第2回矢沢宰賞入賞作品

第2回宰賞選評


● 最優秀賞

災害         山本 妙

今の今まで

とても小さなことで泣いていた

だけど

大きなことで泣いている人がいると気がついた時

自分がちっぽけな生き物に思えた

 

災害で苦しみ、泣く

そんな人達になにもできず

立ちすくむ自分を、なにかと考える

 

地震がくる

大きな大きな地震がもうすぐ……

私の中で何かがゆれる          (選評)

 

 

● 奨励賞

日ちょく         若林祐太

気をつけ。

 

まさひとくん、

気をつけをしてください。

金ぎょも気をつけ。

 

これから、

二じかん目のべんきょうをはじめます。

 

気をつけ。

金ぎょも、

金ぎょは、

まあ、いいや。

 

これで、

二じかん目のべんきょうをおわります。     (選評)

 

 

空           勝沼みほこ

ふっと空を見る

そして思う

空は青い とても青い

今度は横を見る

人が急いで歩いている

時間を気にしながら

決してそれはめずらしい事ではない

それが普通の光景

人は休む事を知らないのだろうか

人は時間とともに足早に過ぎてゆく

それが普通の生活

人はこの青い空を見たことはあるのか

道にひっそりと咲いている花は……

一度、ゆっくりと休むといい

そして空を見る

空は青い とても青い          (選評)

 

 

まさおみにいちゃんのたんじょう日    渡邊 将斗

先生あのね、

きのうはにいちゃんの

たんじょう日だったよ。

おかあさんが

「きょうはにくだよ。」

と、いってくれたよ。

にいちゃんのたんじょう日だもんな。

ケーキもあったよ。

ももと

クリームたっぷりと

いちごと

みかんがのってたよ。

おいしそうだな。

にいちゃんのたんじょう日だもんな。

ぼくと

ゆうとと

あさ子で

「ハッピバスデートゥーユー」

とうたをうたってあげたよ。

にいちゃんのたんじょう日だもんな。        (選評)

 

 

● 佳作

ゆき           金子 洋介

十二月には

ゆきの赤ちゃんがいっぱい生まれる。

ゆきのおまつりなのかな。

ゆきはがんばっているよ。

なかまがいっぱい生まれるから。

 

二月には

ゆきはお日さまにたえてるよ。

ゆきはじぶんをつめたくしてがんばっている。

なかまもがんばっているから。         (選評)

 

           刈谷 政人

ぼくがけった 小さな石

ころがりきると

ぼくをにらむ

それでもぼくは けってしまう

いらいらしてる時

石をけると すかっとする

そのたびに うらめしそうに

ぼくを見る              (選評)

 

たんじょう日          大倉 由香里

わたしは、

きょうから、七さいです。

よろしくね。

 

ほんとうのたんじょう日は、

木よう日なんだけど

びょういんだから

このまえのがいはくでしたの。

 

おうちにかえるとちゅうで、

くまのぬいぐる

みかってもらったよ。

 

だから、

もう、七さい。

よろしくね。             (選評)

 

ヒヤシンス          古川 恵

わたしのヒヤシンス

みどりのめが

さむそうにがんばっている       (選評)

 

おとうとの手         内藤 祐実子

おとうとの手をさわってみたよ。

やわらかくて、

ホワホワするんだよ。

それに、

つめが小さくて、あったかいよ。

まるで、小人の手みたいです。

 

ちっちゃな手は、

いつもゆびがぐうばっかりしています。

ぱぁにさせると、

わたしのゆびをつかんでしまいます。

そして、

たべようと、口のところにもっていきます。

 

わあ、たべられちゃったらたいへん。

小人さんから、ぬけ出したよ。         (選評)

 

MY DEAR NURSE     安田 浩

  貴方は何時も優しくほほ笑んでいる

  貴方は何時も優しく見つめている

  僕の心の片隅に何時も話しかけてくれる

そんな貴方が僕は好きです

ほほ笑むと貴方の口紅の色が優しく見える

見つめられると何でも出来そうな気がする

ショートカットの似合う笑顔が綺麗で

そんな貴方の前では子供でいたい

だから何時までも僕の心の奥にいてください   (選評)

 

ウインナ−のダンス     佐々木 理絵

  ウインナ−が

フライパンの上で

ダンスを始めた

シュルシュル ポンポン

楽しいダンス

おとなりどうしでぶつかり合って

あらごめん

とんではねて クルリと宙がえり

楽しい楽しい ウインナ−のダンス      (選評)

 

電話            中川 明津男

  また、楽しみの日が来る。

  明日だ。

明日は、木よう日。

うちに電話が できる日だ。

明日になってからが また長い。

七時になるまでが……

明日は、だれがでるかなあ。

じいちゃんかなあ。

かあちゃんかなあ。

やっぱり、にいちゃんかもしれない。

だけど、

やっぱり、かあちゃんがでてくれないかなあ。

なんか、かあちゃんがでてくれる気がするぞ。

早く こい こい 明日。           (選評)

 

              矢沢 香奈子

  朝、まどを開けると冷たい風が

顔にあたる

風、風って一体何だろうか

形も大きさも何もないけれど

音だけはきちんと残っている

その音は、季節によってちがう時もあるけれど

たまに春の安らかな香りもつけてくれる

そんな風、私は大好きだ。           (選評)

 

わたしの宝物              内山 幸恵

六年生のくせにはずかしいんだけど

私の一番の宝物は

お母さんなんだ

 

お母さんが帰る時は

玄関まで見送りするんだよ

泣きたくなるんだ

私もいっしょにいきたいって!!

この前

どういうわけか

お母さんの車のあと

追いかけていこう!!って

決めたんだ

 

車のあと追いかけて行けば

家に帰れるでしょ

やめたけどね             (選評)