第10回 矢沢宰賞
(注)学校名及び学年は応募時(平成14年度)で掲載してあります
第10回矢沢宰賞の審査を終えて 月岡 一治
私は幼稚園の園医をしています。今年も園の遊戯室で、小さな胸に聴診器を当てました。この世に生まれてたった3年の体。これからの長い一生を思うと、どの子にも幸せを祈らずにはおれません。 4歳、5歳になった体には、もうたくましさが芽生えています。
小さな目から涙が落ちたら、母親は訳をきいて拭いてやるでしょう。どんな時でもはっとする言葉が生まれていたら、書きとめておきましょう。小さな子はすぐに忘れてしまうのです。初めて見た、この世界での大切なことを。
矢沢宰賞に応募する作品は、6歳以上の学童、生徒によって書かれています。今回の特徴は高等部の皆さんの応募が多く、父親について書かれた作品が多いということでした。父親の愛情に気がついて書かれた作品には、しみじみとした味わいと奥行きがありました。
亡くなった祖父にあてた作品には、天国にまで会いに行きたいという思いが溢れていました。親子三代の家族の中で、表面に出ない大人たちの愛情が、子どもに惜しみなく注がれているのでした。
この詩賞に応募する皆さんは、自分の中に生まれた感動や発見、驚きや不安、喜びといった気持ちを言葉で表現しなければなりません。それも自分自身の言葉で。でも、少なくとも今回入選した皆さんにはその力があります。日頃から、自分の気持ちを書きとめておく習慣をつけましょう。読む人の心に訴え、心を清めてくれるあなたの言葉は、生涯あなたと共にあって、あなたを支えてくれます。読む人の心の中に、いつまでも残ります。
最優秀賞・かいばみ賞
韓国地下鉄放火事件の悲劇
日沖 七瀬(新潟県長岡市立青葉台中学校2年)
突然、けむりがたちこめた。
まっ暗闇の中、必死にもがいていた
無数の命。
まっ暗闇の中、光を探していた
無数の命。
それぞれの思い出があった。
それぞれの家族があった。
それぞれのぬくもりがあった。
それぞれの好きな音楽があった。
それぞれの悩みもあった。
それぞれの希望があった。
それぞれの夢があった。
それぞれの探している何かがあった。
それぞれを愛してくれる人がいた。
それぞれに愛する人がいた。
それぞれの人生があった。
それぞれの未来が確かにそこにあった。
《選評》 読むと、百数十名の命が奪われた悲劇が、目の前に再現されてきます。テレビが映し出せなかった犠牲者たちの心の叫び。今あなたの心によって、浮かびあがりました。
奨励賞・かいばみ賞
お父さんが帰ってきた
萩原 洋平(富山県立盲学校高等部2年)
お父さんに久しぶりに会えた
電話より 大きい声
うれしくてギュッと手をにぎった
大きな手
いつものお父さんの手
いっしょにごはんを食べた
「二十歳になったら一緒に酒飲もう」って言った
はやく二十歳になりたい
お父さん 仕事かわって
ずっと家にいればいい
《選評》 お父さんが帰ってきたうれしさを、こんなに見事に伝えるなんて。「電話より 大きい声」。そして生まれた日からあなたをいっぱい抱いてきた大きな手。萩原君の心の目には、そんなお父さんの顔がよく見えている んだと思う。
地面につもった雪から
屋根につもった雪への手紙
明地 美穂(新潟県板倉町立宮嶋小学校3年)
ぼくがはじめて地面におりたとき
君は屋根の上にいた
「いっしょにとけて春になろうね」
やくそくしたのに
君はどこへいったの?
春はもうすぐそこだよ
いっしょに春にならないの?
目がさめたら君がいない
空にも聞いたよ
雲にも聞いたよ
ある日
ぼくはやっとわかった
君は春が来ないうちに
小さいしずくに
なったということ
《選評》 地面につもった雪と、屋根につもった雪との約束。こんな世界を考えるなんて…。明地さんの来年の詩が楽しみです。
おじいちゃんへの手紙
中里 慧(埼玉県立越谷養護学校高等部1年)
おじいちゃん聞こえますか
今朝、おじいちゃんの所へ
チョビが行きました
ユウと2匹の散歩
大変だけど
お願いしますね
おじいちゃん
今何をしていますか
やっぱり天国でも植木を
いじっているのですか
おじいちゃんの庭も
だいぶ変ったけれど
今は、おばあちゃんの
花、花、花で
いっぱいです
だから窓から見える庭は
やさしい春のにおいで
いっぱいです
《選評》 中里君の心の中にも、天国がある。その分、心の世界が広いのです。その世界のおだやかなこと…。私も窓から、おばあちゃんが花を咲かせる庭をながめ、おじいちゃんがいる空を見上げてしまう。
奨励賞
空
青木 茜(愛知県立名古屋盲学校小学部4年)
空は 海のようだ
白い 船が いくよ
気持ちいい 波に ゆられて
わたしたちの ところにも
波の しぶきが とんで くる
《選評》 イメージが、とてもあざやか。読むと、本当に波のしぶきがとんできそう。わたしたちとしたところが、とてもいい。
私の時間
肥田野 優希(新潟県立吉田養護学校中学部3年)
この前までは暗かった夕方の空
なのに今は こんなに明るい
時間は確実に進んでいる
なのに私は 時間の中に残されたまま
どこにも行けずに 少しも動けずに
なぜだろう?
周りは確実に動いていて 進んでいて
なのに私は
どこにも行けずに 少しも動けずに
時間を感じることができずに
とり残されたまま
私だけが一人
とり残されたまま
毎日の中に 答えはあるんですか?
私の求めてる 答えはあるんですか?
この前までは暗かった 夕方の空
なのに今はこんなに明るい 夕方の空
答えのみつからない私を包んでいる
夕方の空
《選評》 誰も私に、何もしてくれない。そう思う人は多い。誰かじゃない。自分がしなければ、何も生まれて来ないんだ。そう気づく人は少ない。その一歩手前の時間の中にいる、あなた。
佳作
こたつ
布施 樹(新潟県分水町立島上小学校2年)
お父さんの足、
お母さんの足、
お兄ちゃんの足、
そしてぼくの足。
こたつの中で、
ぼくの足とお兄ちゃんの足が、
いちばんつめたい。
《選評》 どんな思いを伝えたかったのか、よくわかる。家族って、いいなあ。こたつは、いいなあ。
とんびのこと
逸見 菜穂(新潟県真野町立真野小学校1年)
とんびって
きれいななきごえだね
でも
うるさすぎるときもあるね
ピューピューってきこえるよ
ハウスに入って
やさいをあらしてたべることもあるね
こわいなあ
とんびのとびかたってかっこいいね
はねをいっぱいひろげて
とぶんだね
さいしょは
はねをパタパタしてから
とぶんだね
《選評》 よく観察しました。こわくなかった? 夢の中の空にも、とんびがとんだことでしょう。
アリ
花井 敏之(愛知県立春日井高等養護学校3年)
アリがえさを運んでいる
体より大きなえさを運んでいる
生きるために運んでいる
僕は四月からアリになる
《選評》 男なんだなあ、こんな気持ちになるなんて。アリとキリギリスの話もある。根気よく、働こう。
秋の音
中田 実希(富山県立盲学校高等部3年)
落ち葉を踏む音
やきいもを売りにくるおじさんの声
さんまをやく音
いちぢくを鳥がつっつく音
稲刈りをする音
台風のニュース
風にゆれるススキの音
雨がコスモスにおちる音
運動会を知らせる花火の音
「シチューができたよ」という母の声
《選評》 こんな秋の音があるなんて、知らなかった。お母さんの声の中にも、秋がある。
お父さんへ
大西 恵梨佐(愛知県立春日井高等養護学校3年)
私は、お父さんの子に産まれてよかった
お父さんの子に産まれてなかったら
お父さんを知ることはなかった
タクシーに乗って一生懸命働いている姿を
私は家の窓から見ている
お父さん、頑張って!
そう叫びたくなった
お父さんに私の気持ち通じてるかな
お父さん、私を男手一つで育ててくれて
ありがとう
私も働いたら、お父さんのように頑張ります
《選評》 自分の気持ちがあなたに通じていることを知って、お父さん、うれしいだろうな。そしてまた、一生懸命、働く。
ぼくんちの父ちゃん
佐藤 晃典(新潟県小木町立小木小学校5年)
父ちゃんは
漁業をしている
海から帰ってくると
大きなブリを持ってくる
「でっけーぞ」
これが父ちゃんの口ぐせだ
ぼくの知らない所では
消防団
大工
父ちゃんはかつやくしている
ぼくもこんな
父ちゃんに
なりたいな
《選評》 父ちゃんと呼ばれると、父親はうれしい。父ちゃんという言葉には、父ちゃんのこと、好きだよっていう、響きがある。
春の予感
太田 裕子(奈良県立七条養護学校高等部3年)
あなたは
どんなことで春を感じますか
日が長くなること
暖かい日差しになること
空が明るくなること
お店に春色が並ぶこと
春の高校野球が始まること
春を感じることは
人それぞれ違うけど
何かで春を感じています
私も
もうすぐ春を感じます
私にとって
少し特別な春の予感を
それは
全く知らないところに
飛び込むことです
《選評》 不安よりも、世界があったかい方へ変わっていく予感がすると言うあなた。変えるのはあなただけれど、支える人たちが、きっといる。
どうぶつ
石田 真裕(新潟県見附市立今町小学校2年)
きりんさんはのっぽさんていわれて
ぞうさんはおでぶさんていわれて
ライオンさんはおこりんぼうっていわれて
かばさんは、はみがいてるっていわれて
おさるさんは手あらってるっていわれて
くじゃくさんはじまんしてるっていわれて
いろいろだな
《選評》 声を出して読むと、名前を呼ばれた動物たちが、つぎつぎと私の方を見る。おもしろい、動物たちの紹介。
おひさまと赤とんぼ
伊藤 彩香(新潟県見附市立今町小学校2年)
おひさまと赤とんぼって
どこかににたいろがあるね
それは、あかいろ
いい色だね。
やさしくなるいろだね。
これからも、
いっしょにいれると
いいよね。
《選評》 あかいろは、気持ちがやさしくなる色だ。確かに、そうだねえ。だからみんな、おひさまが好きなんだねえ。
音
古木 知香子(富山県立盲学校高等部2年)
電話の音は笑っている
川の音は子守歌
車の音はおこっている
かみなりの音はおこられた声
ほうちょうの音はリズムをとっている
風鈴の音はやさしい歌
バイクの音はストレス発散
私はいつも
音の世界を聴いている
《選評》 いつも気持ちを張りつめて音の世界を聞いていないと、周囲のことが わからない。いいえ、私はいつも、音 の世界を聴いている。耳を澄ます。周囲のことが、よく見えてくる。
「空へ」
福壽 真希(長崎県立ろう学校小学部6年)
きれいな青空でいて下さい。
太陽がまぶしい晴れでいて下さい。
雲ですずしくして下さい。
かさをさしたいから、雨を降らせて下さい。
雪だるまを作りたいから、寒いけど雪を降らせて下さい。
雷がこわいけど見たいから時々、落として下さい。
台風の大雨でかさをさすから、取らないで下さい。
《選評》 ちょっと勝手な空へのお願い。でも時々だけど、きいてくれる空。
木の気持ち
高橋 麻弥(新潟県津南町立芦ケ崎小学校3年)
木を見上げていたら
木の気持ちがわかった
いい風だな。
天気が晴でよかったな。
今日は、いい気分だな。
と思っているんだ
わたしの感だから
本当は、どう思ったのかな。
しりたいな。
《選評》 多分、あたっています。風にひるがえる葉っぱたちを見ていると、私もそう思う。
できなくても
三本 志織(新潟県立吉田養護学校小学部4年)
先生が教えてくれた。
お母さんも言っていた。
何かできないことがあっても、
いつかは、できる。
信じていれば、何でもできる。
今はなみだが出ていても、
いつかは、笑えるようになる。
《選評》 先生もお母さんも、そう信じて生きてきたのです。大切なあなたに、うそを教えるはずがありません。お母さんと先生は、今だって涙と笑顔の両方をもって生きています。
里ばあちゃんに聞こえる
島崎 敬悟(富山県立盲学校高等部1年)
天国まで
聞こえるよ
里ばあちゃんがいるところまで
ずっーと上まで
きっと聞いてくれている
太鼓の音
僕がたたいた太鼓の音
里ばあちゃんに聞こえるくらいの
大きな音
里ばあちゃんが
よくがんばったって
言ってくれている
やっとるなあって
おもっとる
ドンドン ドコドン
《選評》 太鼓の音って、腹と胸の両方に響くよね。島崎君の胸の奥に広がる天国で、里ばあちゃんが聞いている…。
心の天気
石沢 杏茄(新潟県見附市立今町小学校3年)
わたしがイライラしているときは
わたしの心は、かみなりだろな。
わたしがなやむと
わたしの心は、きっとくもりだろ。
わたしがないたら
わたしの心もないて
どしゃぶりの雨だろな。
そしてそのあと、
わたしがわらうと、
雲と雲の間に、にじがかかり、
わたしの心も晴れだろな。
晴れたら、心は言うだろな
きみのえ顔は、雨上がりのお日様さって。
《選評》 自分の体の中に心というものがある。その心と一緒に生きているんだ。もう気がついているなんて、すごい。
入 選 (50音順)
とこやさん
青木 高志(新潟県寺泊町立野積小学校4年)
チョキッ、チョキッ
かみの毛を切ったよ
切った後はとてもさっぱり
家に帰ると、
「いい男になったなー」
と家の人に言われる
いつもそれが楽しみ
雲の町
石本 莉沙(新潟県亀田町立亀田小学校4年)
空にうかんでいる
あのふわふわしている雲
あの雲はまるで
一つの町のようだ
たくさんの雲があつまって
町のようになっている
もしもあの雲の町にいけるのなら
家をたてて
毎日たのしくのんびりとくらしたいな。
大すきなお父さん
加賀谷 祐子(青森県立青森第二高等養護学校2年)
きのう、お父さんから 電話が きたよ。
お父さんが いないと さびしいですよ。
だから 早く かえってきてください。
9月10日に
お父さんが かえってきますよ。
とっても うれしいですよ。
むつは 雨が ふっていますよ。
お父さんは いっしょうけんめい
仕事を がんばって いますよ。
私とお父さんは なかよしですよ。
たまに くちけんかも ありますよ。
お父さんは だれにもまけないように
仕事を がんばって いますよ。
これからも 仕事を がんばってね。
私も学校でべんきょうを がんばりますよ。
雪ゆきとけろ
小川 藍(新潟県分水町立島上小学校3年)
雪ゆきとけろ下には、
小さなふきのとう、
重い重いとないている、
かわいそうだと、
太陽が、
雪をとかして、
くれるんだ、
雪くん雪くんとけてくれ、
ふきのとうが出てこれない
雪ゆきとけろ、下には、
丸いキャベツくん、
つめたいつめたいとないている、
とかしてくれるよ太陽が、
とかして水にしてくれる、
キャベツは、ニコニコわらってる。
自転車
角谷 峻吾(山口県立豊浦養護学校高等部2年)
自転車 大好き
とおくに行けるから好き
つかれないから好き
だって歩くよりはやいもん
こんど海に行ってみよう
なんか なつかしい感じがする
たのむぜあいぼう
こうちゃん
金丸 若菜(愛知県立岡崎盲学校小学部4年)
こうちゃんと遊んだ
たたかいをした
キック、パンチ
おふとんで遊ぶ
ロボットで遊ぶ
本を読む
こうちゃんって呼ぶと、
こうちゃんは歩いてくる
そして、「お姉ちゃん」と言う
こうちゃんと遊ぶと、
わーっと声が出ちゃう
こうちゃんと遊ぶのは楽しい
天気あめ
北澤 紀子(新潟県見附市立新潟小学校6年)
天気あめ
天気あめ
きつねの よめいり
はじまるぞ
天気あめ
天気あめ
今日は 晴れだと思ったら
あめが シトシト 降ってきた
今日は かさなし 最悪だ
天気あめ
天気あめ
今日は 天気で友達と
遊ぶ約束してたのに
あめがボツボツ ふってきた
今日は 遊べず 残念だ
天気あめ
天気あめ
早く あがれ 天気あめ
きつねの よめいり
おわったぞ
生きることは守ること
倉内 景子(新潟県長岡市立東中学校2年)
私自身が生きていることが
不思議でたまらない
自分がなんでここにいるのか
自分がなんで生まれてきたのか
自分がなんで今を生きなくてはならないのか
おおきな夢をもっていても
今の私じゃかなえられないから
現実をみるのが怖くて
逃げたくなっているから
この間友達を泣かせた
私のせいで泣かせた
自分が嫌い
自分が消えてしまいたかった
人を傷付ける
自分が消えてしまいたかった
でも、友達は笑顔を私にくれた
守るべきものがあるから
人は強くなれる
私は
笑顔をくれた友達と
いつか必ず叶う私の夢を
いつまでも守っていきたい
私の時間が止まる日まで
いつまでも守っていきたい
時間
小林 夏樹(新潟県見附市立上北谷小学校6年)
朝が来て
やっとで起きて
ご飯食べ
ちこくしそうで
学校に着く
授業中友達としゃべって
おこられて
家に着き
やっとで宿題をして
夜が来る
布団に入って
また朝が来る
時間はいつも
同じように流れるけれど
私のやること
私の気持ちは
毎日ちがう
少しずつ、少しずつ…
そして今日もまた
新しい一日が始まった
ツバメ
佐藤 達也(愛知県立春日井高等養護学校3年)
「ピイピイ」と小鳥が鳴いている
私も最初は、泣いていた
小鳥が飛ぶ練習をするように
私も歩く練習をしていた
小鳥が 親鳥と一緒に飛ぶように
私も親の後を追っていた
小鳥が一人で飛ぶように
私も一人で歩けるようになった
泣くことも少なくなった
小鳥が一人で飛んで行くように
私も一人で社会という
大きな空へはばたく
小鳥がいつか親鳥になるように
私もいつかは親になるのだ
さあ、はばたこう
自由のある空へ
飛んでゆこう
「おかあさん」
神 大(青森県立青森第二高等養護学校2年)
いつもべんきょうをおしえてくれてありがとう。
あのね、
おかあさん、毎日そうじがんばってね。
おかあさん、いつもたんぼでつかれてもさいごまでやるね。
おかあさん、いつもやさしくしてくれてありがとう。
おかあさん毎日りょうりをつくってくれてありがとう。
あのね、おかあさん、
さらをあらうよ。
すずらん
清田 成未(新潟県五泉市立川東小学校3年)
すずらん。
きれいなおとで。
リンリンリン。
そらをとぶように。
ふわふわふわ。
耳をすませば。
リンリンリン。
すずらんのねいろ。
リンリン ふわふわ。
いいおねえちゃんになるよ
関森 鈴華(新潟県見附市立新潟小学校2年)
おばあちゃんが
なくなった。
顔を見たら
まっ白だった。
わたしは、
こんらんしてしまった。
なみだが出そうだった。
かなしかった。
「いいおねえちゃんになるね。」
と言ってくれた
おばあちゃん。
わたし、
いいおねえちゃんになるからね。
植物と僕
高森 聡(新潟県中条町立中条小学校6年)
やさしくつつみこむ朝の日ざし
ザーザーと雪どけ水が流れていく
蛇口全開の水道から流れていく
雪がとけたところに
小さな小さなちっちゃな芽がでてきた
冷たい雪のコートが
かぶさっていた芽がでてきた
これからどんどん大きくなる
森の先ぱいが見守るなか
どんどんどんどん育っていく
ぼくたちのように育っていく
人と植物はちがっている
でも同じ心をもって生きている
地球で生まれた僕たちは
けして特別なものではない
いっしょに生まれたものたちと
一生けん命生きるべきなんだ
雲の不思ぎなあせとなみだ
滝沢 悠樹(新潟県津南町立芦ケ崎小学校3年)
雲はねお日さまをかくしてるんじゃなくて
日なたぼっこをしてるんだ。
雲が黒くなるのは
日やけをしたからなんだ。
雨は雲のあせ
雲のあせはたくさんふる。
冬になったら
太陽があんまりでないから
あせはだせないけど、
寒くてなみだがでるんだ。
冬は寒いからかたまって
雪になるんだ。
不思ぎな雲のあせとなみだ
ひまわり
中川 理穂(新潟県小木町立小木小学校5年)
君はわらって
泣いて
おこる
ということを
知らないね
ふりむいても
くれない
すうっと立って
せがのびて
「だいじょうぶ」
と聞いても
知らんぷり
君をずっと
見ていたら
不思議だな
人みたいだね
わたしはわたし
中島 夏実(新潟県三条市立三条小学校2年)
わたしはわたし
おじいちゃんたちは
わたしのことを
いいこと言う
でも
わたしは
そんなに
いいこじゃ
ないと思う
そのわけは
たまに
わがままを
言うから
こんどは
ほんとに
いいこな
わたしに
なりたいな
と
思った
だけど
やっぱり
たまに
わがまま
いいたくなった
やっぱり
わたしはわたし
風の町の曲がり角
中野 恵(東京都立葛飾盲学校中等部1年)
風の町の曲がり角
「ヒューヒュー」って歌っている。
風の町の曲がり角
「フワッフワッ」って
かみの毛が踊っている
風の町の曲がり角
「スリスリスリ」と右手と左手が
こすっている
風の町の曲がり角
「やっと会えたね。私毎日ずーっと
待っていたの。
北風さん、どうぞよろしくね。」
おとなの話
信田 珠里(新潟県相川町立相川小学校4年)
おとうさんと
おとうさんのしりあいの
話はながい
話がおわるまで子どもは
ほったらかし
おとうさんは
「あっちいきなさい」
わたしと
おとうと
すごくひま
話がおわれば
いっぱいあそんでくれる
お父さん でも、
おとなの話はやっぱりながい
もしもわたしがゆめだったら
藤川 京香(新潟県三条市立三条小学校2年)
もしも
わたしがゆめだったら
いろんな人に
すてきなゆめを
見せたいな
もしも
わたしがゆめだったら
その子のしょうらいのゆめを
見せたいな
友達
星野 文紀(新潟県見附市立見附第二小学校5年)
友達は、大切です
一人でできないことでも
友達がいれば
何でもできます
文化祭や
学芸会
一人では、できなくても
友達がいれば
何でもできます
友達は
とても大きな存在です
「生まれた理由」
堀江 恵里菜(奈良県立七条養護学校小学部6年)
私は生まれた
どんな理由で生まれた
生きるため?
私は生まれた
私は生まれたことをこう思う・・・
きっとお母さんやお父さんに会うために
生まれたんだ
生まれたことをこうかいしない
一億人の中でも、地球の中でも
たった一人として……
地球に神様に選ばれたのだから
私がきっと生まれたのは
この地球にいて
新しい時代を作るために生きているんだ
ドライヤー
本間 ふみ(新潟県加茂市立加茂小学校4年)
ドライヤーいつもわたしのかみに、何
かを言いかけるようだけど、何を言っているかわからない。
でもいつかきいてみたい。
ドライヤーの声。
白い国
本間 舞(新潟県小木町立小木小学校4年)
くもの中はまっ白い国
いってみたいなあ
小さいころ
くもの国に行ってみたかった
心の中で何回も
(くもさん私をつれていって)おねがいした
ずっと見ていたら
天しがくもの上でシャワーをあびているように思った
天しがすむ白い国
いってみたいな
もしも、とこやさんだったら
本間 弓賀(新潟県三条市立三条小学校2年)
もしも
わたしが
とこやさんだったら
おきゃくさんのすきなかみがたを
やってあげたいと思います。
お金はやすくして
かみをきれいにします
どうしてお金をやすくするかというと
お金をやすくすると
おきゃくさんがいっぱいくるからです
お金をやすくしても
かみをきれいにします
「水」
丸山 裕史(新潟県分水町立島上小学校3年)
水は、
いろいろな場所へ行ける。
水は、
切っても、切っても
切れない。
水は、
いつでも、やりなおしができる。
切られても、
すてられても、
海水になっても、
人間に飲まれても、
いつでもやりなおしができる。
水は、
いつも、
海の波で、
いろいろな所へ、行けて、
うらやましい。
僕は僕であるように
三田 晃久(長崎県立ろう学校高等部1年)
青空に指で描いて問いかけた
"僕はどうして耳に障害を持ったの?"
答えてくれるはずもなく
なぞった跡には ただ白い雲
夜空に指で描いて問いかける
"僕はどうして聴こえなくなったの?"
答えてくれるわけもなく
星は静かに瞬いていた
"僕は耳に障害がある"
だけど とてもやさしい人がいたから
「人それぞれ個性を持っているから」と
教えてくれた人がいたから
僕は僕のままでいられた
僕は僕でいることができた
そのままの僕でもみんなと変らないんだ
だから
一人ぼっちで泣いてる君に言おう
君は君のままでいい
僕は僕であるように
自信を持って生きればいいと…
命
森住 由香里(埼玉県立越谷養護学校高等部1年)
命は何にも変えられないものだ
だから生きることに意味がある
今は自分で命をそまつにしてしまう人もいる
一人が死んでしまうことで多くの人が悲しんでしまうのだ
やなこと、苦しいこと、逃げずにたたかう
だって生きたくっても生きられない人もいるのだから
どんなことがあっても頑張って生きていくべきだ
心の弱かった僕
山本 勇基(愛知県立春日井高等養護学校3年)
僕はとっても心が弱かった
でも、お父さん、お母さん、先生、
友達がいたから
ここまで成長することができました
まだまだ弱い心ですが、
星のようにいつまでも輝き
太陽のように笑顔
そして
納豆のようにねばり強く
タンポポのように根強く
生きていきたい
でんぐりがえし
渡邉 玲音(新潟県立吉田養護学校小学部1年)
おとうとのなるせは、
でんぐりがえしがとくい。
さいしょはまわらなかったのに、
なんかいもやってたら、
一人でできるようになった。
たったったったとはしっていって、
ふとんの上ででんぐりがえしをする。
ママ、パパ、わたしのまえで、
でんぐりがえしをみせてくれる。
たまによこにまがる。
たまにふとんのないところでやって、
あたまをおさえていたがっている。
わたしは、あたまをおさえているなる
せが
おかしいので、わらってしまう。