時々例外もありますが、この病気は歳をとった雄イヌの病気です。会陰部、つまり、おしりの周りの筋肉が緩んできたためにできた穴(ヘルニア孔)から腸や膀胱が脱出するようになります。 大体、こんな感じです。
ヘルニア孔による腸の蛇行により、排便が難しくなります。 排便時に、便に血が付いたり、「う〜ん」と息んでも、 なかなか便が出なくなります。 あまり痛がりませんが、患者さんにもよるようです。 病気の進行とともに、次第に便秘がちになります。 2,会陰部腫大 お腹に力を入れると、肛門の周りや横が膨らんできます(会陰部腫大)。 平静にしているときは凹んでいる患者さんもいますが、 膨らみっぱなしが多いようです。 毛に隠れて判り難いかもしれません。 よく吠える、未去勢の高齢オスがなりやすいので、男性ホルモンの関与が考えられています。 予防 この病気は、去勢手術を済ませたイヌさんでは、あまり見つからないことになっています。 5〜6歳程度になった未去勢のオスのイヌさんを飼っている飼い主さんは、予防のために去勢手術をオススメします。 この手術は、前立腺疾患の予防にもなります。 5〜6歳という年齢の根拠は、「年はとってもまだ若い」ということです。 病気自体は、15歳を過ぎた超高齢犬でも起きてしまう可能性がありますから、「老い」を迎える準備の一つとして、若い頃に去勢手術がお済みでないイヌさんも、せめて5〜6歳までには去勢手術を済ませておくと良いでしょう。 わざわざ年をとってから、1〜2時間はゆうにかかる「命がけの大手術」を受けることはないと思うので^^; 去勢手術だけであれば、5〜15分程度の簡単な手術で終われます。 内科的治療法 この病気を根治させようとすれば、最後は手術によって治さなければなりません。しかし、初めのうちは内科的な療法にも反応することがあります。 治療の内容は、食物繊維を与えたり、便の緩下作用のある食品(牛乳)や緩下剤を使って、便秘がちな排便のコントロールをしていきます。 時々、用手により(ヘルニアのため)蛇行した腸内に貯まった便を掻きだします。 用手による便の除去には、かなりの苦痛を伴うことがありますから、鎮静が必要になる場合もあります。 手術・・・1回で終わるかな?
ほとんどの会陰ヘルニアでは、筋肉が脆くなっており、せっかく穴を塞いでもまた他の場所で開いてしまい「再発」、再手術ということも少なくありませんが、いずれは完全に塞がれてしまいます。そのせいもあってか、会陰ヘルニアを塞ぐための手術の術式は、実に沢山あります。 当院でよく行っているのは腹腔内臓器固定併用法といわれる方法です。
2,開腹後、結腸を牽引し出来るだけ直腸がまっすぐになるように腹壁に固定します。(去勢手術した場合)残った精管を利用して前立腺も同様に頭側に牽引します。 3,閉腹後、おしりの脇に切開を加え、ヘルニア孔を塞ぎます。 この手術方法は、かなりの時間を要しますが、僕の試した中ではもっとも再発率が低かったように思います。 僕は、割と体中をいじくる方法を選んでおりますが、術式によっては局所(ヘルニア孔)の整復のみで手術を終わらせます。 執刀医の熟練の度合い、好みによって、手術の選択肢は色々に分かれるようです。 手術の問題点
(どうしても嫌な場合は、あえて精巣を残します。) 2,雄イヌの開腹手術を行うと、ペニス(おちんちん)が曲がる。 (傷口に吊られて、おちんちんが以前より右か左に傾きがちです。 本人はあまり気にならないようですが・・・^^;) 3,太る (飼い主さんの管理次第です!) |