ネコ心筋症


突然なります・・
 この病気は、ネコでもっとも発生の多い心臓病です。
  しかし、その発見はある典型的なケースに限られるように思います。
・・実際には、ずっと以前からおかしかったのでしょうが。

「先生!ネコが突然目の前で動けなくなっちゃったんですが・・」
「それに、なんだか苦しそうです・・」

 室内・屋外飼育に関わらず、この病気は飼い主さんの目の前で起こり、そしてここからが大騒ぎになります。
(気付いてもらえなかったら、たぶんアウト。)

さあ!大変だ!!
 ネコさんで見つかる心筋症の多くは、肥大型心筋症と呼ばれるモノで、 分厚くなった心筋壁と、ものすごく狭くなった心腔で説明されます。
 このタイプの心筋症では、一度に流れる血液量が少ないため、心臓は普段から健康ネコの倍くらい脈打ち、極端に血液が固まりやすい状態にあります。

ここで、先ほどの話に戻ります。
この病気では、血栓は後大動脈つまり下半身にかけて詰まります。
このとき、心臓の力が落ちてきていますから胸に水が貯まり、
呼吸困難が必ずと言っていいほど起きます。
これは非常に恐ろしいことです。

大抵の場合、両足が一気におかしくなりますが、
途絶えた血流が改善されなければ足の組織が壊死をはじめます。
この状態は、激しい痛みを伴います。
動けなくなってから僅か30分で、ネコさんがのたうち回るようになります。
ものスゴク痛いようです。
そして、血流が途絶えた箇所で出来た老廃物が各臓器(腎臓、肝臓、筋肉など)に運ばれ、ここでも組織を傷害します。
食餌も採れなくなってしまいます。
そして、もしも血液のカタマリが腎臓に詰まると、無尿となり、老廃物が体内から排泄されず、死に至ります。
ほんの1日あれば亡くなってしまうでしょう。

急げや急げ!
この治療は、足腰立たなくなってから、迅速な治療が必要です。
出来たら30分以内に治療を受けて下さい。
時間が経てば立つほど血栓が詰まり、組織が傷害されます。
少しでも早くしないと、分刻みで、助からなくなっていきます。

目の前で、ネコさんが突然立てなくなったら、大騒ぎをして電話をかけまくってください。
とにかく駆け込める病院に駆け込んでください。
そして、一刻も早く治療を受けて下さい。

名医に会うのも寿命のうちと言うけれど・・・
この病気は、ほとんどの場合、飼い主さんから典型的な病歴を聞かされて診断していきます。

「突然、足腰立たなくなりました」

・・残念ながら、時間が経ってから、何も知らされないでいると、交通事故のネコさんと誤診してしまうというようなケースがよくあります。
これは、飼い主さんも獣医さんも間違えます。

「事故にでも遭って帰ってきたようだ・・後ろ足が動かなくて苦しそう。」
「どこか痛そうなんだけど・・」

  本当によく似ています。
 確定診断にはレントゲンによる心陰影の確認(バレンタイン・ハート)、
 心エコーによる心の断面を確認します。
本当は検査をする時間が惜しいくらいですが・・

 心筋症のネコさんが助かるためには、
1,迅速な治療
2,正確な診断(獣医さん次第・・デス)
3,血栓の程度(早ければ早いほど軽い・・ハズ)
4,肺水腫の程度
  ・・・これくらい運が要ります。

治療
  この病気の治療は、心臓のケアと、血栓の溶解または、形成の防止が目的です。

  特に緊急の場合、強心剤の投与と血栓溶解作用のある酵素の微滴、血液凝固の防止処置を行っていきます。
  そして痛みがひどいときは、鎮痛剤または鎮静剤を使って苦痛を取り除きます。
  呼吸の維持のため、酸素の吸入も必要です。

 このような治療の結果、血栓が除かれ下半身の血流が回復してくる頃には、食欲も戻り始めます。
 残念ながら、一度動かなくなった足は、完全に元通りに動かないこともあります。
 退院後は、心臓の薬と血液を固まりにくくする薬を終生飲み続けます。

どれくらい生きられるの?
  教科書的には、最初の血栓塞栓から、6カ月以内に再発が起こり、2度目の発作でほぼ100%が亡くなってしまうことになっています。
 しかし、この6カ月目を過ぎて生存した場合、 2年から3年程度生きながらえる事があるようです。
  僕の経験では、6頭の心筋症のネコのうち2頭が生き続けました。
 また、4回以上の血栓塞栓から回復した子もいました。

 この病気になったからといって、決して悲観せずに治療を続けて上げてください。
 神様が、たくさん奇跡をくれることもあります。


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