【樹氷の案内をする大沼さん@御田ノ神】

山行記録 - 平倉山荘 -

2006年3月5日(Sun)

【蔵王連峰/カンジキトレッキング(ライザ〜御田ノ神〜ライザ)】

【メンバー】 31名

【歩行距離】 約00km (カシミール3Dより)

【所要時間】 約5時間

【山】 0000山(0000m)・0000山(0000m)

【地図:1/2.5万】 蔵王山

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【山行メモ】

チーフガイドONMさんのガイドぶりに感激\(~0~)/』

今日は東京からいらしたClubTu--のカンジキトレッキングの方々を、LODSの先輩ONMさんと一緒に案内をしてきました。天気は上々。終日穏やかに晴れ渡るトレッキング日和とな、スケジュール的にも朝8時30分出発で帰宿が13時30分と、割と余裕のあるトレッキングを楽しむことが出来ました。トレッキングコースはリフト終点から御田ノ神避難小屋まで登り、一枚石沢の自然の滑り台『ケツゾリ(尻制動)場』に行きゲレンデ南側のぶな林を下ってゆくライザ・カントレ一般ルートです。

ONMさんと一緒にガイドをするのは久しぶりです。ONMさんにチーフガイドを勤めてもらい、私はサブにまわりました。ONMさんのガイドぶりを中心に、今日一日のトレッキング記録を綴りたいと思います。

宿舎からスキー場を歩き、リフトに向かいます。リフト乗車前にリフトの乗り方の説明、そして、隊長からは、降り場の足元がアイスバーン状態なので、カンジキの紐を靴に巻きつけ『荒縄式スパイク』にするようと指示が出されます。リフトは、2本乗り継ぎゲレンデ最上部まで登ります。青空の下、カンジキを履きストレッチ体操で体をほぐしトレッキング開始です。

見渡せる飯豊・朝日の頂には、うっすらと霞がかかっています。総勢31名のパーティーは道標に沿って御田ノ神を目指します。すでにこのあたりは樹氷原ですが、シーズン中の何度かの降雨で、アオモリトドマツの樹形が分かるほど、樹氷は崩れ落ちてしまっています。トレッキングの一番の目的は樹氷見物ですが、今日は残念です。

弁天平を登り御田ノ神の手前でONMさんは、樹氷が風によって凍って出来ることを説明します。そして、その根元は風が巻き、えぐられて蟻地獄のようになっていること、そのえぐれた窪地に落ちた場合は風下側にまわったほうが楽に這い上がれることなどを案内します。また、樹氷は、北西風によって作られるので風上に向かってえびの尻尾が伸びてゆくのが基本ですが、たとえば、付近に沢などがあると風の向きは複雑に変わり、えびの尻尾が一応に北西方向に伸びるというわけではありません。霧に巻かれた時など、えびの尻尾の向きで方向を決めるのは危険があるということも伝えています。御田ノ神のような湿原では、地形が平坦なため濃霧のときには、特に道迷いに注意が必要です。

非難小屋前で小休止をしていると、山の頼もしい先輩『特さん』とそのお知り合いの方が、山スキーで登ってきました。今日は熊野岳経由で、大森ゲレンデまで下るとのことです。お互いに記念撮影をします。チーフガイドONMさんは、避難小屋を利用する場合は、ドアや窓に鍵をかけずに利用してくださいと参加者に話しをします。

さて、この地点から下りルートとなります。まずは、恒例『ケツゾリ(尻制動)』をするため、一枚石沢源頭に向かいます。源頭の雪庇上からは、南蔵王の峰々が手にとるように見渡せます。ONMさんは、中央蔵王と南蔵王の植生の違いを案内します。たとえば、南がウスユキソウであるのに対し中央蔵王はヤマハハコ。石楠花については、こちらがハクサンだけなのに対し南にはアズマ石楠花もあるということ。そして、不忘山周辺は特に植生が豊富なことや、南屏風岳と杉が峰の鞍部にある湿原『芝草平』についても話をします。セスナ機が旋回してゆく上空には、すこし薄雲がかかってきたようです。

源頭での『ケツゾリ(尻制動)』では、参加者の皆さんが童心に返って大いに楽しんでいただきました。自然の滑り台を存分に楽しんでいます。ケツゾリの後はエコーラインに戻るため、進路を西方向に変え背丈2mほどのトドマツの樹林帯に入ってゆきます。途中、松ボックリが芯だけになっているトドマツを見つけ、ONMさんは、「これは、鳥が種子の部分を食べた残骸です。」と案内します。その他にも野ウサギは小枝の先をかじるなどの話をします。

標高1400m付近のエコーラインを境に、樹木はトドマツからブナへ変わってゆきます。今日のような気温の高い日は、ブナの霧氷が頭上から落ちてきて冷たい思いをするので、昼食はブナ林に入る前に取ることにします。ここで、ライザ・カントレ名物『熱々トン汁』の登場です。8リットルの保温容器の蓋を開けると、熱々のトン汁が湯気をあげます。トン汁でのおにぎり昼食は、参加者の皆さんにはいつも好評です。

昼食後は、エコーラインとスキー場の間のブナ林を下ってゆきます。ONMさんは、前日も案内をしていますが、その時のルートをはずして南寄りのルートを下ってゆきます。参加者の皆さんになるべく新雪を歩いてもらいたいためです。1380m付近エコーラインのカーブを左手に、小沢に沿って下ってゆくと、岳樺が数本あらわれます。樹皮は大変に火がつき易いと説明をすると、参加者からは、雨の日でも焚付けに利用できるんだよと話が出ます。ブナ林の中には、樹木の上に大きな丸い雪の塊を載せた『雪地蔵』もあり、その姿は参加者の皆さんの目に、面白く映るようです。また、あちらこちらに野ウサギやリスの足跡がついています。ONMさんはコシアブラの木を見つけて、新芽が山菜として美味しく食べれることや、樹皮の黒いアズキナシの話などをします。参加者から、「ナナカマドの実は鳥も食ないんですよね?」と聞かれると、「いやいや、鳥も食べるものがなくなると最後には食べますよ。」と答えていました。

下りルートは時々エコーラインを横切ります。車道ののり面は傾斜があるので、参加者の皆さんはすかさず『ケツゾリ(尻制動)』を楽しんでいます。標高1200m付近まで下ってくると、植生はブナからナラなどに変わってきます。カントレもまもなくスキー場レストランに到着です。薄雲がかかっていた空も、いつのまにか雲ひとつない晴天に戻っています。スキー場パト詰所前でカンジキをはずし、宿舎に向かってゲレンデを下ってゆきます。最後に、ONMさんから坊平高原について案内があります。以前、この高原は軍馬の牧場であり、馬達が植物を食べていたために、藪にならず高原になったことを話します。ただ、ツツジ公園と呼ばれるくらいツツジ(レンゲツツジ)が多いのは、ツツジには毒があるため、馬達が食べなかったからと言うことです。宿舎前で、お手製の青才漬けをお土産にお渡しして、カントレを終わります。

晴天の中、約5時間ののんびりとしたトレッキングで、参加者の皆さんは十分に満足していただけたようです。蔵王の四季の美しさを味わいに、またお越しいただきたいと思います。皆さん、どうもありがとうございました。


宿舎前でごあいさつ

ゲレンデを歩きリフトへ

リフト乗車の説明

リフトでゲレンデ最上部へ

カンジキを履き

さぁ、出発(^o^)/

樹氷の雪が落ちている

快晴の中を歩く

熊野岳を撮影

御田ノ神の向かって

樹氷の説明をするONMさん

湿原は平坦

非難小屋前で

徳さんとお知り合いの方は熊野越えへ

樹氷が残っていた

南蔵王を見渡す

記念撮影 (^-^)v

案内するONMさん

皆さん満足 \(~0~)/

一枚石沢源頭の雪庇上

『ケツゾリ』を楽しむ

童心に返って

松ボックリは芯だけ

名物『トン汁』

トドマツからブナ林へ

ブナの案内をするONMさん

岳樺の木々

青空と岳樺

ブナ林を下る
 

 

 


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