第17回矢沢宰賞

命に感謝
     西田 麻里

 おばさんの畑で「そら豆」をもらった。「ゆでたてを食べると、おいしいよ!」おばさんは、笑顔でそう言った。

 家に帰るとすぐに、私は新聞紙を広げた。豆は、固い「さや」の中。私は力強く、そしてやさしく、中の豆を傷つけないようにさやを指で聞いた。パックリと目を開けたその中は、とても不思議な感じがした。

 さやの中は、フカフカの白い綿のお布団。かけ布団としき布団にフンワリ包まれて、きれいな黄緑色のお豆さんが、気持ちよさそうに眠っていた。お豆さんを取り出そうとすると、さやとお豆さんの黒い部分が、黄緑色のちっちゃな「三日月」みたいなので、つながっていた。私は、それをお豆さんからそっとはがし、お豆さんをお布団から取り出した。白い綿の産毛がついたお豆さん、かわいい!!

 いくつもいくつも、さやからお豆さんを取り出しているうちに、私はだんだんお豆さんのことが分かってきた。「アッ、これは5年生の時、学校で習った“命”の勉強と同じかも・・・」と思った。お豆さんのさやは、お母さんのおなか。お豆さんが包まれていたフカフカのお布団は、お母さんの子宮。お豆さんの黒い部分は、おへそ。おへそとさやをつないでいた、黄緑色のちっちやな三日月は、お豆さんとお母さんをつなぐ、へその緒。

 そう。お豆さんは、お母さんから栄養をもらい、大切に育てられてきた「命」だったのだ。私たち人間と同じ。私は、それが分かった時「命を大切にいただく」という意味が初めて分かったような気がした。

−お豆さんヘー
 お母さんの愛情をいっぱいに受けて育ってきた、お豆さんの命を今度は私が受けつぐからね。お豆さんからもらったたくさんの栄養で、私は元気に遊んだり、勉強したり、がんばっていくからね。お豆さん、ありがとう。大切な命をいただきま〜す!!
      −麻里より−