの。

 

わたしはありをふんだことがある。

ありぐらいいいや、と思っていた。

ありの命も本当に一つ。

わたしはもうありをふめなくなった。

 

そして、わたしは気がついた。

これはうさぎからのプレゼント。

うさぎはわたしに、

命の大切さを教えてくれた。

命は一つ、

みんな一つ。

選評 作文と詩のさかいは、はっきりしないことがあります。最初の3連だけにして、最終連の第2〜4行をつけると、作文から詩に近づきます。人に説明する部分を、できるだけけずってみましょう。

 

初雪     加藤 千尋 (新潟県柏崎市立田尻小学校6年)

雪がふった。

今年初めての雪がふった。

白くてきれいな雪がふった。

 

その雪を

今年初めての雪を

白くてきれいな雪を

コップに入れた。

 

へやのストーブつけて

コップをつくえにおいてみた。

 

コップの中でキラキラ光って

ストーブのあつさで水になった。

なんかさみしい。

初雪だった。

選評 今年初めての雪が、特別のもののように思われた。でもそれは、気温がさがった家の外に降ったのだった。室内におけば、ただの水。でもあなたの体も心も、初雪になって降るこの水をたっぷりもっているのです。だから初雪を、思わず手にとったのです。

 

かたつむり     石田 将之 (福島県立郡山養護学校中学部1年)

かえるが

げこげこないている

あめが

ざあざあふっている

空をみあげたら

めがねに水がかかって

けしきがぼんやりしてきた

ふと

くるまいすのしたをみたら

かたつむりが

いえをしょってあるいていた

ひっこしなのかな

せんたーのちゅうしゃじょうから

ぼくのいえのちかくの

もりをめざして

あるいていくのかな

選評 車イスの上から見た、雨の日のできごとです。この詩を読むと、本当に顔に雨があたります。進んでいくかたつむりの姿が見えてきます。書いた人の力が、そう感じさせるのです。

 

入 選   (50音順)

自分自身との約束     井ノ川 莉奈 (新潟県中里村立田沢小学校6年)

毎日がとてもしんせんで楽しかった

友達といっしょに過ごした放課後

授業で先生におこられた瞬間

いつも私とふざけてくれた大切な仲間

私はいっしょにいてくれるだけでよかった

 

私は友達を一番大切に思う

そう思うようになったのは

私が一度友達を失ったから

私はそこで初めて一人はいやだと思った

そして友達とつながっていたいと

強く強く願った

 

だから今の私が存在する

友達は失わない

自分の心にたてた大切な

自分自身との約束

 

一人一人の場所     宇川 紗織 (新潟県相川町立高千小学校5年)

ほんの小さな命から始まって

今は大きくなりました

今私はたくさんの人達に支えられ

生きています

外を歩くと

自然のやさしい声が聞こえます

外でも思い出はいっぱい作れるし

小さな家の中でも

辛いことも 楽しいことも

たくさんたくさん起こります

家に帰ると家族がいて

外に行くと自然があって

たくさんの人達に支えられています

でも時には

立ち止まって考えこんでしまいます

いろんなかべも待っています

でこぼこ道も 平らな道も 上り坂も

いろいろあるけど

どんな道だって楽しい未来に

つながってるかもしれません

私には私の居るべき場所があります

どんな困なんにも

思いきってチャレンジ出来るそんな人になりたいな

たまには力をぬいても

その時気付くものもある

私の今居る場所は

楽しい楽しい居場所です

 

キンモクセイ     大西 恵梨佐 (愛知県立春日井高等養護学校2年)

自転車で走りぬけると

あまい香りがする。

キンモクセイだ

いつも同じ場所で

同じにおい

明日は、もっと

       ゆっくり

       ゆっくり
       
行こう

 

好き     岡本 翔 (新潟県立吉田養護学校中学部2年)

学生服姿が好き

ぜんぶ好き

でも声はきいたことがない

例えられないほどうつくしい

もしきもちがつうじたら

うれしい

でもきらわれたら

かなしい

その人にはいえない

そこまでゆうきがない

 

とうめいにんげん     加藤 優雅 (新潟県立寺泊町立野積小学校1年)

きのう、

おふろからあがったら

とうめいにんげんが

しんぶんをよんでた

とおもったら、

おじいちゃんだった。

だって、

しんぶんだけ見えたから。

 

三時間目     加藤 真弓 (新潟県亀田町立亀田小学校6年)

三時間目はきらい

早くねても眠くなるし

つまらない授業も眠くなる

休み時間が待ち遠しいけど

休み時間は終わったばかり

 

授業が長いと感じるけれど

始まってからまだ五分

 

三時間目はきらい

 

    加藤 弓花 (愛知県立安城養護学校高等部2年)

いのちってなあに

どうして 命なんてものが あるんだろう

どうして おばあさんになって

死んでいくの

命が なくなるのって こわいな

だって

命がなくなったら どうにもならない

いのちってこわいな

 

マラソン     菊池 桃子 (新潟県加治川村立中川小学校6年)

マラソンは

何であるのか

マラソンは

自分との闘い

歩いてしまったら

自分に負ける

自分はそれだけ心が弱いのか

自分に勝つと

自分はそれだけ心が強いのか

マラソンは

人と競い合うのではない

自分に勝つため

自分の心を強めるため

負けたら

練習したのが

 水の泡

そんなのいやだよ

そんなのいやだよ

自分に勝たなきゃ

 

ランドセル     木村 祐貴子 (新潟県亀田町立亀田小学校6年)

ランドセル

ランドセル

私が持ってる 赤いランドセル

六年間の思い出がつまった宝物

 

ランドセル

ランドセル

私が持ってる ピカピカだったランドセル

六年間雨にぬれてたランドセル

 

ランドセル

ランドセル

私が持ってる 大切なランドセル

六年間使い続けたランドセル

 

これからもずっと

私が持ってる

赤くて大切でピカピカだったランドセル

 

信号     桑原 崇彦 (新潟県大和町立三用小学校4年)

信号が青になった。

ぼくは黄色が好きだ。

黄色にかわった。

やっぱり黄色っていいな。

ああ、もう赤だ。

黄色は

なんでみじかいんだろう。

次までまとう。

 

ねこの毛     桑原 拓人 (新潟県小千谷市立南荷頃小学校3年)

ねこの毛は、

フサフサしているな

なんだかとってもきもちよさそうで、

ついついだきたくなっちゃうよ。

ねこの毛は、やっぱりやっぱりきもちいいな。

ついついねむたくなっちゃうよ。

 

小さな生命(いのち)     桑原 悠 (新潟県六日町立六日町中学校2年)

小さな 小さな海の中

そこから 外へ出ることを

心待ちにしている

小さな生命

 

その小さな生命は

次なる未来への光

 

小さな 小さな海の中

穏やかに眠る

小さな生命

 

いつの日にか生れる

とても愛しい存在

 

ごめんね     小林 勝成 (新潟県見附市立見附第二小学校5年)

「ごめんね」という言葉は、

大切です。

なぜかというと、

ケンカをした時、

「ごめんね」この一言で、

仲直りができるからです。

けれど、

(あやまりに、)

ケンカをした人の前にくると、

なかなかいえない言葉です。

 

「ごめんね」という言葉は、

大切です。

ケンカをしたとき、

ぜったい「ごめんね」

という言葉をつかいます。

なぜかというと、

ともだちとケンカをすると、

心の中がわるい気持ちになってくる。

だから「ごめんね」という言葉を、

つかいます。

そうするとわるい気持ちが、

晴れやかになり、

気持ちがいいです。

 

ひとりでジョギング     繁村 和幸 (山口県立豊浦養護学校高等部1年)

ひとりでジョギング

たのしいな

 

たいいくかんにひびく

ぼくの あしおと

バタバタ バタバタ

おいかけてくる

がんばれ がんばれと

おいかけてくる

 

雨の中走った

ぼくの あしおと

ビシャビシャ ビシャビシャ

おいかけてくる

がんばれ がんばれと

はげましている

ひとりでジョギング

がんばるぞ

 

夢の世界     鈴木 真悟 (愛知県立安城養護学校高等部2年)

僕には たくさんの夢があります

雲の上を 歩いたりするのが夢です

虹の橋を 歩いて渡るのが夢です

空の上で地球を眺めるのが夢です

 

夢の世界に 入ってみたい

遠くの世界に 行ってみたい

魔法の世界に 入れたらいいのにね

 

好きな人     瀬川 雅子 (奈良県立七条養護学校高等部1年)

青い空に浮かぶ

あの白い雲が好き

白い雲の住所も電話番号も

知らないけど

心はいつも白い雲を

求めている

まぶしすぎる太陽を

おだやかな光にしてくれる

あの青い空に浮かぶ

白い雲はゆっくりゆっくり

私の話を聞いてくれる

大好きな白い雲

 

ソーラン節     田脇 貴大 (長崎県立聾学校中学部3年)

ソーラン節の練習。

ソーラン節を速くおどり、

ソーラン節は速くてつかれる。

うでと足がだるくなる。

だけどがまんしておどる。

「ソーランソーラン」と大きい声を出す。

ソーラン節は海の歌。

船であみを引くおどり。

魚がいっぱいとれる。

両手ですくって高くもちあげる。

 

    高橋 陽子 (愛知県立春日井高等養護学校2年)

水やりをしていたら、

ホースの先に、虹ができてた。

お空の虹ほど大きくないけど

小っちゃくてかわいい虹。

消したくないから、

いつまでも、いつまでも、

水やりをした。

 

青い空     中里 慧 (埼玉県立越谷養護学校中学部3年)

空ぜんぶが

青い色にそまっている

とっても気持ちがいい

鳥も木も緑も

みんな気持ちよさそうにしている

こんな日はみんなで

体を休めて

体に

青い空をすいよせたい

 

    成田 多希子 (富山県立盲学校高等部1年)

どこに行くの 風さん

 

風さんは知らない顔をして

何にも見えないわたしの目の前を

通り過ぎていく

 

風さんに声をかけてみたいのに

静かな音をたてながら

何にも言わないで通り過ぎていく

 

今何を思っているのか

ぜんぜんわからない

 

風さん黙って行かないで

声かけてほしいな

ごめんね…

 

おち葉さん     西脇 大貴 (新潟県新潟市立南万代小学校4年)

おち葉さんどこいくの

おち葉さん

とおいとおいところまで

とおいところで

なにするの

子どもにひろわれ

首かざり

子どものだいじな首かざり

すごくきれいな首かざり

きれいなきれいな首かざり

だいじにだいじにとっておく

その子のだいじなたからもの

 

負けない心     橋本 涼音 (宮崎県立延岡聾学校高等部2年)

手で話す私達を

ジロジロミ見る目

こわい

どうして見るの?

手で話すか、口で話すか

それは関係ない

みんなが見る目

どうしてかわからず

不安だった。

心の中は

まるで木が枯れたようだった。

でも、気持ちを変えた。

すると 心に新しい芽が生えてきた。

「よしっ」と思った。

この地球の人達に

勇気を持って伝えたい

人間はみんな同じ 

 

春風     原口 淳 (兵庫県立盲学校中学部2年)

春の風がやってきた

校庭に 山に 海に

そして自分に

 

春の風がやってきた

花が元気に咲き始めた

鳥達が元気に鳴き始めた

 

春の風がやってきた

どんな人も優しく感じた

春の風はどこから吹いてくるのだろう

 

春の風がやってきた

校庭に 山に 海に 道行く人に

そしてぼくにも

 

優しい春の風が 吹いてきた

 

魔法の手     古木 知香子 (富山県立盲学校高等部1年)

ものをさがす 私の手

点字を読む 私の手

時計の針をみる 私の手

テープのA面とB面をたしかめる 私の手

お金をかぞえる 私の手

 

ざらざら つるつる

つめたい あつい

なんでも おしえてくれる私の手

 

私の手には 力がいっぱいつまってる

 

ねこのおかあさん     松井 理沙 (新潟県寺泊町立野積小学校1年)

きのう、

みえちゃんちにいったらね、

ちゃちゃが

おっぱいだしてねころんでたよ。

でっかいのが四つ。

さわってみたら、

やわらかくて

ぷよんぷよんして

きもちよかったよ。

ちゃちゃはね、

こねこをうんだんだって。

 

せっけん     松山 博紀 (新潟県新潟市立曽根木小学校3年)

ぼくはおふろが大すき

せっけんは、もものにおい

つかうたびに、においが出てくる

ちっちゃくなっても、もものにおい

つぎのせっけんにくっつけて、

新しいせっけんのできあがり

おふろがもものにおいでいっぱい

ぼくはおふろが大すき

 

大切なもの     水野 陽介 (愛知県立安城養護学校高等部2年)

ぼくの一番大切なものは

お金

お父さんが仕事して 一生懸命仕事して

お金を もらって来てくれる

大切なお金

ぼくは 買い物に行くと

ときどき書店に寄って

大好きな車の本を買う

高いものは 買わない

五百円までの 安い本を買う

大切なお金だから

ぼくのさいふには

少しだけ お金が入っている

大切に使いたい

お金

 

新宿     森岡 里未 (愛知県立春日井高等養護学校3年)

夏休みに新宿に行った

緊張して歩かないと

はぐれてしまいそうだ

どこからこんなにたくさんの人たちが

集まってくるんだろう

車も多かった

信号がないと絶対に困る

電車に

いつもたくさんの人が乗っているのも

不思議だ

大きなビルがいっぱい

ビルが道の両側がせまってくる

ビルの中にもいろんな店がいっぱいだ

Tシャツを選ぶのに

ほしいのがいっぱいあって

決めるのが大変だった

おいしそうな食物もいっぱいあった

私は小エビのドリアを食べた

カフェオレとシフォンケーキも食べた

ちょっと新宿の味がした

 

ねむっている街     山崎 恭平 (新潟県亀田町立亀田小学校6年)

日がまだ出ていない

まっくらやみの

あけがた

 

ひるまとは

まったくちがう

しずまりかえった

あけがた

 

もの音が

ひとつもしない

ぶきみなようで

ふしぎな

あけがた

 

まどを あけても

聞こえるのは

風のしずかな音だけ

からだにふれるのも

つめたい風だけ

 

まるでひとつの

街がねているようだ

 

    山本 真史 (広島県立尾道聾学校高等部1年)

時 なぜ進むのだろう

  過ぎてしまえば戻ることはできない

 

時 楽しい時

  流れは速く感じる

 

時 楽しくない時

  流れは遅く感じる

 

時 それは道