第3回矢沢宰賞入賞作品

第3回宰賞選評


● 最優秀賞

 小さな翼をこの空へ      高橋 美智子

この空は青い空

どこまでも澄みきった青い青い空

どこまでも絶えることのない広い空

この空をみてると

自分がちっぽけにみえてくる

たいしたことのない

バカげた人間に…

 

私は空にはなれないけれど

せめて

この私の翼で空へはばたきたい

この私の翼で

私のあこがれを

私の夢をつかみたい

たとえ

はばたいた空が雲におおわれても

揺らぐことのない私の道をつらぬきたい

 

私は空にはなれないけれど…

  空にはなれないけれど… 選評

 

● 奨励賞

【1席】

 しん年のねがい      野尻 由依

まずは、息をとめて

きかいをはずして大きなこえで

「あいうえお」

っていえるようになりたい

夏までに

あゆみちゃんと

話ができるようになりたい       選評

 

 

【2席】

 イナズマ          増井 保

イナズマはすごい

イナズマは

空のおおかみみたいにすばやくて

いっしゅんしか姿を見せない

えものをとらえるように

ピカッ

といっしゅんしか姿を見せない      選評

 

 

【3席】

 梅の木           平沢 麻美

うちの庭にある梅の木。

私が生まれるずっと前からある木。

「いってきます」

げんかんからでると、

いつもそこにいる木。

この前は、台風でたおれそうになったけど、

今は他の木に支えられて一生けん命生きている。

私は毎日梅の木を見ている。

これからも、毎年梅をたくさんつけて、

私を見ていてほしい。          選評

 

 

【4席】

 しぜんがよびかけてる    田篠 沙耶香

加茂山へ行った。坂を登ったら、イチョウ、もみじ、いろんな葉っぱが、いっせいにザワザワといった。

秋になって、すっかり、茶色や、赤色、黄色になって、とっても、きれいだった。

坂が、まるで落葉の海になったようで、とっても楽しい気持ちになった。

木が、音楽たいみたいになった。

葉っぱの、カスタネットを、木と風と秋でたたいてる。

葉っぱや、風がよびかけてる。      選評

 

 

【5席】

 屋根             丸山 修

屋根はいつも空を見上げている。

朝焼けの空。

快晴の空。

夕やけの空。

そして、

雨や雪の空。

それを屋根は、

毎日、毎日記録する。

つかれないだろうか。

家をこわす時、

その記録は消える。

それが屋根の一生。           選評

 

 

● 佳作

プール      高橋 直人

きのうも おとといも

空は くもってて、

プールに

入れなかったよ。

さみしかったよ。

 

プールに もぐると、

うみの中みたいだ。

音も ぼやけて

おもしろいんだ。

ボコボコ

空気の あわも

見えるよ。

ほんとに たのしいなあ。

 

どんどん はれてきたぞ。

プール,入れないかなあ。

 

ぼくは

ずうっと まどから

ゆれてる プールを

見てたよ。                 選評

 

 

 祭り         村松 晃裕

みんなでみこしを

ワッショイ。ワッショイ。

みこしは、ジタバタさわぐようにゆれる。

声をあわせて、みんなで、

ワッショイ。ワッショイ。

坂を登ると、足どりがおそい

坂を下ると、足どりが速い。

休けいをとると、にぎやかになる

みんなで、

ワッショイ。ワッショイ。

声をあわせて、

ワッショイ。ワッショイ。           選評

 

 

 防波堤           宮沢 大地

防波堤で

釣りをした。

釣りをしていると

あっという間に

時間が過ぎていく

そのあっという間の時間だけ

別の世界にいるようだ。

ぼくは別の世界で釣りをする。

釣りを終えて、

防波堤を出ると

別の世界は消えてしまう。

ぼくはふり返って

もう一度防波堤を見た。 選評

 

 

 ふりかけ           押野見 泰弘

ごはんに ふりかけかけた

のりが ぺたんと

ごはんに くっついた

たべたら ぺたんと

口の中に くっついた

おおいそぎで みそしるのんだ

ごはんが ぐぐうと

のどに はいっていった

のどが あったかくなった

おかあさんに あいたくなった 選評

 

 

 人形             須田 久子

にこっ

かわいい人形の

口のあたりがほほえんで

わらっているようだ。

人形の目も

生きているように

人間の様子を見て

いつもわらっている。 選評

 

 

 風の郵便屋さん          山ア 真人

たんぽぽが

風の郵便屋さんにたのんでる

「この種どこかへ運んで下さい。」

木が風の郵便屋さんにたのんでる。

「この葉っぱをどこかへ捨てて下さい。」

雨が風の郵便屋さんにたのんでる。

「ぼくを地上まで飛ばして下さいな。」

風の郵便屋さんはやさしいな

風の郵便屋さんは仕事が好きだ

たのみもしないのに

ぼうしを運ぶ

かさまで運ぶ

あっ今日も仕事をしているな。 選評

 

 

 たいよう             荒井 麻子

たいようは、なにもかもてらす。

しゅやくじゃないものも。

アイドルでも

ゆうめい人でもない、

みんなをてらす。

みんなをてらす。 選評

 

 

 つらら              佐々木 博行

先生、

つららだよ。

すこしたったら、

せがちぢんだよ。

つららが、

あせを、

かいたよ。

マラソンでも、

したのかなあ。

それとも、

ないているのかなあ。

それとも、

おしっこを、

してるのかなあ。 選評

 

 

 にじ              佐々木 香織

雨がたくさん 空からふったら

空のおそうじがおわる

きれいになった所から

きれいになった所まで

空に大きなにじの橋がかかる

にじの橋を歩くことができるなら

たくさんのお友達と歩いてみたい

楽しい歌を歌いながらわたってみたい

そんなわたれるにじがあったらいいなあ 選評

 

 

                田中 香衣

目は一つ一つちがう

やさしい目

きつい目

 

でも同じなのは

みんな涙を流すこと

顔に二つついていること

 

目は一生の宝物 選評

 

 

 いつも一人             皆川 知子

わたしはようちえんの時

よくいじめられた

なにもしてないのに

いじめられた

友達は助けてくれなかった

友達は二人だけだった

一年生になっても

いじめられた

時には

たたかれたことがあった

今は

友達がいっぱいいても

だれかに

やな顔をされた

さけられた時もあった

かおりちゃんみたいに

好かれたいな

けどわたし

がんばっていく

にらまれても

がんばっていく 選評

 

 

 ふしぎな形             牛 真澄

休みの日

おもちゃばこの中から

万げきょうをみつけた

中をのぞいてみると赤、青、黄色、緑

まるで花畑のようだった

万げきょうをまわしてみた

星や花火のような形が

まほうのように次々とかわっていった

とてもきれいだった

ぼくは万げきょうをポケットにしまった。 選評

 

 

お母さん、

出口がおとずれるよ……        藤田 和規

僕のために一生懸命働いているお母さん。

休みもしないで、時には泣きながら働きにいく姿はあまりにも僕の心を痛める。

 

「お母さんがんばれ。」

「お母さんがんばれ。」

僕なんかこの世から消えてしまえばいいのに。

そうすればお母さん楽になれるのにね。

「お母さんがんばれ。」

仕事、大変だけど、

「がんばれ……。」

いやなことたくさんあると思うけど

「がんばれ……。」

今は暗やみの中をさまよってるけど、

きっと出口が、おとずれてきてくれる。

 

僕たちは、泣きながらその出口がノックしてくれるのを待って、生きてゆこう……。

  選評

 

四季のわたし           阪田 千夏

春のわたしは、すてき。

だってさくらの花がさく。

さくらの花が、わたしをかざる。

 

夏のわたしは、いきいき。

だって葉っぱがたくさん。

緑の葉っぱが、わたしをかざる。

 

秋のわたしは、オシャレ。

だって葉っぱの色がたくさん。

いろんな色が、わたしをかざる。

 

冬のわたしは、およめさん。

だって白い雪がわたしを包む。

白くふわふわの雪が、わたしをかざる。 選評

 

 

                田村 未央

ふわっとしたやわらかい毛、

細々とした手足、

よたよたしながら、

びっこひいて

よたよた、よたよた、

しっぽをふって

歩き出す。

足、こし弱い、

13才のおばあちゃん犬

それでも、

強く生きている。

むねを張ってほえている。

 

よたよたのおばあちゃん犬

まだまだ、

強く、

むねを張って

生きるんだ。 選評

 

 

● 入選 (50音順)

カレーのやさいをきった    藍澤 桂太 

とけいくん          五十嵐 飛鳥

すな             石村 一志 

ひまわり           市川 真喜子

ざっそう           宇佐美紗智子

写真たての中の私       笠原 由香里

まっ白い雪          金原 裕矢 

雪の赤ちゃん         河村 あずさ

水の音            小池 一也 

緑              小林 洋三 

木              桜井 悠  

いい夢 悪い夢        佐々木 良広

母さん            佐野 雅敏 

あられ            鈴木 里枝 

大なわ            田沢 陸  

秋の歌            西田 陸津紀

春              樋口 拓真 

中里村の米          樋口 達也 

カガミ            樋口 正樹 

さぼてん           藤田 悠子 

パレットは春のできる場所   星野 亜紀 

アザラシ           星野 由紀子

にじ             細川 智紀 

雨の中            堀 稚佳子 

あめ             松永 珠恵 

もみじ            吉川 ゆうき

妹の手            吉田 力也 

校外がくしゅう        若林 祐太 

いす             渡辺 貴哉 

ネコのチー          渡辺 奈美子