【山行メモ】
芳刈沢、ガラ沢、水無沢そしてカン沢
ライザスキー場の南側、エコーラインを挟んだ山域には
いくつかの沢が北から南に伸びている。
沢と沢の間は当然にして尾根である。
これらの尾根には点線がない。
そんな登山道のない尾根を、残雪期に登れたらと思うことがある。
周辺の地形を見てみたいと思い、坊平から1101m地点を目指す。
前夜、チェビオットのO/N氏に予定ルートを連絡しておく。
この時期、夜明けは早い。
4時30分には薄明るくなっている。
冬期閉鎖が解除されたエコーラインではあるが、
凍結のおそれがあるため
夕方17:00から翌朝8:00までは通行止めである。
SJ-30がエコーラインを快調に走る。高原ロッジ跡の駐車場に到着。
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高原ロッジ跡の駐車場 |
長靴にストック1本。藪漕ぎがあるので古い雨合羽と軍手を身につける。
早朝の硬雪に備え、カンジキを持って歩き始める。5時15分。
駐車場から、ほぼ南に向かって斜面を下る。
芳刈林道までは斜度のゆるい箇所を狙って下って行く。
南向きのこの斜面には残雪はない。
中間まで下ると、落ち葉の間から水が流れ出している。
湧水なのかどうかははっきりしない。
水の流れは徐々に太くなりながら下って行く。
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落ち葉の間から水が流れ出す |
林道は雪も消え、地面が出ていた。
所々に残る雪に、車のタイヤ跡がついていた。
5時48分、芳刈橋に到着。立派な橋である。
高度計を875mにセット。
橋を渡ってすぐの尾根に取り付く。
尾根は芳刈沢に沿って東に伸びている。
尾根上の斜度はなだらかで
スキーをするのに快適な斜度と言ったところである。
樹林は適当に密でる。残雪は硬く歩きやすい。
天気は上々、目で地形が確認できる。
沢を挟んだ芳刈沢右岸には、杉の造林部分が見える。
携帯電話の中継アンテナであろうか、
それを起点に沢に向かって造林されている。
登る尾根は南方向にカーブを描いてゆく。
この辺りから芳刈沢左岸は、ブナ林となっている。
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1000m付近の杉と残雪 |
中丸山 |
芳刈沢左岸のブナ林 |
尾根を登りつめると、1092m地点に着く。6時40分。
南側はガラ沢に向かって急な落ち込みになっている。
樹林が混んでいて、南側の展望は悪い。
地形図にはこの地点を東西に点線が通っている。
東側には等高線1本分の鞍部がある。
鞍部に下ってゆくと、進路右手(南側)に道跡が現れる。
点線の道である。
荒れてはいるが、割と幅が広く作業道路と言った感じである。
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南側の眺め。1101m地点がやっと見える |
道跡が現れる |
水無沢に伸びる尾根上の1101m地点を目指す。
辺りの藪は濃く、点線の道跡は確認できない。
樹林の間から尾根を狙って下って行く。
はっきりとした尾根は、藪と点線道跡が交互する。
尾根は意外に細く、その幅1〜2mの箇所もある。
東側がカン沢、西側がガラ沢である。
カン沢支流の左岸には、白い土の斜面が見える。
本流は、その尾根のもうひとつ奥になる。
鞍部まで下る。藪が行く手を阻む。
鞍部から1101m地点までの尾根道には
残雪がついているのが見える。
そこまで行けば、歩きやすそうである。
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鞍部から見る1101m地点 |
カン沢支流の白土の斜面 |
鞍部のブナ |
行く手遠方に、番城山が見える。
藪を漕いでいると、急に心細くなる。
こんなマイナーな山域に、今いるのは自分だけであろう。
突然の木々のざわめきに、臆病になる。
目的地の1101m地点は、すぐ目の前であるが
気持ちが萎えいで、引き返したい気持ちになる。
足を止め気持ちを落ち着かせた後、歩を進める。
鞍部にはブナがある。ガラ沢側が特に急斜面である。
カン沢の奥には、冷水山から県境に沿って伸びる尾根
「大二階」・「小二階」が見える。
昨年春に滑り降りた尾根である。
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鞍部から1101mへの登り |
7時40分、1101m地点に到着。
想像していたとおり、周辺の地形が手にとるように一望できる。
カン沢と水無沢を分ける尾根が、
足元からS字を描いて伸びている。
水無沢の右岸の尾根には、986mのピークが見える。
残念ながら、その下方にある高森山は隠れて見えない。
1/2.5万の地形図の一部分が、実際にはこんなに広いのかと、
あらためて山の広さ、大きさを感じさせられる。
ガスコンロで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
熊除けをかねて、ラジオの音を大きく鳴らす。
携帯から自宅に電話を入れる。
大二階・小二階の尾根に続き「トチ平」、
トチ平の下部は三角形に見える急斜面になっている。
水平に伸びるその尾根は、舟引山から舟引峠、二ツ森山そして番城山へと続く。
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カン沢と水無沢を分ける尾根 |
コーヒータイム |
トチ平 |
歩いてきた尾根道を、石切場に向かって戻る。
石切場東側のなだらかな尾根に出る。
藪道から開放される。
まもなく石切場というところで、北に伸びる道跡を見つける。
この道跡辿って、スキー場方面に向かう。
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石切場までのなだらかな斜面 |
北に伸びる道跡 |
点線跡は、1140m付近で一度、沢を横切る。8時45分。
続いて芳刈沢源頭を横切ると、ライザ駐車場に流れ込む堰に出る。
堰沿いには、ショウジョウバカマが咲いていた。
エコーラインの南側の樹林帯の中を下って行く。
タラの木は日当たりの良い箇所に自生している。
ツルウメモドキの実が、残雪に散らばっている。
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芳刈源頭の沢を横切る |
堰沿いのショウジョウバカマ |
タラの木 |
ウッディロッジ裏を堰に沿って下って行くと
SJ-30を駐車した高原ロッジ跡に到着する。9時30分。
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駐車所から見る石切場 |
大型連休前半の今日
エコーラインは、観光の車が多く行き来していた。
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