【2003年07月20日(日)/蔵王連峰 刈田峠バス停〜杉が峰〜芝草平〜屏風岳〜不忘山(往復)】
【メンバー】 単独 【歩行距離】 約14km(カシミール3Dより) 【所要時間】 約5時間30分 【通過時間】 不忘山(9:00)〜アイハギの峰(9:15)〜南屏風岳(9:27)〜水引入道分岐(9:45)〜屏風岳(9:53-10:00)〜烏帽子岳分岐(10:12)〜芝草平(10:30)〜杉が峰(10:46)〜前山(11:00)〜登山口(刈田峠バス停)(11:23)=自宅【車】 |
【山行メモ】 2ヶ月ぶりの山行き。この海の日の連休は、朝日連峰に泊りがけで出かけようと月峰隊の先輩K氏と計画を立てていた。しかし、天候が思わしくない。前日夕方までK氏と計画実行の検討を重ね、夜7時に『計画見送り』の結論となってしまった。(T.T) 久しぶりの1泊山行きに気合を入れて準備をしていたが、残念。師匠曰く『山は、逃げていがね。』 とはいっても、私としては約1ヵ月半ぶりの休日。どうしても、山を歩きたくて仕方がない。先輩K氏に、「雨の中、近場でもテクテク歩いてくるっす。」と伝え、今回の南蔵王・不忘山往復へと出かけることとなった。 20日4時起床。いつものように、ミルクティーを作り、おにぎりを「チン」して4時55分に自宅を出発。山行き用に、この春手に入れた車「SJ30」のポロン・ポロンという2サイクル音を響かせて家を出る。うむっ、前を走る車は、これまた山の先輩K/E氏の「SJ30」ではないか。K/E氏の服装からすると、有害駆除へ出動の様子。 |
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愛車SJ30でエコーラインを快調に飛ばし、5時38分刈田峠バス停に到着。天気は予報とおりに雨。登山口となるこの周辺には、私のほかには乗用車1台とマイクロバス1台のみ。すでに入山したようで、人影はない。ここ数日間の悪天候から、登山道はドロドロの悪路状態であろう。足元を長靴に決め、雨合羽を着て歩き始める。 5時55分、不忘山に向け出発。(^ ^)/ |
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登山口から刈田峠非難小屋までの間は、高層湿原の湿地帯となっている。登山道による湿原の荒廃を食い止めるため、2〜3年前に木道と石畳に整備された。 トキソウや綿毛状の実をつけたチングルマ、そしてハクサンシャクナゲにウラジロヨウラクなどなど、湿地帯は植生が豊富だ。 |
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刈田峠非難小屋への案内看板を左手に見ながら、オオシラビソの林の中を進む。足元にはゴゼンタチバナやマイヅルソウ(実)、そしてムシカリやメイゲツソウの花が満開である。 |
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前山 |
前山へ登る頃から、雨足が強くなってきた。通称『見晴らし場』に近づくと、樹高はぐっと低くなる。ハクサンシャクナゲやマルバシモツケ、そしてコメツヅジの白い花が目に付く。コメツツジの花は、小さいが確かにツツジの花の形をしている。 |
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コメツツジの花は、小さい。 |
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前山山頂(1684m)を6時39分に通過。 いつもなら右手(西側)に、チョンコモリ山が見えるのだが、今日は濃霧のため、何も見えない。視界は約25mと言ったところだろう。 杉が峰までは、一度、鞍部を通過する。右の画像のように、視界はなく、足元の花を見ながらの山歩きである。 杉が峰への登り坂にかかると、また植物の種類が多くなってくる。ウスユキソウの白い額が花びらのようである。ミヤマシャジンやエゾシオガマ、そして、ミヤマトウキであろうかセリ科の植物は未だに見分けがつけられない。(^_^? |
前山山頂 |
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前山と杉が峰の鞍部 |
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杉が峰山頂(1745.3m) |
7時20分、杉が峰山頂(1745.3m)に到着。 今日の山頂は誰も居なく静かである。登山口に駐車していた車の登山者は、すでに通過した後のようだった。山頂は広く、晴れている日は展望も良いので、いつもは賑やかな所である。 |
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杉が峰から芝草平に向かって、下りこむ。オオシラビソの若葉が鮮やかな色である。冬には、このあたりも見事な樹氷原となるのだろう。 |
オオシラビソの若葉 |
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芝草平(1652m付近) |
7時25分、芝草平を通過。 芝草平は、貴重な高層湿原。尾瀬ヶ原ほどとはいえないが、十分な規模と植生を持っていると思う。最近は、高山植物の保護のため、登山道にはロープが張られ、奥までは入ってゆけなくなった。とはいっても、規制されている登山道からでも、多くの植物を見ることがきる。一面がチングルマに覆われている個所や、ゆれゆらと揺れるワタスゲ、イワイチョウにイワショウブ、トキソウやサワランそしてキンコウカなどなど。 |
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(帰り道に撮影) | |||||||||
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さて、屏風岳への登りである。この登り坂は、雨による侵食が激しく、大きな石がゴロゴロしていて、非常に歩きにくい。また、今日は泥道対策のために長靴を履いてきたので、濡れた石と泥状の火山灰の土は、特に滑る。いつも以上に、慎重に登る。 雨足は幾分弱くなってきたが、今度は登り坂のため、汗で内側から濡れてきた。雨合羽の前ボタンを全てはずし、通気を良くして登る。 烏帽子岳方面への分岐点を過ぎると、まもなく緩やかな尾根道となる。アカミノイヌツゲやミネカエデ、クロヅルが多くなる。ハクサンシャジンが花をつけている。屏風岳山頂は、まもなくである。 |
烏帽子岳への分岐点 |
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ハクサンシャジン |
屏風岳山頂に近づくと、賑やかな会話が聞こえてきた。マイクロバスの方々であろう。 7時55分、屏風岳(1817m)に到着。 大きなビニールシートを広げ、マイクロバスの面々は朝食をとっていた。秋田・大館市から25名ほどでいらしたとの事。大変に楽しい方々で、南瓜の煮物をごちそうになる。これがまた、ポクポクの完熟で本当に美味しかった。みなさん、ごちそうさまでした。m(_ _)m |
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屏風岳から南屏風岳の間は穏やかな尾根道で、晴れた日には稜線漫歩が味わえる。ミネズオウやガンコウランそしてミヤマネズ、ハイマツにミネカエデ、タカネザクラ。コメツツジにヒロハヘビノボラズ、エゾヒカゲノカズラやマンネンスギそしてイチヤクソウなど。草花だけでなく、樹木の種類も多く見れる。 このあたりから花満開のハクサンシャクナゲに混じってアズマシャクナゲがあらわれる。しかし、アズマシャクナゲには、もう花はついていない。その開花時期に違いがあるのだろう。 尾根道の途中には、水引入道を経て白石スキー場へ下る登山道の看板がある。水引入道までは、往復で約1時間はかかるが、その山頂からの眺めは最高。私のお気に入りの場所っす。(^O^) 雨足が、この頃からまた強まる。デジカメを出すのが億劫になり、紹介できる画像が少なくなってしまった。f(^_^) 8時25分、南屏風岳(1810m)を通過。 |
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南屏風岳から先は、尾根のはっきりした登山道となる。不忘山との間にアイハギの峰(1730m)というピークが一つある。地図(昭文社エリアマップ・蔵王)では、この1730mピークに南屏風岳の地名がついているが、南屏風岳はこのピークの北北西にある1810m地点であり、この1730mピークはアイハギの峰であると思われる。 8時37分、アイハギの峰を通過。 このアイハギの峰から不忘山にかけての一帯は、この南蔵王縦走コース中で一番の花の見所となる。急に植生が豊富になり、いつ歩いても楽しめる所である。 |
タカネバラ |
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わかる範囲内で植物の名前をあげると、ハクサンフウロ、タカネバラ、ミヤマシシウド、ミヤマキタアザミ、キバナノカワラマツバ、イワインチン、イワオウギ、イブキジャコウソウ、ハクサンイチゲ、イブキトラノオ、ムカゴトラノオ、オヤマソバ、ヒメシャジン、シロバナトウウチソウ、オヤマボクチ、アオヤギソウ、ウスユキソウ、ネガリノギラン、マルバダケブキ、カラマツソウ、ヤマブキショウマなどなど。他にもまだあるのだが、名前を知らないものもあるので、これから調べることとする。 |
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石で作られた祠と小さな鳥居 |
雨は、また強くなってきたが、しまいこんでいたデジカメをケースから取り出し、草花を撮影する。カメラも、体もびしょ濡れである。ずっと雨合羽を着てここまで歩いて来たが、いくらゴアとは言え、10年近くも使い込んでいると、どこからともなく雨は染み込んでくる。パンツまで(T_T) 不忘山まではわずかな距離であるが、本当に植生豊富な一帯である。尾根道は岩稜となり、距離や高度差はそれほどではないものの、慎重に登りたい。 不忘山山頂手前に、石で作られた新しい祠が祭られている。山行きの安全を祈り、手を合わせる。 |
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不忘山山頂 | |||||||||
9時00分、不忘山山頂に到着。 雨は、歩き始めてから一番強く降ってきた。ここまで、屏風岳で大館市の皆さんと会ってから、誰ともすれ違っていない。不忘山山頂には、宮城県側から登って来る登山者が、何人かはいるかと思ったが、誰もいない静かな山頂であった。この雨では、ゆっくり休憩する気にもなれず、すぐに山頂を後にし、来た道を折り返す。 |
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芝草平 |
9時00分 不忘山山頂 出発。 屏風岳から芝草平へ下りにかかると、登ってくるグループとスライドする。その後も、5グループほどとすれ違う。多いグループでは20名くらいいるだろうか。いずれの登山者もきちんとした装備での山歩きである。このような日は、それなりの経験と準備をした人しか、山には入らないのだろうと思った。 天気も、芝草平あたりに差し掛かると、幾分回復してきたようである。左の画像のように、展望も利くようなってきた。 10時46分 杉が峰 通過。
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前山から眺める刈田岳 |
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SJ30に乗り込みエコーラインを下ってゆくと、山形市や上山市、そして当初予定していた朝日連峰方面が晴れ渡って来ているではないか。天気予報では、これほど良くなる予定ではなかったのに。無理をしてでも朝日に行っていればよかったと、少々、後悔。(T.T) まぁ、師匠曰く『山は、逃げていがね』の言葉を思い出し、次回の山行きへの楽しみを一段と膨らませながら、帰路に着く。 |