第10回矢沢宰賞

韓国地下鉄放火事件の悲劇
                   日沖 七瀬
突然、けむりがたちこめた。
まっ暗闇の中、必死にもがいていた
無数の命。
まっ暗闇の中、光を探していた
無数の命。
それぞれの思い出があった。
それぞれの家族があった。
それぞれのぬくもりがあった。
それぞれの好きな音楽があった。
それぞれの悩みもあった。
それぞれの希望があった。
それぞれの夢があった。
それぞれの探している何かがあった。
それぞれを愛してくれる人がいた。
それぞれに愛する人がいた。
それぞれの人生があった。
それぞれの未来が確かにそこにあった。