【中丸山・ブナの霧氷】

山行記録 - 平倉山荘 -

2005年3月27日(日)

【蔵王連峰/中丸山(蔵王ライン〜中丸山/往復)】

【メンバー】 単独

【歩行距離】 約6.6km (カシミール3Dより)

【所要時間】 約5時間50分

【山】 中丸山(1562m)

【地図:1/2.5万】 蔵王山

HOME / 2005記録 / What's New / 登山情報 /s


【山行メモ】

蔵王ラインから中丸山山頂へのこのルートは、初めての山行となる。4月13日の『LODS中丸山越えツアー』の下見を兼ねる。

4時15分 起床
前日の結婚披露宴でいただいたアルコールせいか、頭の重い朝を迎える。

5時30分 自宅を出発
ちょうど日の出の時刻であり、辺りは薄明るい。エコーライン途中、Mountain Farmまで来て冬用オーバーパンツを忘れた事に気づく。SJ-30に雨合羽のパンツが入っていた事を思い出し、家に戻らずにすむ。出発前、山用具の準備を慌しくやったことが原因である。反省。

6時05分 駐車地点に到着 ドコモ【圏外】
エコーライン・猿倉を過ぎ、蔵王ラインに入ってまもなく、仙人沢にかかる橋を過ぎてすぐ左手に車を駐める。2日前からの降雪で、この朝も除雪車が稼動していた。

積雪のある蔵王ライン 駐車地点のSJ-30

6時30分 蔵王ラインを歩き始める ドコモ【圏外】
高度計を720mにセットして歩き始める。蔵王鉱山神社の鳥居の前で手を合わせ、無事帰還を願う。蔵王ライン1つ目のカーブを曲がると、行く手に前方に中丸山が聳えている。天候は、晴れ。今日は期待できそうある。

蔵王鉱山神社の鳥居 蔵王ライン前方に聳える中丸山

6時40分 蔵王ラインから登山ルートへ
道路右側の高さ1mの雪の壁を乗り越え、登山ルートに入る。蔵王ラインと尾根の間の平らな部分を山スキーで進む。以前、蔵王鉱山に続く道があったと言うことで、積雪期はその道跡が良くわかる。道跡は平らな部分から徐々に南側の尾根を斜めに登ってゆく。

歩き始めるは平坦部 道跡は尾根を斜めに

7時05分 820m 鞍部通過 ドコモ【圏外】
鞍部を通過後、斜度が少し急になる。その後、道跡は尾根の南側を進む。標高880mあたりまで来ると、ドコモ【2本】になる。900mあたりから、道跡は尾根の北側に戻る。ドコモ【1本】。ウサギの足跡を追うように道跡を進む。倒木が道を塞ぎ歩きにくい。耳を澄ますと、北側の蔵王沢から沢音が聞こえる。ウサギの糞が散乱している。その中に、赤い鮮血の付いた糞がある。ウサギも痔か?

820m鞍部 道跡は尾根の南側に 黒姫山を眺める
ウサギの糞が散乱 鮮血の付いた糞

7時36分 920m 道跡から尾根に
このあたりで、道跡が不鮮明になる。道跡は、行く手左方向、蔵王沢に向かっているようである。このあたりから道跡を離れ、南側の尾根に取り付く。一度スキー板を外し、ツボ足で法面を越える。このとき、膝上まで雪に埋もれる。再度スキーを履き、キックターを2〜3度繰り返し、5m上部の尾根に出る。標高960m付近の尾根の小枝に、ピンクテープを結ぶ。下ってきたときに、これを目印に北側下方の道跡に合流するためである。(このピンクテープは、降りの際に撤収。)

8時00分 970m 尾根が広くなる
今まで痩せていた尾根が、幾分広くなる。尾根には松の木が点在している。造林されたものらしい。この地点で、地図上の1246m地点にコンパスをセットしなおす。延長線上に中丸山山頂がある。松の木は990m付近まで続く。

8時08分 シール剥がれる
斜度が急になり、樹林が密になる。思うようにルートがとれず、無理して直登したため左スキーのシールが剥がれる。2ヶ月ほど前にグルーを塗り足し、手入れをしておいたのだが・・・。張り流しタイプ、そして幅の狭いこのシールに限界を感じる。「シール剥がれ、途中敗退」の文字が頭の中を横切る。シール登行を諦め、ツボ足で登れないか試してみる。雪は締まっている。足首までしか沈まない。行けそうである。スキーをザックに括る。

8時18分 KZMIさんにTEL ドコモ【3本】
歩き始める前に、LODSの先輩KZMIさんに携帯で電話を入れる。予定通りに中丸山を目指している事を伝える。スキーを担いでツボ足で歩き始める。疎林の枝には、昨日まで雪が付着している。スキーの先が触れるたびに、襟元に雪が落ちてくる。なるべく、枝のない箇所を選んで歩く。ルート選択に難儀する。体に落ちた雪を叩くたびに、薄手の手袋が濡れてゆく。

1010m ピンクテープを結ぶ ドコモ【3本】
右手首につけたTomenの高度計が1010mを指している。これまで顕著だった尾根が、この地点で大きく開ける。現在地を地形図で確認する。どうも1050m付近のようである。高度計が少しずつずれているのか?高度計をつけた腕をザックに通すとき、リングが動いてしまうようだ。今後の課題。下りの目印にピンクテープを木に結わえる。

ピンクテープを結ぶ

8時45分 1100m 高度計をセットし直す ドコモ【3本】
しばらく登ってゆくと、南方向にライザレストランが見える。コンパスで現在地を確認し、高度計を1100mにセットしなおす。天気は順調、快晴である。パト隊長に電話を入れ、現在地と山行予定を伝える。パト無線で交信可能なことも伝える。

9時12分 1150m
ブナ林が美しい。青い空、ブナの霧氷、雪面に写るブナの影。思わず「美しい」と言う言葉が口から出る。右手、南側に浅い沢が現れる。

番城山とレストラン方向 雪面に写るブナの影 美しいブナ林

9時20分 1190m 陽だまりで休憩 ドコモ【3本】
ブナ林の中、林の開けている部分にでる。陽だまりになっているので休憩をとる。ライザ・ウッディロッジの奥には、番城山が見える。ラスク、パーフィクトプラス、そして水分補給。9時35分に歩き始める。

休憩地から見るロッジと番城山 ラスク、そして水分補給

1260m 隊長から無線が入る
休憩後まもなく、進路右手(南側)から顕著な沢が現れる。北側・蔵王沢方面への斜面の落込みも急になってきた。今、歩いているルートも尾根がはっきりしてきた。深雪の深さは、足首から膝下に変わる。パト隊長から、無線が入る。現在地の標高を伝えると、辺りの状況が手にとるようにわかっているようだ。まず、北側の急な落込みは「キネズミ沢」と言う。また、ブナの太さがこれまでより一段と太くなると言う。「切り止め」といい、昔、炭焼きの際にそのラインを限度点としていたと言う。

10時00分 1320m ブナが太くなる ドコモ【3本】
南側の沢が浅くなり窪みに変わる源頭の辺りから、明らかにブナの木々が太くなってきた。先ほどパト隊長と無線で話をした辺りでは、その直径は20〜30cmであった。しかし、この辺りのブナは50〜70cmの太さがある。さすが隊長である。山を知り尽くしている。太いブナの林は、樹間も広くスキー滑走にはもってこいの斜面である。

「キネズミ沢」への急な落込み 小沢の源頭・滑走が楽しみ

10時05分 1350m ドコモ【3本】
コンパスを中丸山山頂にセットし直す。その針は、ほとんど真東を指している。1400m辺りまで高度を上げてゆくと、太かったブナは徐々に細くなり、直径10〜20cmくらいに戻る。標高のせいであろう。しかし、所々に雪面の高さから枝分かれした太いブナが混じる。

10時23分 1420m ブナ林からトドマツへ ドコモ【3本】
植生が変わる。細いブナが途切れ、アオモリトドマツになる。樹氷は崩れ落ち、樹形がはっきりしている。吹き付ける北西風のため、雪面が硬く締まっている。キックステップするスキー靴は、つま先までしか刺さらない。西の方向、彼方に横たわる飯豊連峰と朝日連峰に雲がかかる。天気の崩れを告げる。

隊長から無線が入る。パト詰め所から双眼鏡で確認できるとの事。こちらからも、大きく手を振る。山頂南側の雪庇が気になる。隊長のアドバイスでは、その位置からではまだ幅があるので心配はないとの事。山頂までの標高差は140m、距離にして150〜200mと確認する。締まった雪面の歩行は、順調に歩を進めることが出来る。振り向くと、登って来た山腹の地形がはっきりとわかる。

坊平高原が見える 植生はブナからトドマツに

10時47分 1560m 中丸山山頂到着 ドコモ【3本】
辺りで一番高い所に立つ。山頂である。空は薄暗くなり始めている。熊野岳の稜線は曇り空のためはっきりしない。山頂直下に二つの人影らしきを見る。多分、登山者であろう。南方向、仙人沢右又沢の糸滝が青く凍りついている。滝の上部にも人影らしき黒い影を見るが、こちらはどうも雪の切れ目のようだ。山頂到着をパト詰め所に伝える。風が強いので上着を着ると言うと、ガスってきたのでブナのある所まで直ぐに下れと隊長に指示される。指示に従い、足跡を辿って歩いて下り始める。下りは、歩きよりスキーの方が確実に早い。まもなくスキーに履き替え下り始める。

中丸山山頂 熊野岳方面 右又沢・糸滝

登って来た足跡を辿って滑ってゆく。しかし、山頂から1450m辺りまでの硬く締まった雪面では、足跡もはっきりしない。ブナのある1400m付近まで滑走し、深雪に残る足跡を探す。足跡は、意外に尾根の北寄りを登っていた。パト詰め所に無線を入れ、ブナ林で登りの足跡を確認したことを告げる。その後、スキーでどんどん下る。高度計の針もどんどん下がってゆく。

標高1300m周辺の太いブナ林は、楽しみにしていた斜面だ。しかし、登っている時に感じたほど、滑走距離はない。ブナが徐々に細くなり混んでくる。木々を縫うようにターンを繰り返し滑り降りる。標高が下がると、雪質は重くなる。

11時08分 1160m(高度計) 休憩地に到着
登って来たときに休憩した地点まで滑り降りる。現在地をパト詰め所に連絡する。下りのルートは、尾根の北側・蔵王沢に落ち込んでいる斜面の変わり目を確認しながらの滑走となる。蔵王ラインに続く尾根への位置口で、目印のピンクテープを確認する。尾根は顕著になり、松の木が現れる。

920m 道跡に出る
尾根の樹林は藪となる。高度計の指す標高920m付近で、樹林の切れ間から北側対岸の黒姫山・1265m地点が見える。眼下は、蔵王沢に向かって急な落込みとなっている。北方向にわずかな尾根が落ち込んでいる。その起点に、幅の狭い道跡を確認する。ウリハダカエデにピンクテープを結び、道跡を下る。

11時30分 無線交信 感度下がる ドコモ【2本】
パト詰め所の隊長から無線が入る。感度が下がっている。現在地の特徴を隊長に告げると、近くに太い松の木があると言う。行く手5m先に、松の木かどうかわからないが木肌の黒い樹木が目に入る。辿る道跡の5m下方(北側)に、登りに歩いて来た幅広の道跡がある。ルートをその道跡に替えて進む。するとまもなく、道の右側(北側)に太い松の木が現れる。隊長の言う松の木のようだ。その南側には、先ほど目に入った木肌の黒い樹木がある。目印となる太い松の木に近づくと、そばの細枝が跳ね返り顔にあたる。鞭で打たれたように、強烈に痛い。顔をうずめたその視線の先に、コンパスがウエストパックにぶら下がっていた。先ほど使った時にしまい忘れていた。

ウリハダカエデにピンクテープを 目印となる太い松

道跡はその後、尾根の南側に交差する。ドコモ【1本】。無線でパト詰め所を呼び出すが、応答がない。登りのスキー跡を辿って道跡を下ってゆく。斜度が急になる辺りで、道跡は尾根の北側に替わる。気温も上がり、この2〜3日で積もった雪が急な斜面を雪崩れている。すばやく通過する。

積雪が雪崩れている

12時07分 蔵王ライン到着 ドコモ【圏外】
辿る道跡が平坦部に合流すると、蔵王ラインはすぐである。ドコモも無線もパト詰め所とは不通地帯となる。蔵王ラインへは鳥獣保護区の赤い看板から下りる。

12時20分 駐車地点に到着 ドコモ【圏外】
朝、圧雪状態だった蔵王ラインも雪が解けて路面が出ていた。蔵王鉱山神社に手を合わせ、無地帰還のお礼を言う。駐車地点には、宮城ナンバーの車が駐まっていた。中丸山山頂から眺めた熊野岳山頂直下の登山者のものだろうか。

下山口となった看板 駐車地点にもう一台

SJ-30でライザに向かう。パト詰め所に隊長を訪ね、無事帰還を告げる。無線でのサポートにお礼を述べ、地形についてあらためて話を聞く。

 


Copyright(C)2004 Hayato Sato. All Rights Reserved.