山行記録

【平成13年7月15日/刈田峠〜不忘山(水引入道)往復】


【メンバー】単独

【山行メモ】

 さくらんぼの忙しいシーズンも終わり、久しぶりの休日である。熊野岳のコマクサの咲き具合も気になったのが、南蔵王の不忘山へ行くことにした。ライザから中丸山経由での熊野岳往復もいつものコースではあるが、以前から飯豊・朝日への山行の為にはもっと距離と時間のかかるコースを、歩いていたほうが良いと思っていた。地図を開いてみると、水平距離では今回のコースも飯豊・朝日のコースに値するくらいの距離はあるようだ。、しかし、登山口の刈田峠までは、エコーラインで車で行くことができるので、アップダウンの高低差には到底及ぶものではないと思う。このコースも年に1〜2度しかいけないので、その気になったときに行っておこうと思った。

 朝3:40起床。4:15に家を出る。あたりは、薄明るくなっている。暗いうちにでたほうが良かったと思いながらの出発となる。途中「7-11」でスポーツドリンクを1本買う。いつものように、おにぎり1個と紅茶を飲みならが刈田峠を目指す。天候は良いようだ。蔵王の稜線がくっきりと見える。刈田峠の駐車エリアには、すでに3台の車が止まっていた。身支度を整えているご夫婦の脇に車を止める。私も、さっそく地下足袋を履き身支度を整えご夫婦より先に出発する。登山口の看板をデジカメに納めて、5:05出発。刈田峠の湿地までは、相変わらずの悪路である。登山道脇には、アカモノ、ハクサンシャクナゲ、マルバシモツケ、ウラジロヨウラク、ハクサンチドリ等が咲いている。前方から熊避けのカネの音が聞こえる。先行者がいるようだ。湿地でその方に追いつく。チングルマの実があたり一面に広がっている。その中に、淡いピンクの花が咲いている。トキソウであることを教えていただく。月山でもあまり見ることはないという。このように登山道のすぐそばで見れるのは珍しいとの事。刈田峠非難小屋の横を通ると、小屋のほうから賑やかな話し声が聞こえる。昨晩を小屋で過ごしたグループの様である。オオシラビソの樹林帯の登山道沿いには、ゴゼンタチバナの白い花が咲いていた。前山への登りにかかる。この途中にミヤマハンショウヅルがあったはずである。よく見て登ると花は終わっていたが、その実を見つけることが出来た。刈田岳の方を振り返ると、蔵王ラインがその山肌をジグザグに横切っている。なんともいえない風景である。前山通過5:35。前山から杉ヶ峰の間は、宮城県側から山形県側へといつも強風が吹いていいる、風の通り道である。しかし、今日はさほどではない。快適な稜線歩きである。程なく杉ヶ峰の登りにかかる。登るにつれて、登山道沿いのウスユキソウの数が増えてゆく。山頂手前には、ミヤマトウキが咲いている。薬草の匂いがするそうだが、気が付かなかった。イソツツジの花も地味ではあるがちょうど咲き頃である。杉ヶ峰通過5:47。芝草平への下りとなる。杉ヶ峰は、北面には花を楽しめる植物が多いが、南面に行くとその種類が減るようだ。芝草平の湿原まで下ると、また植物の種類が増える。あたり一面のチングルマの実に混じって、イワイチャウの白い花や、トキソウのピンク、また、ワタスゲの白い穂も風に揺れている。高山植物保護の為の登山道以外への進入禁止の立て看板と、ロープでコース規制されていた。それだけ、ここにも多くの登山者が訪れるようになったと言うことであろう。芝草平通過6:04。

屏風岳への上り道は、登山道の荒廃が激しく大石がゴロゴロしていて歩きにくい。登りの途中で先行していた登山者に追いつく。後烏帽子岳への分岐を過ぎると、まもなく傾斜がゆるくなり緩やかな尾根道となる。そんなに急な登りではないが、汗が搾り出される。屏風岳山頂は、なだらかで山頂らしくない。しかし、ここには一等三角点がある。6:28屏風岳通過。南屏風岳までの尾根道からは、宮城県側の景色が一望できる。北の方角には、奥羽山脈の峰峰が霞に浮かぶように連なっている。前烏帽子岳、後烏帽子岳、屏風岳、水引入道、馬ノ神岳に囲まれた秋山沢の源頭一帯の景色も、壮観である。数年前に一度行った事のある、ろうづめ平からの後烏帽子岳へまた行ってみたくなる。この尾根道はいつもトンボが多い。まるでトンボの群れの中を歩いているようだ。今回も、水引入道往復を予定しているが、この景色につられて不忘山に行く前に往復する事に決めた。往復には約1時間かかる。分岐通過6:34。屏風岳の東面を水引平めがけて一気に下り落ちる。帰りにはこの急登が待っている。この厳しい急登があるのに、水引入道の往復をするのは、そこからのパノラマが私のお気に入りだからである。水引平通過6:45。水引平には小さな池糖がある。昨年、このあたりでカモシカが茂みに逃げ込みお互いにびっくりしたことを思い出す。トキソウが数輪咲いているが他に目立った花はない。水引入道までの登り道は、ステップの間隔が歩幅に合うのかわりと楽に登ってゆける。水引入道山頂到着6:55。天候にも恵まれ、お気に入りのパノラマを満喫する。腰をおろし、スポーツドリンクとカロリーメイトを食べ小休止を取る。7:00出発。水引平を過ぎ、ほどなく登ると急坂の始まりである。傾斜が急なため視線はほとんど足元しか見えない。約15分間の急登に耐える。いつものように、ゆっくりと1ピッチで登りきる。また、汗がどっと搾り出された。南屏風岳への尾根道の分岐通過7:28。呼吸を整えながら、平坦な尾根道を進む。このあたりは、ミヤマネズやイソツヅジが多い。刈田峠の湿原で一緒になった登山者にまた追いつく。言葉を交わし先を急ぐ。南屏風岳通過7:45。ここから鞍部までの下りには、鎖とロープが設置されている。滑りやすい道である。タカネバラの鮮やかな紅色の花が目に入る。この鞍部から不忘山一帯は、また植生が豊富になる。やせ尾根の登りを一歩一歩慎重に登って行く。登りきったところには蔵王権現の祠がある。手を合わせ不忘山山頂へと向かう。山頂到着8:08。白石スキー場からの登山者が数名休んでいる。蔵王連峰最南の頂である。宮城県側の眺望がすばらしく、眼下には長老湖が見える。白石スキー場から上ってきたご夫婦に、白石スキー場から水引入道、そして不忘山の周回コースの説明を聞く。以前から興味のあるコースで、権現沢沿いに水引入道に登るコースは予想通り面白そうである。また、5月下旬の不忘山周辺の花の様子もうかがう。また、途中で追い抜いてきたご夫婦が到着し、おにぎりを食べている私に胡瓜と茄子の冷えたお漬物をいただく。本当に美味しかった。ごちそうさまである。

約20分の休憩の後不忘山8:28に出発。後は来た道を、折り返すだけである。南屏風への登りが辛い。水引入道往復が効いているようだ。屏風岳の平稜を進むと、何人かの登山者とすれ違う。それぞれに挨拶を交わし、芝草平の見えるところまで来ると、そこにはもっと多くの登山者が訪れていた。今日は日曜日である。また、このコースも人気コースである。芝草平まで花を見にくる人も大変に多い。そこの植生を守る為にも、登山道以外へ踏み込まない様にしたい。杉ヶ峰までの登りも、足が重く感じられる。小休止をとろうと思ったが、多くの登山者がいたので、いつもの見晴台までもう一頑張りすることにした。疲れを感じたのでウィダーインエネルギーを飲む。気分的にエネルギーが沸いてきたようだ。10:08前山通過。10:15見晴し岩到着。年配の女性グループが休んでいた。皆さん達者である。残りの氷水を飲み、しばし休憩。10:25見晴し岩出発。刈田峠の湿原でトキソウとモウセンゴケを見る。10:43登山口到着。

このコースは往復ともに同じようなアップダウンを繰り返す。また、今回のように水引入道の往復を入れると、約6時間の行動となる。水平距離の移動が長いものの、ほとんどが稜線歩きとなるので、最初から風景を楽しみながらの山行ができると思う。


[2001山行記録]