【ブナ樹上の熊棚】

山行記録 - 平倉山荘 -

2006年2月22日(Wed)

【蔵王連峰/中丸山(蔵王ライン〜中丸山・熊棚/往復】

【メンバー】 単独

【歩行距離】 約00km (カシミール3Dより)

【所要時間】 約5時間00分

【山】 中丸山(1562m)

【地図:1/2.5万】 蔵王山

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【山行メモ】

休日の今日、蔵王ラインから中丸山に登ってきました。
用具は、アルペン用スキーとブーツ。
登りは、アルペンブーツに途中からカンジキ装着で行きました。

登りに約4時間、降りは約1時間の行動でした。

天候は晴れ、
服装は、休憩時に雨合羽の上着を羽織っただけで、
行動中は、オーバーパンツも必要ないほど穏やかでした。

今回は、ブナ樹上の熊棚をいくつも見ることができました。
また、その幹には熊の爪あとが多数ついており、
熊が木登り名人であることがわかりました。

当初、ライザで行なわれるSBXの手伝いをする予定でいましたが、
前日に、確認をすると役員のメンバーには入っていないということで、
急遽、山行きの予定に変更しました。

また、数日前に野口ペンションのオーナーから
放牧場ツアーに行こうと誘われていましたが、
前日の急な変更で、野口さんの予定が立たず、
私一人での山行きとなりました。

6時起床。6時35分に家を出ます。
途中、コンビニで買い物をして
7時10頃に蔵王ラインの駐車スペースに到着しました。
身支度を整え7時30分に歩き始め。

蔵王鉱山神社に手を合わせ、
蔵王ラインを歩き鳥獣保護区の看板から入山する。

駐車スペースのイベントパーク 蔵王鉱山神社 蔵王ラインは部分凍結 看板から山に入る

入山口の雪面には、5名ほどのスキーの跡がありました。
たぶん、19日の日曜日に熊野岳からツアーをしてきたものでしょう。
このスキー跡を利用すれば、ラッセルの苦労が少なくてすみそうである。
とりあえず、カンジキをつけずに坪足で進んでみます。
予想通りまったくぬかりません。

南側尾根の北面をトラバースして登ってゆきます。
820mの鞍部を8時に通過。頭上のピンクテープを確認して
続く油坂を登り、第1分岐を8時15分に通過します。
スキー跡は、この分岐を尾根道方向に伸びてゆくので
私も、尾根道を進みます。

南側にある尾根の北面ををトラバースしてゆく 820mコルでピンクテープを確認 油坂を過ぎてからの第一分岐は
尾根道をゆく。

まもなく休み処『松ノ木』の南側尾根を通過。
8時30分、尾根道の途中で一本付けます。
8時40分、尾根道(道跡)から分かれ尾根を登って行きます。(第2分岐)
道跡から離れると、雪質が軟らかくなりブーツがぬかるようになってきました。
8時50分、第3分岐では、道跡は尾根北面を大きく巻くようトラバースしてゆきます。
道跡から分かれて登っている尾根は、徐々に斜度が急になってゆきます。
9時00分、1060m付近でスキーブーツにカンジキを装着します。

今日は荷を重くし過ぎた。 カンジキ装着 1060m付近

1070m付近まで登ってゆくと、尾根は斜度を緩め広くなってきます。
この地点で、以前取り付けたピンクテープを確認します。

尾根はその後も、徐々に広くなってゆき
植生はブナに変わり始めます。
このあたりでブナの樹上に『熊棚』をいくつか確認します。
近づいてみると、その幹には熊が攀じ登るときにつけた
多数の爪あとがありました。
熊は木登り名人です。

1070m付近のピンクテープ ブナ樹上の熊棚 熊の爪あと


朝方は高曇りだった上空も、青空が広がってきています。
9時35分、標高1200m付近まで登ってくると
仙人沢方向から、浅い沢が合流してきます。
9時45分〜10時00分、1210m付近で一本をつけます。
ここで、パトに無線呼び出しをしてみます。
コウジ君が出てくれました。ペア2下駅待機中との事。
その後、詰め所待機中の隊長に、携帯電話を入れ現在地を伝えます。

1200m付近、進路右手から沢が合流 休憩地点から番城山を望む

10時20分、標高1330m付近の切止めを通過。ブナの大木が現れます。
ここでも、進路右手(南側)から先ほどよりも大き目の沢が尾根に合流してきます。
進路左手(北側)の蔵王沢方向は、急な落ち込みとなっており、
キネズミ沢と呼ばれているところです。
キネズミ沢下方のブナ林には、デブリが確認される。

1300m付近、進路右手から沢が合流 切止め付近のブナは太い キネズミ沢下方のデブリ

10時35分、標高1400m付近を通過。
このあたりでも、ブナの樹上に熊棚を確認されました。
中には、根元から枝分かれしている樹上に
二つの熊棚があるブナの木もあり、まるで『熊棚マンション』といった感じです。
熊棚に近づいてみると、樹上でへし折った枝を
幹の間に組んで、その上に葉を積んでいるのがわかります。

樹上に熊棚二つの『熊棚マンション』 熊棚に近づいてみる

気温が上がってきたせいか、
雪質が先ほど以上に軟らかく重くなってきました。
カンジキを履いた足は、足首上までぬかり始め一歩一歩が辛くなってきました。

ブナ林にアオモリトドマツが混じり始めてきました。
隊長から、「現在地は?」の無線が入り、まもなくトドマツ帯であることを伝えます。
トドマツ帯に入ると、雪質はウインドクラストにかわりモナカ状態です。
樹高の低いトドマツや石楠花の上に浅く積もった雪面を踏むと
樹木の下の空洞に、足一本がすっぽりと埋まります。

快晴のもと振り返ると、県内の名山をすべて望むことができます。
輝く白銀の峰々が、登る私の背中を励ますかのように聳えています。

飯豊連峰 朝日連峰 月山とその横には鳥海山

スキー場のパト詰め所から無線が入ってきました。
尾根の南側に進路を変えて行くと、私の姿が双眼鏡で確認できるということです。
あまり南側に寄ると雪庇が怖いので、ふたたび尾根北側に戻り樹氷の間を登って山頂を目指します。
樹氷は先日の高温と降雨でほとんどが崩れおちています。

11時25分、中丸山山頂到着。
Tomenの高度計を確認すると1660mと表示されていたので、1560mに修正します。
ドコモ携帯のアンテナは3本を表示。パト詰め所と無線交信も感度良好です。
下山予定時間を11時としていたので、写真を数枚撮った後にすぐ下山を開始します。

樹氷の間を登る 中丸山山頂から熊野岳 仙人沢(手前)と南蔵王方面 セルフタイマーで

天候は、いまだ快晴。
行く手に下山ルートがはっきりと見えます。

快適な滑走を期待してきましたが、今日の雪質ではそうも行かないようです。
山頂からトドマツ帯にかけてはウインドクラスト。そしてブナ林帯から下部は重い湿雪。
やっとの思いでターンを刻んで滑り降りてゆきます。
ターンを刻むと言うよりは、ジグザグに降って行くという状態です。
坪足のほうが楽なのかなぁと、思ってしまうほどです。

下山滑走ルート 1300m付近の湿雪

11時53分、1200m付近(ドコモ携帯アンテナ3本)で一本を付けていると
上空を防災ヘリ『もがみ』が旋回してゆきます。
3月上旬に開催される県遭難救助訓練の下見でも来たのでしょうか?

12時03分、1070m付近(Tomenは990mを表示)のピンクテープ地点で
パト詰め所と無線交信。感度は良好です。
ドコモ携帯のアンテナマークも3本を表示しています。
12時12分、瓜肌カエデピンクテープを確認します。
ドコモアンテナマークは0本表示、圏外表示ではありません。

12時18分、休み処・松ノ木で一本とします。
足が結構疲れています。また、のども渇きました。水分補給をします。
パト詰め所と、無線交信をします。出力をHiに切り替えての交信です。感度はまずまずです。
ドコモアンテナマークは1〜2本表示で、隊長と通話することができました。

休み処・松ノ木で一本 水分補給と無線交信

12時30分、820mコルを通過。(Tomen800m表示)
ドコモアンテナは圏外表示になりました。
12時38分、入山口の蔵王ラインに無事到着しました。
この地点で、パト詰め所を無線で呼び出しますが電波が届かないようでした。
また、ドコモアンテナマークも圏外表示です。
蔵王鉱山神社に手を合わせ、12時45分、SJ-30に到着しました。(Tomen680m表示)
その後、猿倉スキー場駐車場まで車で下るとやっとドコモが通話可能となりました。
パト隊長に連絡をし、帰路に着きました。

入山地点に到着 蔵王ラインを下る。 蔵王鉱山神社 SJ-30のボンネットに置いてパチリ

 


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